後20分でこの町が消滅する。
そんなことを聞いて黙っていられる者などこの場には居なかった。
「そんな事させるかよ!」
そう叫び武がコカビエルに飛び掛かるが、アスモダイがそれを阻んだ。
『お前達魔戒騎士の相手は俺だ』
「ッチ!」
「仕方がない。…皆んな!コカビエルは任せる!」
そしてアスモダイと魔戒騎士二人の戦いが始まった。
そしてそれと同時に、リアス達とコカビエルの戦いも始まった。
「やれやれ、アスモダイも勝手なことをする…フリード」
コカビエルが名を呼ぶとすぐさまフリードは現れた。
「陣のエクスカリバーを使え。最後の余興だ。4本の力を得たエクスカリバーで戦ってみせろ」
「へいへい。まーったく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスなカリバーちゃんを使えるなんて光栄の極み、みたいな?うへへ!ちょっくら悪魔でもチョッパーしますかね!」
コカビエルの命令にフリードはバルパーの作り出した聖剣を手に取る。
「リアス・グレモリーの『騎士』!!こんな時に言うのもアレだが、共同戦線が生きているのならばこいつが持つエクスカリバーを破壊しよう!」
「っ…いいだろう。だが聖剣を破壊するのはそちらとしてはまずいんじゃないのかい…?」
「最悪私はあのエクスカリバーと核になっている『かけら』さえ回収できれば問題ない!この様な外道が持っている以上これはもう聖剣であって聖剣ではない!…使うものによって場合が変わる。アレは異形の剣だ!」
流石に状況が状況であるためかゼノヴィアもエクスカリバーの破壊を承認し、フリードと剣を交えた。
すると祐斗はバルパーと向き合う。
「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや、正確にはあなたに殺された身だ。悪魔に転生した事で生き永らえている」
「ほう、あの計画の生き残りか、これは数奇なものだ。こんな極東の国で会う事になろうとは。縁を感じるな」
するとバルパーはニヤリと笑みを浮かべながら話し始めた。
「私はな、聖剣が好きなのだよ。それこそ夢にまで見る程にな。幼少の頃、エクスカリバーの伝記に心を躍らせたからなのだろうな。だからこそ、自分に聖剣使いの適性が無いと知った時の絶望と言ったらなかった。自分では使えないからこそ使える者に憧れを抱いた。その想いは高まり、聖剣を使える者を人工的に創り出す研究に没頭する様になったのだよ。そして完成した。君達のお陰だ」
「なんだと!完成した!?お前が僕達を失敗作だと断じて処分したじゃ無いか!」
「否、聖剣を扱うのには必要な因子があると知ったのだ。かのアーサー王が竜の因子を持つかのように、君達被験者少年少女には確かに聖剣を扱える因子はあったが、そのエクスカリバーを使うまでには満たなかった…だが私は一つの結論に至った。…『因子だけを抽出し一つに集める』とな」
するとバルパーは懐から結晶の様な物を取り出した。
「そして結晶化することに成功したのだ。これはあの時の因子を結晶化したものだよ」
ゼノヴィアはその結晶を見たことがあった。
「あれは、聖剣使いが祝福を受ける時あのようなモノを身体に入れられるが…成程、因子の不足分をアレで補っていたという訳か…」
「これにより聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。だが教会の者どもは私だけを異端と排除し、研究資料を奪ったのだ…貴様を見るに私の研究は誰かに引き継がれてる様だ。ミカエルめ、私を断罪して努力の成果だけを奪うとはな…まぁあの天使の事だ。因子だけ抜いて殺すまではしていないと思うが…」
「同志達を殺して、聖剣の適性因子だけを取り除いたのか!?」
「そうだ、この球体はその時のものだ。まぁ三つほどフリード達に使ってこれが最後の一つとなってしまったがね」
「ヒャハハハ!俺以外の奴らは途中で因子に体がついて行けなくなって死んじまったけどな!ま、俺様がスペシャルだったてわけよ!」
フリードはそう言いながらゼノヴィアとの戦闘を続ける。
バルパーは結晶をかざしながらそう言っていたが祐斗は特大の殺気を出しながら再び口を開いた。
「…バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望のために、どれだけの命を弄んだんだ…!」
「ふん。それだけ言うのならば、この因子の結晶を貴様にくれてやる。環境が整えば後で量産出来る段階まで研究はきている。まずはこの町をコカビエルと共に破壊しよう。後は世界の各地で保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。そして聖剣使いを量産し、統合されたエクスカリバーを用いてミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けてくれる。私を断罪した愚かな天使どもと信徒どもに私の研究を見せ付けてやるのだよ」
バルパーはそう言うと持っていた結晶を祐斗の足元に投げた。
祐斗は足元に落ちた結晶を拾うとそして哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、結晶を撫でた。
「皆……」ギュッ
そして祐斗の目から涙が流れる。
その時だった。祐斗の持つ結晶が淡い光を放つ。それはまるで祐斗を優しく包み込む様に、抱きしめるかの様に光り輝いていた。
そして校内の地面からポツポツ、と光が浮き形を創り出す。
そして祐斗を囲み、現れたのは青白い光を放つ少年少女達だった。
「これは……?」
「人…?」
「あぁ…、そんな風に見えるな…」
「おそらく、この戦場に漂う様々な力、そして、祐斗君の心の震えが、結晶から魂を解き放ったのですわ」
一誠、アーシア、小猫が不思議そうにその光景を見ていると、朱乃がそう説明する。
「みんな…僕は…僕は…!」
祐斗は彼等を見て、涙を流しながら話す。
「ずっと…ずっと思っていたんだ…僕が、僕だけが生き残っていいかって…!僕より夢を持っていた子がいた。僕よりも生きたかった子がいた…!僕だけが平和な…幸せな暮らしをして良いのかって…!!」
そう後悔を口にする祐斗だったが、霊魂の少年の1人が微笑みながら祐斗に何かを伝える。
「…《自分達の事はもういい。キミだけでも生きてくれ》彼等はそう言ったのです」
朱乃が一誠にそう説明していると、霊魂のの言葉が伝わったのか、祐斗の目から涙が溢れてくる。
そして、魂の少年少女達は口を開くと歌を歌い出した。
「…聖歌」
アーシアがそう呟く。
そう、彼らは聖歌を歌っているのだ。そして祐斗も涙を溢れさせながら聖歌を口ずさみ出した。
『僕らは1人ではダメだった――』
『私達は聖剣を扱える因子が足りなかった。けど――』
『皆が集まれば、きっと大丈夫――』
先程まで聞こえなかった声が聞こえてきた。本来、聖歌を聴けば悪魔は苦しむのだが、一誠達は一切苦しみを感じない。
寧ろ友を、同志を想う温かさを感じ、涙を流す者もいた。
『聖剣を受け入れるんだ――』
『怖くなんてない――』
『神がいなくても――』
『神が見ていなくても――』
『僕達の心はいつだって――』
『――ひとつだ』
すると、魂のがひとつひとつ天へと昇っていき、ひとつの大きな光となって祐斗を包み込んだ。
『…相棒』
その時、一誠の籠手に宿りし『赤龍帝ドライグ』が一誠に語りかける。
『あの騎士は至った。神器は所有者の想いを糧に変化と進化をしながら強くなっていく。だが、それとは別の領域がある。所有者の想い、願い、この世界に漂う"流れ"に逆らう程の劇的な転じ方をした時、神器は至る。…… それこそが、
この日、木場祐斗は友達の願いを胸に新たな力に目覚めたのだった。
ザルバ『光と闇は交わらない。それがこの世の掟だった。しかし、それはもう過去の話だ』
次回、聖魔
覚醒せよ!友の願いを背に乗せて!