621先生概念   作:脳を焼かれた一般AC乗り

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私は上手に脳内の概念を捻出できていますでしょうか……。
心配だ……けれどそれよりずっと楽しいです。


621先生概念

 

 

 

 

 

 

 

 

何もかもを焼き尽くした。

 

企業、解放戦線、封鎖機構。

ルビコニアン、戦友、RaD、友人。

 

そして、ウォルター。

 

全て、コーラルと共に焼き払った。

 

 

 

 二度目の火により燃え尽きたルビコン3。そこから僅かばかりに離れた宙域に、燃え滓を乗せたACが漂っている。

 使命を果たした戦士に賞賛の拍手を送る者は誰一人としていない。ただひたすらに空虚な時間と空間が続いている。

 

『解除条件をクリア』

 

その静寂を、無機質な声が破った。

 

『ハンドラー・ウォルターからのメッセージを再生します』

 

『……621』

 

『仕事は終わったようだな』

 

『お前は自ら選び、俺たちの背負った遺産を清算した』

 

『すまない』

 

『そして感謝しよう』

 

『621』

 

「お前を縛るものはもう何もない」

 

これからのお前の選択が

 

お前自身の可能性を広げることを祈る

 

 

 

 飼い犬がどうして野生に戻れようか。

 

今までの人生が、決して普通の生活ではなかったとしても。

 

でも、それでも私は。

 

あの時間がとても、幸せだった。

 

だから、ウォルター。

 

たった一人、私の恩人。

 

私の、飼い主。

 

 

 

置いて、いかないで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い……」

 

「んせい……」

 

「先生、起きてください!」

 

肩を揺さぶられながら起こされる。

 

重い瞼を持ち上げ、声のする方に振り返る。

 

「また仕事を溜めたまま寝落ちして……大人なんですから、しっかりしてください」

 

"あはは……ごめんね、ユウカ。"

 

青紫色の髪に、機械的な装飾が目立つ少女。

"早瀬ユウカ"が、私を起こしてくれたみたいだ。

 

ぶつくさと文句を言いながらも書類整理を再開するユウカに習い、手元の書類に目を向ける。

 

これが私の今の"仕事"。

大量に積み重なった書類一つ一つに目を通し、適切に処理していく。

もう前のように、自らの手を血で汚さなくていい仕事。

もう何も、失わなくていい仕事。

 

でも……

 

"やっぱりちょっと面倒だな……"

 

「先生!手を動かしてください!」

 

"はい……"

 

動きの重い私の指を、窓から差し込む光が照らしている。

窓の向こうに見えるのは、この星の空。

コーラルの赤い潮流に覆われた空ではなく、どこまでも澄み渡る青色の空。

とても気分がいい。清々しい、いい気分だ。

初めは遅かった手の動きも、次第に早くなっていく。

 

 

 

「とりあえず、これで今日の分は終わりです」

 

数時間が経過し、最後の書類の処理が終わった。

 

"本当にありがとう、助かったよ。"

 

ここまで手伝ってくれたユウカに感謝の意を伝える。

すると彼女は、また文句をいいつつも、今度は満更でもなさそうな顔を浮かべていた。

 

"そうだ、冷蔵庫にスイーツがあるから食べていいよ。"

 

「いいんですか、先生!」

 

"下のコンビニで買ってきたやつだけど、よかったら。"

 

「ありがとうございます!先生!」

 

無邪気な、年相応の反応で目を輝かせている。

昔の私──いや。年を食い、エナジードリンクを飲んで徹夜に明け暮れる私に、そんな目はできない。そんな眩しい目は。

だからこそ、そんな彼女達がより羨ましく、微笑ましく見える。

私もそんな青春が送りたかった。

 

どんな理由だったかなんて覚えちゃいない。

手術を受け、脳にコーラルを植え込まれ、失敗作として保管庫送りにされていた。

だが、気がつけば"あの人"に拾われていて、懐いていた。

ただの道具である私を、人として扱ってくれた"あの人"に。

私の選択を尊重してくれた、"あの人に"。

 

だからこの仕事を引き受けた。

かつて貴方がしてくれたように、私もこの子達の選択を尊重する。

ようやく始まった普通の人生は、未だ正しいものかはわからない。

でも。

 

 

 

「お前のような脳を焼かれた独立傭兵でも、人生を買い戻せるほどの大金が得られるはずだ」

 

大金は全部焼けて消えてしまったけれど、人生はこれから取り戻します。

 

 

 

私の、遅れた青春の記録(Blue Archive)を。

 

 

 

だから、いつものように見守っていてください。

 

ウォルター。

 

私だけのハンドラー。

 

 

 

 




ブルアカとAC6に脳を焼かれた人間です。初めまして。
とりあえず手を動かして書いたので誤字脱字、その他諸々の問題点についてはスウィンバーンを見るような目で見ていただけると幸いです。
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