ギターヒーロー、人理修復へと旅立つ   作:ヘル・レーベンシュタイン

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よ、ようやく更新できました……今年は繁忙期が多いので申し訳ない。


第四十一話

 

 

 エジソンさん、そしてスカサハさん達と別れて私達も決戦の場へと向かった。

 先にスカサハさんがクー・フーリンさんと対面し、対決したはず。だけど、開戦の号砲となる角笛の音が聞こえ、丘の向こうからケルト兵の大群が迫り来る姿が見えてきた。それも、私の視界では納めきれないほどに……

 

「怯むな、オレとラーマが先陣を切る。行くぞ“マスター”」

「………はい!」

 

 緊張に満ちている私に対し、カルナさんがそう言ってくれた。そして続けてラーマくんが……

 

「お前達には、戦う理由がある!土地を奪われ、家族を殺された!だが翻ればそれはお前達の父祖が、この大地で行なってきたこと!

 

ならば座して滅びるが道理か?否!奪った以上はお前達には、この大地を護り通す義務がある!

 

怒りで戦うな!憎しみで戦うな!その責を胸に戦え!そう……

 

 

これは“人間(お前達)”の戦いだ!」

 

 総兵士の人たちに語りかけ、天に掲げた剣を傾ける。

 

「突撃いぃいいいい!!」

 

 そして、その叫びと共に私たちは戦地を駆け始めたのだった。

 

 

 

 カルナさんの目から放たれた光線が、ラーマくんの操る武具が、そして婦長さんの投擲した爆弾がケルト兵を破壊していく。

 

『南北両軍で戦闘開始!南軍、左翼中央敵陣を次々と突破していきます!』

『北軍も凄いね!ロビンフッド達が事前に仕込んだ、破壊工作で敵は弱体化!これならすぐ、拮抗状態に持ち込めそうだ!』

(滑り出しは好調……いや、出遅れてる陣営が一つ。

南軍は陣営を三つに分けている。中央をラーマとナイチンゲーン、左翼をカルナが、そして右翼はぼっちちゃんとマシュだ!)

「はぁああァァァッ!」

 

 ギターによる瞬間強化と、馬車の猛スピードに乗せた盾をケルト兵の大群へと叩きつけて更に私とマシュは進んでいく。

 

「マスター、無理は禁物です!」

「い、いえこれぐらい大丈夫です!」

(ヘクトールが居ない分、打撃力の低さは否めない。片翼が遅れれば他の進軍も滞る、これ以上遅れるようでは敵本拠地への道が途絶えかねない……!)

 

 そんな調子で進んでいくと、不意に頭上から影を感じた。

 

「っ!」

 

 咄嗟にマシュが盾を構えれば、二連続の金属音が鳴り響く。

 

「今のは!!」

「流石だ盾の乙女よ、我らの一撃悉く防ぐとは!」

「サーヴァント!?よりにもよって、ぼっちちゃんを狙いに来るなんて!」

 

 それはエリザベートさんとネロさんと合流してきた街で乱入してきたランサーの二人、ディルムットさんとファンさんだ。

 最悪……私とマシュだけではかなり不利だ!

 

「うっ……ぐっ!」

「あ、マ、マシュ!」

 

 事実、私達は防戦一方となっている。突破する手段がまるで思いつかない。

 

「ふむ……以前より動きにキレがない、どうしたのかな?“スカサハ殿”から言伝を聞いたはず、それとも既にその気だったりするのかな?」

「っ!」

 

 フィンさんがそう言った瞬間にマシュの顔に緊張が走り、同時に知った人の名前が出て困惑してしまう。

 

「スカサハさん、から?どういう……ことですか?」

「我らが王とスカサハ殿が会われた時に、私たちも居合わせてね。畏れながら伝言を頼んだのだよ、つまり……彼女と戦って勝ったら、私の“嫁”にしたい、つまり“結婚”してもらうと!」

「フォウ!?」

「結っ……!?」

 

 私、ロマンさん、フォウさんが困惑の声をあげ、直後にフィンさんにマシュの盾が叩きつけられる。が、まるで当然のように防がれる。

 

「威勢がいい!騎士の花嫁ならばそれくらいは!」

「っ!貴方と私は敵同士です!わけが、わかりません!」

「ハッハッハッ、そういう恥じらいも好ましい!」

「恐らく違うかと」

 

 背後でそう呟くディルムットさんのセリフ、敵側の意見だけど私も同感だ……

 

「強引に娶るのも一興さ、趣味は悪いがね!」

 

 再びフィンさんとディルムットさんの槍が迫る、それをマシュが防ぐ。今はしっかりも守れている、しかしフィンさんがさっき言ってたようにどうにも動きが悪い。

 彼らが強いのもあるけど、マシュの戸惑いも原因な感じがする。

 

(強い、巧い!戦っている最中にさえ、見惚れてしまいそうなせんとうぎこう、どれほどの修練を積めばその領域に達するのだろうか?

 

敬意さえ抱きそうになる、だけど………どうして、どうして、どうして!)

 

 マシュが、歯を食いしばっている。耐えている、だけどそれ以上に………

 

(わたしにはわからない、戦いは怖くて、傷は痛くて、知ってる人が死んだら、悲しくして、なのに、この人達はどうして……)

 

 解らなくて辛そうな瞳をした瞬間、二人の槍が鋭く迫る。

 

(笑って、愉しそうに戦えるのだろう?)

 

 その瞬間に、部長さんの蹴りが、ラーマくんの一閃が槍を弾き飛ばした。

 

「復活したインドの英雄に、赤衣の女傑か!これは面白くなってきた!」

「お、お二人ともどうして!?」

「サーヴァントが相手なら配置に拘っていられん!

何、余らが居ない分はカルナに任せた。奴ならば左翼、中央同時に指揮できよう!」

「ですので私たちも治療に参加します、そこの二人おとなしくなさい。」

「何とも独特なご婦人だ!だが、強者達との戦いも我らの“誉れ”よ!」

「誉れ、この人達はまた!」

 

 マシュの発する言葉に怒りを感じる、戦いに愉快さを感じるフィンさん達を認められないんだ。そう思った時だった。

 

「落ち着くのだ、マシュ」

「っ!ラーマさん……?」

 

 ラーマくんがそう言いながら、マシュの背中に手を添えてくれた。

 

「君の苛立ちや迷いは当然だ、戦とは真実“忌むべき(そういう)”モノだからな。だがその中にも誉れを見出すことはある。

其れを問うのに怒り、憎しみで濁った瞳ではいけない。わかるはずだ、マシュ。」

 

 そう言われまマシュは、一瞬目を細めれば弾いた音が鳴り響く。

 

「すみません、ラーマさん。」

 

 彼女の肩頬が赤くなるも……

 

「おかげで冷静になれました。」

 

 納得自体できても、きっと理解はできてないと思う。それでも……

 

「私に彼らの理由が理解できるかは分かりませんが……最後までこの盾を以って問続けます!迷いの答えも、彼らの“誉れ”も!」

 

 その瞳は真っ直ぐと、綺麗な輝きが取り戻されていた。その姿にフィンさんも舌を巻いた顔をしていた。

 

「立ち直る姿もいじらしい、惚れ直したよ我が花嫁」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュとフィン達が対面する最中……

 

 

「“虹霓剣(カラドボルグ)”」

 

 

 丘に虹の光芒の柱が伸びた、使い手のフェルグスごと巻き込んで。

 

「な……ぐっ………何考えてんだあいつ!?」

『ヘクトール!彼を止めるんだ!このままでは特異点が崩壊しかねない!!』

「ハァ!?」

『彼の宝具の本質は地形破壊兵器!あの虹霓が広がれば広がるほど、この大地は破壊されていく!

領土面積が勝利条件に含まれているこの特異点において、大地そのものを削るあの宝具は極めて危険なんだ!』

「……!だが、サーヴァント1騎の宝具でそこまでの破壊は無理だ!アンタのそれは杞憂……」

 

 直後、ヘクトールの視線の先にある虹霓がさらに拡大した。

 

「マジか……?」

 

 そして、その中心にいるフェルグスの全身が一人でに血に染まっている。血が溢れる最中、フェルグスは呟く。

 

「うーむ…やはり魔力を暴走させると痛いな、過剰出力に霊基が崩壊を始めている。

とはいえ仕方なし、お前の瞳に俺は映ってはいないだろうが、俺には俺の意地があるのだ、メイブ。」

 

 そんな彼の脳裏に、彼女への想いが想起される。

 

(女王メイヴ、生前の恋人、愛人、色々あった生前だが再会はやはり喜ばしいものだった。

今生のメイブはクー・フーリンだけを見ていた、多くの男と恋した女が、ただ一人を。それは良い、一途なアイツも良いものだ。だが……)

【帰ってきたら一晩相手してあげようか?】

(俺への命と共にそう言った、ただ“武器”の手入れをするかのように。

 

それはよくない

 

男は女の“物”ではないし、女は男の“物”ではない。

 

男と女は並び立つモノというのが、俺の人生の結論だったからだ。)

 

 彼は握る手をさらに強める。

 

「故、故にだメイブ。俺は愛おしきお前と並び立つ。

お前が、この大地を我が物とするのなら……俺はこの大地を破壊して見せよう!!」

 

 カラドボルグの螺旋が加速し、まさに螺旋そのものを受けてるかのようにフェルグスの体もまた血の螺旋を刻まれていく。

 

 

「ぐ、う、う、ううう!!!

言葉にしてみれば、なんともな理由よ!だが、それこそが俺の誉れ!!

蚊帳の外の男よ!お前はどうだ!?

 

お前の誉れはどこにある!?その輝きで虹の波濤を撃ち抜き、示してみるが良い!ランサー!!」

 

 まさに天と地を穿つが如き虹霓の前に、ヘクトールはタバコの煙を揺らしながら眺めていた。

 

『いいかい?各種計算式は既に伝えた通り。フェルグスの前には幾層もの虹霓、放たれた槍はその影響を受けながら突き進む。

つまり、当てるのが“超難しい”』

「こんなにこき使われるなら、あの海でギターヒーローを優先してマークしときゃよかったよ。」

「そんなことが言えるなら安心だ、頼んだよ。ぼっちちゃんと同じく、私も信頼している。」

「………やですなぁ、何でも見透かしたように。」

 

 そう呟きつつ、ヘクトールはかつてのマスターであるメディアのことを思い出す。

 

(見定めようと思った、彼女の夢を終わらせた者たちを、その戦いを。

 

嘆き慟哭しながら音を鳴らし、令呪を切った後ろ向きで臆病な癖に、どこか向こう見ずな小娘に。

 

本当に、誇り高く前に進んで世界を救えるのかどうかを……)

【ねぇランサー、私の望みは……】

「間違ってないさ、今でもな。それでも……」

(後ろ向きな小娘は後ろ向きなまま、それでもと勇気を搾り、悩み、前へ進んで誰かを助け、誰かの思いを継ぎ、誰かを信じた。

……かつて敵だった俺にすらも、綺麗な旋律を贈るなんてことをして。)

「だから姫様、ここでお別れだ。」

 

 そしてヘクトールは槍を構え、その穂先を螺旋を描く虹霓へと向ける。

 

「“毀れず(こわれず) 屈せず(おれず) 歪まず(まがらず)

 

“我が槍は全てを射抜く”」

 

 その刹那に彼は、別れたマスター(メディア)の顔を思い、そして今度は今のマスター(後藤ひとり)を想う。

 

「“蹴散らせ”」

 

 その瞳に迷いはなく、振るう腕に加減も翳りもない。その一閃はまさに兜輝く大英雄(ヘクトール)の名に恥じない姿と言えよう。

 

「“不毀の極槍(ドゥリンダナ)”!!!」

 

 放たれる宝具、彗星の如く煌めく軌跡を描いてヘクトールへと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

「見事」

 

 大地を破壊する虹霓は霧散し、肉体が崩壊寸前のフェルグスは向き合うヘクトールに向かってそう言い放つ。

 勝敗はもはや火を見るより明らか。

 

「最後だ、俺を破りし勇士よ。もう一度、その真名を乞う。」

「………ヘクトール。」

 

 微笑んで、彼はもう一度言う。

 

「カルデアの………そして“ギターヒーロー”のランサー、ヘクトール。」

「ハハ!!」

 

 聞き届けたフェルグスは、そう笑ってこの場から姿を消した。そしてヘクトールは地面に刺さる自身の獲物を握り、そして顔を上げ……

 

「戻りますか」

 

 そう、新たな歩みを始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロマンさん曰く、ディルムッドさんとフィンさんは伝説通りなら並び戦えるような関係じゃない筈とのこと。

 要約すれば、男女の関係が原因で関係に亀裂が入り、簡単に繕えるものではない筈。だけど……

 

「まだまだ行けるぞ私は!ついて来れるか若武者よ!!」

「無論でございます、王よ!フィオナ騎士団が一番槍は、こんなものではありませぬ!!」

 

 そんな過去を引きずった様子を感じさせない言葉、動きで私達へ果敢に攻め続けていた。

 フィンさんは槍と水の魔術による攻撃を、婦長さんへと放つ。

 

「くっ!!」

 

 マシュが即座に防ぐ、けどすかさずディルムッドさんが飛び上がり頭上から迫り来る。

 

「オォォォッ!」

 

 その間を割って、ラーマくんが防いでくれた。

 

「よく防いだ!」

「一撃入れといて何を!」

「ラ、ラーマくん!治療を」

「よい!赤槍の方だ!

しかし見事な連携よ!生前、轡を並べた者達とはこれほどか!」

 

 ラーマくんの苦しくも称賛の声を聞き、お二人もまた豪気な笑みを浮かべて返してきた。

 

「それに押されぬ貴様達こそだ!」

「その通り!

しかし、愛と共に蘇りし大英雄よ、その観点で言わせてもらえれば……」

 

 フィンさんの手が、ディルムッドさんに向けられる。

 

「ここなディルムッドもまた、愛を貫いた男!君の愛に劣るところでないぞ!?」

「そんな話はしておりませんが王よ!!」

「ハハハ冗談だとも、少し無理矢理な冗談だがね!」

 

 と、なんともコントの様なやり取りが繰り広げられ私達はコメントに困っていた。しかし、一呼吸おいてフィンさんに静謐な雰囲気を纏いながら再び槍を構える。

 

「………すまない、つい嬉しくてね。願ってもない幸福を過ごしている。たとえ人理の敵に成り下がろうと、もう少し続けさせていただく。」

 

 そして再び戦況が再開する、今度は私達から攻めていく。それをお二人は槍を巧みに動かしながら防いでいく。

 しかし、フィンさんの顔から余裕が無いのか、冷や汗が少し垂れていた。

 

「ハハッ!」

(練度が上がっている、以前見えた時よりも遥かに連携した動き。この大地での長き旅が、れほどの強さを彼らに与えたか!!)

 

 そして同じく、ディルムッドさんも余裕が無い、けど同時にこの戦いに身を注ぐ様に笑みを浮かべていた。それを見て、マシュは困惑しつつも……

 

(既に何合攻防を交換したでしょうか?その強さにも、その笑顔にも、未だに翳りは見られません。

彼らの誉れもまた、わからぬまま。だというのに、先程まであった焦りの様な感情が消えていく……それは、もしかしたなら……)

 

 マシュの振り上げた盾によって、ディルムッドさんの両腕が万歳するように強制的に上げられる。その隙に、婦長さんが距離を詰めて剛腕が放たれて背後の岩盤へと叩きつけられた。

 

「やった……!?」

「ぐ、ぬかった………っ!!」

 

 しかし、ディルムッドさんの前には……

 

「王よ!私を庇って……」

「ハッハッハッ」

 

 僅か一瞬で、フィンさんが間を割って盾になっていたのだった。見ると、お二人は何やら話をしている様子で……

 

「……動きませんね。」

「いえ……魔力の高まりを感じます。おそらくは、以前よりも出力を上げた宝具を放つ気かと……」

「大地を割ったあの一撃より……どうする?」

 

 あの惨状を目の当たりにしているから、よく覚えている。それ以上なんて恐ろしい、どうにもできないと私は考えていたら……

 

「止めます、でなくば多くの兵士の方に被害が及びます。」

「え?マ、マシュそれは……」

 

 そんなの無茶、だから止めようと思った。

 

「マスター、皆さん、どうか私に力を……」

「………はい」

 

 だけど、マシュが汗を垂らしつつもそうか懇願する姿に私は頷かざるを得なかった。彼女の気持ちを無碍にしたくなかったから。

 

「……む」

 

 そして、マシュと婦長さんが同時に宝具を発動させる。あらゆる武を許さない天使、そしてその前に盾のように展開される無垢なる護りの魔法陣。その光景にフィンさんは感嘆の声を出す。そして、お二人が何か話した様子を見せ、そして遂に放たれる。

 

「“堕ちたる神霊をも屠る 魔の一撃”

“その身で味わえ……!!”

無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)”!!」

 

 レーザーのような水流が放たれ、婦長さんの宝具によって軽減され、それをマシュが防ぐ。だけど……

 

「………っ!!」

(減衰してなおこの威力……!!)

『長くは保たない!ラーマ!!』

 

 やはり抑え続けるのは限界がある、そう判断しロマンさんが声を挙げる。それに応えるようにラーマくんが走り出す。

 

「させん!」

 

 そして足止めのためにディルムッドさんも走り出す。だけど、私も何もしないわけじゃない!

 

「“緊急回避(バック・ブリンク)”!!」

 

 弦を鳴らし、ラーマくんへ注ぐ。黄色いオーラを纏って一瞬にしてディルムッドさんの背後へと回る。

 

「その技は知っている!!」

 

 しかし、振り向かないまま槍でラーマくんの一撃を防いだ。

 

「まだだ!」

 

 しかしラーマくんはまだ終わらない。

 

【“偉大なる者の腕(ヴィシュヌ・パージュー)”】

 

 直後、ディルムッドさんの頭上に無数の武器が現れた。

 

「余の武器は剣だけではない、防いでみせよ!」

 

 雨のように武器が降り注ぐ、ディルムッドさんがそのまま受けてしまうと思った。

 

「なっ」

 

 しかし、ディルムッドさんは即座に走り出し、なんとラーマくんに掴みかかった。

 

「押し留めると賜ったのだ!見誤るなよ大英雄!!」

「……!!見事なりディルムッド!その忠義に応える!フィオナ騎士団の名に懸けて!!」

 

 よって、マシュがどれだけ耐えられるのかによって、この戦いの行く末が決まるに等しかった。

 

 

 

 

 

 

(一つだけ、分かったことがあります。)

 

 フィン・マックールの宝具を防ぎながらマシュは考える。

 

(お二人の刃には悪意がないのです、自分達が滅びに加担していることを理解して、尚……

 

きっとそれはこの戦いが、彼らにとってとても“大切”なものだから……

 

何故“大切”なのかわかりません、けれど……)

 

彼女の盾を握る手が強まり、その瞳の輝きも増した。

 

(思えたのです、この人たちと戦った人間としてその想いをちゃんと受け止めたいと、だから……)

【これは……!!】

「………っ!届かぬか……」

 

 無垢なる護り増幅し、破壊を齎す大海嘯を押し除けた。

 

「なんと美しい……」

 

 その光景に、フィン・マックールはそう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「共に、ここまでのようだな……」

 

 宝具を撃ち終えた隙をラーマくんに突かれ、お二人は瀕死となっていた。

 

「だが満足だ、マシュ殿を得られなかったのは残念だがね……」

「申し訳ありませんが、その要求にはお応えできません。」

 

 粛々とマシュはそう応えるも、フィンさんは笑みを浮かべた。

 

「うむ、振られたか!では未練がましくしがみつかず、行くとするか。供回りを頼むぞ、ディルムッド。」

「はは!」

 

 その言葉を最後に、お二人の姿が私達の前から消えていった。その光景を見届けたマシュは……

 

「………」

 

 暫く黙っていたものの、呟く。

 

「結局、彼らの誉れを問うことは叶いませんでした。迷いの答えを見つけることも……

 

でも、何故でしょうか……こんなのおかしいんです。

 

お二人との戦いは今までと違いました。鮮やかで、軽やかで、技を高め合い、互いの練達に想いを馳せる喜びがありました。

 

………おかしいんです、戦いは怖いものなのに。

 

お二人と戦えて、良かったと思ってしまったんです……」

「……マシュ」

 

 私には詳しくはわからないし、応えることはできない。だけどそれはきっと、マシュには苦しくも大切な事だと私は思った。マシュ自身が言ってるように、良かったと思えていて、逆に消してしまいたいとは思ってないのだから。

 すると、婦長さんが口を開けた。

 

「彼らは確かに病原でした。

仮に民間人に手を出してなくとも、戦争に加担した罪は消えない。ですが、戦いの側面に何らかの喜びがあるのも、また事実なのでしょう。

兵ではない私にはわかりませんが、だからこそ英雄譚というのはいつまでも語り継がれるのです。

 

戦いへの忌避も、戦うことの喜びも、同じく胸に懐いていいのです。それが“人間”というものなのだから……

 

貴女の心は健康ですよ、マシュ」

「………ありがとうございます、婦長」

 

 そしてマシュはお二人の居た場所へと振り返り……

 

「ありがとう ございました」

 

 そう言いながら、一礼をしたのだった。

 

 

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