621先生概念   作:脳を焼かれた一般AC乗り

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先日は投稿サボってしまい申し訳ございませんでしたァ!!!!

リアルが忙しいかったのと構想練るのに時間かかったのと爆睡かましたのとで投稿できませんでした。怠惰な私を…許してくれ…

それではアビドス編第一話、お楽しみください。


アビドス編第一章
アビドス高校への出張


 

 

 

 全ては消えゆく余燼に過ぎない。 ─サム・ドルマヤン─

 

 

 

 シャーレ奪還から1週間ほどが経っただろうか。

奪還した翌日から今に至るまで、既に用意されていた書類や連邦生徒会から回される仕事をこなし続けている。

 正直に言おう、辛いと。

 最初のうちは楽だったが、仕事をこなせばこなすほどまた新たな仕事が回される為、連日徹夜で作業する日もあった。コーヒーを飲むといいと聞いたので飲んでみたが、それでも耐えられない時はエナジードリンクに頼ったり、自分の顔を思いっきり叩いたりして眠気と格闘した。

 今日は久々に睡眠が取れた……というか、気がつけば時計の針は同じままで日付だけが変わっていた。寝ぼけた目を擦りながらスマホでニュースを見ていたら、"過労死"というのがトピックに上がっているのを見つけた。"過労死"とは、呼んで字の如く、働き過ぎで死ぬことを意味する言葉だそうだ。

 睡眠すら取れない、不健康極まりないこの生活を続けていれば、いつかは私も"過労死"してしまうのではないのだろうかと不安になる。

 これならばルビコンでの仕事の方が……いや、あちらもいつか死ぬ可能性があるという点では、程度の差はあれど、今の仕事と変わらないのかもしれない。……いや、ルビコンの方が死ぬ確率は圧倒的に高いじゃないか。

 突然の仕事漬けの生活に慣れていないのか、思考能力が大幅に低下しているのがわかる。どこかで気分転換でもしたいものだが……。

 

"おや……?"

 

 今やっていた書類の作業を終え、次の書類へと手を伸ばした時、触れたものの感触が他の書類と違うのに気がついた。コピー用紙ではない、固く無機質な感触。

 目をやると、そこにあったのは白の洋封筒だった。封筒には所々砂のようなものがついている。

 

ピロン

シッテムの箱から音がする。

画面には、"先生にお知らせがあります"とメッセージがあった。

 

 

 

「おはようございます!先生!」

 

"おはようアロナ。お知らせって何のこと?"

 

「はい!実は本日届いた先生宛の書類の中に、一つだけ手紙が入っているんですが……。」

 

これのこと?と言って手に持っていた封筒をアロナに見せると、それです、と彼女は言う。

開けると、中には丁寧に折り畳まれた便箋に、手書きの文字で支援要請を求める内容が書かれていた。

 

 

 

『連邦捜査部の先生へ』

 

─こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。今回どうしてもお願いしたいことがありまして、こうしてお手紙を書きました。━

 

 

 

「全員撃ち続けろ!アビドスの連中なんて私らの敵じゃねえ!!!」

 

 何百もの鉛玉が、机やロッカーで出来た簡易バリケードの隙間を通り抜けていく。なまじ数の多い敵に対し、こちらは僅かに5人だけ。

しかし……

 

「みんな、行くよ!」

 

敵の弾幕が晴れた後、遮蔽から身を乗り出したのが一人いる。ピンク色の長髪を靡かせながら、彼女は身の丈程もありそうな盾を構えて敵へと突撃する。

 

「なんだこいつ!?」

 

 遮蔽に隠れていた相手が急に単騎で突入して行くので、敵はその一人に射撃を集中させる。しかしその撃った弾全てが、彼女の持つ盾に弾き飛ばされる。敵からしてみれば、さっきまで壁だったところから突然戦車が突っ込んでくるようなものだ。

 数はあるが練度はない故、敵は混乱したまま他のアビドス生からの支援射撃と、前線を突破し自分達の陣地内で暴れ回る少女に次々と薙ぎ倒されて行く。

 こうして、襲撃者対アビドスの戦いは、またしてもアビドスの勝利で終わったのだった。

 

 

 

─単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。それも、地域の暴力組織によってです。─

─こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが……。どうやら、私たちの学校の校舎が狙われているようです。─

─今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底をついてしまいます……。─

 

 

 

「今回も何とかなったはいいけど……。」

 

「そろそろ予備の弾も切れそう。」

 

「どうしましょうか……。」

 

弾薬の数と反比例し、襲撃者達の来訪は日を追うごとに多くなっている。満足に弾薬も使えない中、今まで乗り切ってきていたが、残りの弾薬ではどう考えてもあと一度の襲撃にしか耐えられないところまで来ている。

 

「誰かおじさんたちに弾をくれる神様でもいないもんかね〜。」

 

「そんな都合のいいこと起きるわけないじゃない!」

 

「み、皆さん落ち着いてください……!」

 

 

 

─このままでは、暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です。─

 

 

 

「こんな状況でどうやって落ち着けっていうの!?」

 

「……最近設立された、連邦捜査部というところに支援要請を出しました。」

 

「その要請が受理されれば、もしかしたら……。」

 

 

 

─それで、今回先生にお願いできればと思いました。─

 

「先生、どうにか私たちの力になっていただけませんか?」

 

 

 

「アビドス高等学校……。」

 どこかで聞いたような名前だ。

だがそう感じるだけで、どこで聞いたのかが思い出せない。ひょっとしたら、似た語感の言葉と勘違いしているのかもしれない。

 そんなことより、今現在も彼女たちは孤独に戦い続けている。支援要請を無視すれば、連邦捜査部、ひいては連邦生徒会の名誉に関わるかもしれない。そもそも、見捨てる気など最初から微塵もない。

 まずは簡単なものからだと思っていたが、初めての出張は存外に大きなものとなりそうだ。

 

仕事の時間だ、鴉飛レン。

 

"アロナ、その学園に関する情報を教えてくれないかな。"

 

 任せてください、と返事が返された後、彼女の説明が始まった。

 

「アビドス高等学校は、とても大きな自治区でして、キヴォトスで一番栄えて"いた"自治区です。」

 

"いた"ということは、今はそうではないらしい。仮に今もキヴォトスで最も栄えている学園であったとするならば、ゲヘナ・トリニティ・ミレニアムの並びの中にアビドスも含まれていただろう。

 

「ですが数十年前から始まった気候変動により大規模な砂嵐が頻発、砂漠化が急速に進行し、自治区内の街も厳しい状況となっていると聞きました。」

 

「ちなみに、自治区が大きすぎて町のど真ん中で道に迷って遭難する人もいたそうです。」

 

 さすがに冗談だとは思いますが、と彼女は続ける。

かつて栄華を極めたアビドスは、今では地元の暴力組織に襲撃される程に力が衰えている。コーラルを研究し発展した技研都市も、結局は遺物だけを残して消滅してしまった。

 どこであろうと、形あるものは全て消えゆく運命にあるらしい。

 

"よし、じゃあ行こうか。"

 

「すぐに出発ですか!?さすが大人の行動力!」

 

 暴力組織に襲われる学園を守る為に戦い続けるいたいけな少女達を助けるという大義名分を得た私は、早速準備へと取り掛かった。

 

「ところで先生、この積み上がった書類はどうするんですか?」

 

"今も戦い続ける少女達を放っておいて何が大人だ!私は行くよ!アビドスに!!"

 

「え、えー!?」

 

山のように積まれた書類を背に、私はシャーレを後にする。

 

 

 

……なお後日、普通にアビドスまで書類が送られてきて私は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 燦々と輝く太陽が照らす道路を走っていると、乾燥した砂漠の風が体の隙間を通り抜けていく。その心地良い感覚のまま、ペダルを漕ぎ続ける。

 砂漠から飛び出しているビル群を横目に自転車を漕いでいると、道路の先に何かがあるのが見える。そのまま自転車を漕いでいき、何かとの距離が近づくにつれ、その輪郭がはっきりとし、それが何であるかを理解した。

 

「人……?」

 

 自転車にブレーキをかけ、その場に停めてから倒れている人へと声を掛ける。大丈夫かと聞くと、その人物は弱々しく首を縦に振った。どこが大丈夫なんだろうか、と疑問に思う。

 話を聞くと、強盗や事故などではなく、単にお腹が減って倒れていただけらしい。てっきりホームレスか何かだと思っていたが、それにしては服がきっちりとし過ぎている。もしかしたら、初めてアビドスへと来た人物なのかもしれない。

 

"用事があって数日前にここに来たんだけど、どこにもお店が無くてね……もう喉もカラカラだしお腹もペコペコだよ。"

 

「災難だったね。ここは元々そういう所だから、食べ物を売ってる店なんかとっくに無くなってる。」

 

 郊外の方であれば市街地があると伝えると、土地勘が無いから分からなかったと返される。やっぱり、アビドスに来るのは初めてだったようだ。

 今にも死にそうな様子なので、とりあえず持っていたライディング用のエナジードリンクを飲ませようと手渡す。

 

「えっと、コップは……。」

 

"ありがとう、ほんとに死ぬ寸前だったから助かるよ!"

 

 そう言うと目の前の人物は、先程渡したエナジードリンクに口をつけて飲み始めた。ついさっきまで、私が口をつけて飲んでいたものに、見ず知らずの他人が同じように口をつけている。

 意図せず"間接キス"となってしまったことに恥じらうが、本当に美味しそうに飲んでいるので、その事実は伝えないことにした。

 改めて目の前の人物を見ると、服装から察するに連邦生徒会から来た人物であるようだ。それも、生徒ではなく、大人。もしかして……。

 

「アビドスに行くの?」

 

"うん、そうだよ。"

 

 久しぶりのお客様は、連邦生徒会からやって来た大人だ。

 お客様の荷物を自転車の籠に乗せ、客人の大人と一緒に通学路を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 偶々通りがかった生徒に助けられ、導かれるままに学園へと到着し、そのままとある部屋へと案内された。部屋の扉には"アビドス廃校対策委員会"と書かれた紙が貼ってある。

 

「ただいま。」

 

「おかえり、シロコ先輩……!?」

 

 猫のような耳の生えた黒髪ツインテールの生徒が、驚いたような表情でこちらを見ている。何時間も砂の混じった風が吹く場所で倒れていたから、もう体中が砂まみれとなってしまっている。

 得体の知れない、砂に塗れて汚れた大人が突然目の前に現れたのだから、驚くのも無理はないだろう。

 

「だ、誰よその人!?」

 

「シロコちゃん、もしかしてその人拉致して来ちゃったんですか!?」

 

「ら、拉致!?シロコ先輩がついに犯罪に手を……!!」

 

 私を助けてくれた生徒──シロコは、ひょっとして相当にヤバい生徒なのか。見知らぬ人間を連れて来ただけで拉致を疑われるとは……常日頃からそういった言動を取っているのか?

 

「みんな落ち着いて、今ならまだ間に合うから!」

 

 シロコ以外の全員がパニックの状況に陥っており、シロコが困ったような反応をする。

 

「いや……拉致してないから。」

 

 へ?、という間抜けな声と共に、全員の動きが止まる。

 

「うちの学校に用があるんだって。」

 

「お、お客さん……?」

 

"はじめまして。シャーレの顧問先生だよ、よろしく!"

 

 またしても、驚いたような反応をされた。支援要請をしたのだから、誰かが来ることくらい予想はできるだろう。……まさか、今までは支援要請が受理されなかったのか?

 

「これでついに……弾薬や補給品の援助が受けられます……!!」

 

 若干涙ぐみながら喜んでいる様子から、やはり自分の考えは間違っていないのだと分かった。連邦生徒会は一体何をしていたんだと思ったが、連邦生徒会長の失踪に加えサンクトゥムタワーの制御すら出来なかったので、ここまで手が回らなかったのだろうと推測し、遺憾の意を抑えた。

 

「早くホシノ先輩にも伝えてあげないと……あれ?ホシノ先輩は?」

 

「委員長は隣の部屋で寝てるから、起こしてくる。」

 

 セリカが部屋を出たその瞬間、銃声が部屋に響き渡った。

 

 

 

 アビドス高等学校の校門前に、百名余りの戦闘集団が押し寄せている。その全てが頭にヘルメットを被り、素顔を隠し、冷酷な雰囲気を漂わせている。

 

「奴らは既に弾薬の補給を断たれている。襲撃せよ、攻撃せよ、殲滅せよ、略奪せよ!」

 

「今日に至るまで苦汁を嘗めさせられてきた我々に、漸く月が回ってきたのだ。敵の大将たる者は古今無双の英雄で、それに従う兵も共に剽悍決死の士。」

 

「だが我々は今日この日この瞬間の為に備えてきたのだ。敵が如何に強大で堅牢であろうとも、消耗して赤子同然と化した連中に、どうして我が軍勢が負けようか。」

 

「我々は所詮100人と1人の戦闘団。だが諸君らは幾度もの戦場を潜り抜け、一騎当千の強者であると私は信じている。ならば我々は10万と1人の大軍勢となる。」

 

「我々をただの雑兵だと侮る連中の目を変えさせてやろう。」

 

「連中に不可逆の絶望を教えてやろう。」

 

「諸君よ、君達は闘争を、地獄のような闘争を望むか。」

 

 頭目の問いかけ──否。最早問いではなく確認のそれに、兵達は皆、眼を狂わせ発狂する。

 

「闘争を!地獄のような闘争を!」

 

「砂塵の中を水滴ひとつ飲まずに進む闘争を!」

 

「障害を小石のように蹴り飛ばす情け容赦のない闘争を!」

 

「降伏した敵から何もかもを奪い自らの糧とする闘争を!」

 

「地獄という言葉では生易しい、人が為せる狂気に塗れた闘争を!」

 

「我が身体は求める!狂気の闘争を!我が身体が求める!正気を捨てた闘争を!」

 

「身体は闘争を求める!!」

 

 こうして、カタカタヘルメット団によるアビドス襲撃が始まった。

 

 

 

「武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団です!!」

 

 どうやらまた、襲撃が始まったようだ。しかし今回は私の持ってきた支援物資がある。派手に行こうじゃないか。

 

"みんな、これを使って!"

 

 背負っていたリュックから、ありったけの弾薬をこれでもかと取り出す。唖然とした様子で皆私を見ていたが、すぐに感謝の意を述べ、戦闘の準備へと取り掛かった。

 

「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで起きて!!」

 

 そこへ、先輩を起こしに行った猫耳ツインテールの生徒が戻ってくる。そして後ろには、手を引かれながら連れてこられた生徒が一人いる。

 

「むにゃ、まだ起きる時間じゃ……。」

 

 目を開いたその生徒は、数秒私を見た後、さっき迄のゆったりとした雰囲気を変え、圧を感じさせるような目でこちらを睨みつける。

 

"はじめまして。挨拶したいけど、今はそれどころじゃないみたい。"

 

「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃して来ました!そちらの方はシャーレの先生です!」

 

 その言葉を聞いて、睨みつける目が緩んだ。何だったのだろうか。

 

「そりゃ大変だね。あぁそれと、先生?だっけ?よろしく。」

 

 遅れて来た二人も装備を整え、皆が駆け足で校庭へと向かっていく。私と残った一人の生徒はそれを見送り、彼女達の戦闘をサポートすることとなった。

 

 

 

「先生……あとで話は聞かせてもらうよ。」

 

 

 





ついに始まったアビドス編第一話、いかがでしたでしょうか。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、プロローグ編1話から3話までのサブタイトルはAC6とブルアカのbgmのタイトルから取っていて、今後もおまけ話以外はそうする予定だったのですがなかなか内容に合いそうなタイトルを見つけられなかったので断念しました。なんとなくでやると良くない例です。はい。

次回は戦闘シーンか戦闘が終わった後からのお話になります。
明日中には投稿できるよう努力します。

ちなみに、今回出てきたヘルメット団は様子がおかしいですが、特にコーラルとは関係ありません。単純に狂ってるだけです。
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