そして最近、改めて深夜テンションって怖いと思いました。
「まさかそんなことが…」
ゼノヴィア達と武達が帰った後、朱乃は風牙の家に行きいつも通り晩御飯を作って一緒に食べていると、今日起こったことを風牙に話した。
実はあの後、祐斗はリアスの元を離れてしまい、下手すると『はぐれ悪魔』として討伐される可能性もあるという危険な状況だと伝えられた。
「流石に放ってはおけないですね…朱乃さん、少しの間、学園を休みます」
「……え?」
風牙の突然の宣言に朱乃は驚愕し、その場に箸を落としてしまった。
大好きな彼に会えないなど彼女からすれば耐えられないものだが、風牙はすぐに訂正する。
「今回のコカビエル討伐の件、魔界に行ってメラシア様に私も参加できないかと許可を貰おうかと思っていまして、しばらく魔界に行くので数日は学園に行けないかもなので、その間は風邪ということで休みます」
それを聞いた朱乃は、確かに彼がコカビエル討伐に参加できるとなれば、成功率はぐんと跳ね上がるだろう。
しかし、そうなると問題も発生する。
「それじゃあ、リアス達に風牙くんの正体がバレるかもしれませんわ」
風牙は、メラシアの命で駒王学園に通っているのだが、その時に悪魔に正体がバレないようにと忠告されていたのだ。
因みに、朱乃に関しては恋人であると手紙でメラシアに伝えると、恋人ならOKと手紙が返ってきたので問題はない。
「まぁ色々言われるでしょうが、できる限り説得してみます。ダメだった時はその時です」
それを聞いた朱乃は、少し不安ではあったが風牙を送り出すことにした。
そして次の日から数日間、風牙は風邪になったということで2〜3日学園を休むことになり、学園の女子達が残念がったのはまた別のお話。
「あーったく、やっぱり昼間だと堕天使どもの情報も全然だな」
「まぁこんな昼間から行動しようとする馬鹿はそうそういないだろうしね」
武と胡座は、この町に潜んでいるコカビエル一向を探していたのだが、今の所進展がないのだ。
そんな時、目の前の光景を見て不思議に思った。
「あれって兵藤一誠じゃね?」
「え…あ、本当だ」
そこには物陰に隠れながら何かを見ている一誠と小猫、そして同じく隠れながら何かを見ている別の男もいた。
そんな三人に、二人は声をかけたのだった。
「おーい兵藤、搭城何してんだー」
「っ!あ、あんた確か昨日の!」
「…昨日ぶりです」
「え、誰?」
一誠と小猫は驚いていたが、一緒にいた金髪の男性『
「おうお久、それよりもさ、お前らなーに見てん…の……は?」
「どうしたんだ武……え?」
二人が固まってしまうのも無理はない。今目の前の光景を見たらそうなる。
「えー、迷える子羊にお恵みをー」
「どうか!!天の父に代わって哀れな私達に御慈悲をぉおおおおおお!!!」
そこには、露頭で祈りを捧げる白いローブの女性達…どう考えてもゼノヴィアとイリナがいたのだ。
「何て事だ。これが超先進国であり経済大国日本の現実か。これだから信仰の匂いもしない国は嫌なんだ」
「毒つかないでゼノヴィア。路銀が尽きた私たちはこうやって、異教徒どもの慈悲なしでは食事も摂れないのよ?ああっ!パン一つさえも買えない私達!!」
「そもそもイリナ、お前がそんな詐欺まがいの変な絵画を購入するからこうなったんじゃないか」
そうゼノヴィアが忌々しそうにも聖人らしき者が書かれた絵画を見る。
どう考えても素人が落書きしたようにしか見えないクオリティ出会ったが…
「何を言うの!この絵には聖なるお方が描かれているのよ!展示会の関係者もそんな事を言っていたわ!」
「じゃあ誰かわかるのか?私には誰一人脳裏に浮かばない」
「…多分、ペトロ…様…?」
「ふざけるな。聖ペトロがこんなわけないだろう。…まったく、これだからプロテスタントは異教徒だと言うんだ…!」
「何よ!カトリックの方が異教徒じゃない!」
昨日の感じが嘘のように言い争っている二人を見ていると、なんか昨日真面目に戦ったのが馬鹿みたいに思っていた。
「…やめましょう」
「…そうだな」
お腹が空いているからかすぐに喧嘩を辞めた二人だった。
「ったく、そろそろ声かけてやるか…あれ、胡座は?」
武がそう言うので一誠と小猫は辺りを見渡すが、なんと胡座がいないのだ。
「…まずはどうにかして腹を満たそう。そうしなければエクスカリバー奪還どころではない」
「…そうね、それじゃ異教徒を脅してお金もらう?主も異教徒相手なら許してくれそうなの」
「法的処置を受けて終わると思うよ」
すると何と、胡座は二人のそばに行き、やばそうな行動をしようとしていた二人に話しかけたのだった。
「お前は…楠神胡座!」
「何しに来たの!…まさか、私達が空腹時に狙いに来たの……卑怯よ!」
「そんな訳ないだろう。取り敢えず立ち話もなんだし、そこの飲食店に行かない。僕が奢るよ」
「うまい!日本の食事はうまいな!」
「うんうん!これよ!これが故郷の味なのよ!」
「よっぽど腹減ってたんだお前ら…」
「提案したの僕だけど、財布の中がやばいかもしれない」
しばらく食べていた二人だったが、お腹いっぱいになったのか満足そうな顔を浮かべていた。
「はふぅー、ご馳走さまでした。ああ、主よ。心やさしき人間に祝福を…」
「……」←祈り中
そうして祈り始める二人だったが、一誠、小猫、匙の三人は痛みからか『うっ!』と頭を抱えた。
「あらっ、ごめんなさい。つい十字を切ってしまったわ」
テヘっと謝るが三人は悪魔なので笑い事ではない。
「で、私達に接触した理由は?」
そして昨日と同じ緊張の空気が再び漂うが、一誠がその問いに答えた。
「エクスカリバーの破壊に協力したい」
その答えに流石の武と胡座も驚いた。
「……そうだば、一本ぐらいは任せてもいいかもしれない」
すると、意外にもゼノヴィアがその提案に乗った。
「ちょっとゼノヴィア、いいの?相手は一誠君とはいえ悪魔なのよ?もし上にバレたら問題よ」
それに異を唱えるイリナ。まぁ当然といえば当然だろうか。
「イリナ、正直言って私たちだけでは三本回収とコカビエルとの戦闘は辛い。彼らには正体を隠してもらえれば大丈夫だ」
「確かにそうかもしれないわ、けれど!」
「私達が奥の手を使ったとしても任務を終えて、無事帰れる確率は三割程度だ」
「それでも、高い確率だと私達は覚悟を決めてこの国に来たはずよ」
「上にも任務遂行して来いといわれた。自己犠牲に等しい」
「それこそ、信徒の本懐じゃないの」
イリナのその発言を聞くと胡座は目に見えてイライラし出した。
「気が変わったのさ。私の信仰は柔軟でね、いつでもベストな形で動き出す」
「前から思っていたけど、信仰心が微妙におかしいわ!!」
「否定はしないよ。だが、任務を遂行して無事帰る事が本当の信仰と信じる。生きて、これからも主のために戦う。違うか?」
「違わないわ、でも・・・・」
「だからこそ、悪魔の力は借りない。代わりにドラゴンの力を借りる。上もドラゴンの力を借りるなとは言っていないしね」
ゼノヴィアがそこまで言うとイリナは何も言えなくなっていた。
そして一誠はスマホである人物に電話をかけたのだった。
ザルバ『仲間の無念を背負う。言葉だけ見れば誰かのために見えるが、俺様からすれば言い訳にしか聞こえないな』
次回、怨念
それがいつか、自分の足元を掬うかも知らないぜ