境界線上のホライゾン~王のための剣と盾~   作:Koy

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境界線上の整列者達

 

トーリの発言。それは、

 

「ホライゾン! 俺と一緒に世界を征服しに行こう!」

 

世界征服宣言だった。

 

「俺のせいで奪われた、お前の感情である大罪武装を集めていけば、お前は元のお前を取り戻せる。末世解決しながら、イチャイチャしながら、いろんなことしていこうぜ!」

 

だから、とトーリは振り向いた。

 

「だからまあ、頼むわ全世界! 大罪武装寄越してくんね? 嫌なら戦争しようぜ。戦い、ぶつかり合い、相対、交渉何でもいい。ホライゾンの感情をくれる理由ならなんだっていいんだ!

 

――神道、仏道、旧派、改派、唯協、英国協、露西亜聖協、輪廻道(ダンハイ)七部一仙道(オウト)

 

魔術(テクノ・マギ)、剣術、格闘術、銃術、機馬、機動殻、武神、機獣、機鳳、機竜、航空戦艦

 

人間、異族、市民、騎士、従士、サムライ、忍者、戦士、王様、貴族、君主、帝王、皇帝、教皇

 

極東、K.P.A.Italia、三征西班牙(トレス・エスパニア)六護式仏蘭西(エグザゴン・フランセーズ)、英国、上越露西亜(スヴィエート・ルーシ)、P.A.Oda、清、印度連合

 

金、権利、交渉、政治、民意、武力、情報、神格武装、大罪武装、聖譜顕装、五大頂、八大竜王、総長連合、生徒会

 

男も女もそうでないのも若いのも老いたのも生きてるのも死んでるのも、

 

そしてこれら力を使って相対できる、武蔵と俺達とお前達の感情と理性と意思と他、色々

 

多くの、もっともっと多くの、俺が知らない皆の中で――――

 

誰が一番強いのか、やってみようぜ!!」

 

それを聞いた葉月は、苦笑する。

それはつまり、

 

(どんな難癖つけてでも、戦争するぜってことじゃねえか。まったく。相変わらず馬鹿だな)

 

だが、そんな馬鹿と約束し、尚且つそれを守っている自分も馬鹿の一人なのだろう。

と、そんな中、トーリが疑問顔になる。

 

「あれ? なあ俺、どうしてコクるはずが世界征服宣言してんの?」

 

考えて喋れ! と遠くで正純がツッコんでそうだな、と葉月は思った。

ここでホライゾンがトーリに言う。

 

「成程。今の理論は明確でとても分かりやすいです」

「え、マジ!?」

「しかし、それは貴方の理論です。ホライゾンの理論ではありません」

 

超正論、と誰しもが思った。

 

「ホライゾンは自分の喪失によって、極東の損失を防ぎたいと思います。お帰りください」

「俺が、お前が消えるのが嫌だって言ってもか!」

「疑問しますが、何故嫌なのですか?」

「え、そ、そりゃあそのぉ、人前で言うには恥ずかしいっていうかぁ……」

『モジモジするなぁー!』

「トーリ! さっさとしろよ! 巻け、巻け!」

 

葉月がそういうと、トーリはいじらしくにやけた。

 

「そんなん! お前のことが好きだからに決まってんじゃん!」

「よっしゃあああああああ!!」

 

トーリがホライゾンに告白すると、味方からは歓声が上がった。

 

武蔵の艦上では、鈴が顔を真っ赤にし、ナイトとナルゼも頬を上気させてガッツポーズをした。

 

しかし、

 

「そうですか。しかし残念ながら、自動人形には感情がありませんので『好き』ということが分かりません」

「……」

 

つまるところ、

 

「ここまで来てフラれやがった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

トーリはやや意気消沈気味だったが、やがていつもの調子を取り戻す。

 

「自動人形の判断だろうが、俺の本能には敵わねえぜ!」

 

そういうと、いきなり空中を揉みだしたトーリ。

 

「それに、ネイトがノーブラで乳揉ませてくれたからな。例え硬くても大丈夫だって分かったからな、行けるぜ!」

「テメェは何言ってんだこのボケェ――――!!」

 

ブンッ、と葉月は手に持った杖をトーリに投げつける。

それは見事に頭に命中した。

 

「おおおっ!? あ、アブねえ……。お、おい葉月! 何するんだよ! 危うく俺即死するところだったぞ!!」

「黙れ変態。これ各国に流れてんだぞ」

「あ、そうだった! ヤベェよ! これでネイトが薄いってことが全国にバレちまったじゃねえか!!」

「そういうことじゃねえだろ! つうかもういい! さっさと言うこと言えこの馬鹿!」

「おうよ! あ、安心しろよネイト! 世界にはもっと薄い奴がきっといるからさ!」

『最悪ですのよ――――!!』

 

だろうなー、と他人事のように(実際に他人事だが)葉月は考える。

 

(あーもう。いつも通り過ぎて緊張感が台無し……)

 

だが状況は悪い。

ホライゾンは、自動人形の判断により自分の自害によって極東を存続させようとしている。

確かにそれが最善なのだろう。だが、

 

(それじゃあトーリは満足しないな)

 

トーリの望みはホライゾンに告白すること。

そして、出来れば共に歩みたいということ。

 

そのために自分に出来ることは、

 

花の香りよ(フラーグランディア・フローリス)

仲間に元気を(メイス・アミーキス・ウィゴーレム)

活力を(ウィーターリターテム)

健やかなる風を(アゥラーム・サルーターレム)

Refectio(レフェクティオー)

 

葉月がそう唱えると、自陣に柔らかな風が吹いた。

それらは、味方の間をそよいでいった。

 

「おっ。なんかいい匂いのする風だな」

「Jud.――――――貴方が起こしたのですか?」

 

と、上からホライゾンは葉月を見る。

 

「Jud.トーリ、ホライゾン。いい風だろ――で。頭は冴えたかよトーリ。その残念な頭は」

「ああ? お、俺の明晰な頭脳を残念って言いやがったな! よ、よーし見てろ! 今にホライゾンを口説き落としてやるからな!」

「はいはいJud.Jud.」

 

手をひらひらと振りながら、しかしその顔は信頼で満ちていた。

トーリも、先ほどのような焦りは消えていた。

 

「なあホライゾン。まだ時間あるよな。もうちょい、俺と話しねえ?」

「……Jud.どうぞ。ホライゾンも自害の時間までは暇ですので」

 

こうして、トーリとホライゾンの会話は始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「よっし。えーと、だ。俺とお前は平行線なんだよな。これ」

「Jud.平行線です。故に相容れません――――平行線ですので」

 

そういってホライゾンはトーリを見る。

 

「ん、と。これ、無駄だと思うか?」

「――――Jud.」

「そっか。じゃあ平行線だ。俺はこれを無駄だとは思わねえ」

 

トーリは大きく胸を張ってそう宣言する。

 

「なあホライゾン。お前の、今までのお前との受け答えは自動人形としての判断だよな?」

「Jud.そうですが。それが何か?」

「じゃあさ。お前自身はどうなんだ」

「どう、とは?」

「P-01s、っつー自動人形じゃなくて。一人の、ホライゾン・アリアダストとしては、どう思ってるんだよ」

 

トーリのその言葉に、ホライゾンは詰まった。

自動人形として判断するなら。先ほどの会話が全てなのだろう。

 

だが、そこに意思が、ホライゾンとしての意思がわずかでもあるのなら、きっと別の回答が得られるだろう。

何故なら、最初のトーリの発言にホライゾンは「平行線」と答えたのだ。

自動人形なら「無駄です」と切り捨てるはず。

 

「お前の声を聞かせてくれ」

「いいえ。ホライゾンはホライゾンの判断で動いています」

「じゃあこれもそうなのか?」

「……Jud.」

「あ、ちょっと悩んだ。悩んだな?」

 

お茶らけた風に、しかし真面目にトーリはホライゾンに指摘する。

 

「なあホライゾン。お前は、どんな風に生きたいんだ?」

「ホライゾンは自害するので、そのような質問は無意味です」

「じゃあ変えよう。ホライゾンは、どんな生き方がよかった?」

 

そういうと、ホライゾンは一瞬言葉を止め、

 

「Jud.出来れば、君主ではなく。軽食屋の店員がよかったです」

「じゃあ簡単だ。今からでもそれをやりゃあいい。俺だって総長兼生徒会長してっけど、馬鹿やってるし」

「何度も言いますが。ホライゾンはもうすぐ死にます。今からやれといわれて、出来るはずがありません」

「だから俺らが助けに来たんだよ。ホライゾン」

 

そういって、トーリはホライゾンに笑顔を向ける。

 

「もう一度言うぜホライゾン。お前の声を、聞かせてくれ」

 

ホライゾンはそういわれて考え始めた。

 

軽食屋の店員をして、様々な人と触れ合った。

最初は店主と仲良くなった。記憶の無い自分の面倒をよく見てくれた。

 

次に、店の側溝にいた黒藻の獣たちと仲良くなった。水をやると喜んでくれた。

 

人としては、店主を除けば正純が一番仲が良いのだろう。よく空腹で餓死寸前だったりすることが多いが。

 

それから、それから、それから――――

 

「――――――あ」

「どうだホライゾン」

「Jud.」

 

ホライゾンは静かに目を閉じ、頷いた。

 

「確かに。ホライゾンは、まだ、生きていたいと判断できます」

「それがお前の声か?」

「Jud.」

「じゃあ、どうして欲しい?」

「助けに来た、と。先ほどそういった方がいたように思えたのですが?」

「Jud.」

 

そういってトーリは微笑んだ。

だが、それを遮る声が響く。

 

「させんぞ!」

 

それは、教皇総長の声だった。

 

そして、手に持っている大罪武装『淫蕩の御身』を掲げると、表示枠に打ち付ける。

再び、骨抜きの空間が形成される、かに見えた。

 

が、その空間は何者かに一瞬で断ち切られた。

 

「これはっ!」

 

割断。そして、それを可能にする武装は大罪武装を除けば一つしかない。

 

教皇総長が辺りを見渡すと、やや離れたところに一人の少女がいた。

 

「武蔵アリアダスト教導院、臨時副長。本多・二代だ」

 

そして、その背に背負っているものは……

 

「『悲嘆の怠惰』だと! まさか、西国無双が負けたというのか!!」

「Jud.勝ってきたで御座る」

 

と、フラフラになりながらも背負った大剣、『悲嘆の怠惰』を持ち、武蔵の陣営に近づく彼女。

 

「クッ! 取り戻せ! 大罪の力を、極東に渡すな!」

「Tes.!!」

 

教皇総長の声により、戦士団が立ち上がり、二代に向かう。

その後を警護隊も追うが、消耗の度合いが違いすぎた。

 

二代は己が武器、蜻蛉切を支えに立ち上がる。

 

が、その前に戦士団の前列が吹っ飛んだ。

 

「……これはっ」

 

見ると、そこには一人の少年が数人の少女達と共に、二代と戦士団の間に入っていた。

 

「武蔵アリアダスト教導院。一般生徒。白百合・葉月だ」

「貴殿。確か橋の上で会ったで御座るな」

「Jud.つうか大丈夫か? フラフラしてんぞ」

「この程度、何の問題もないで御座るよ」

 

そういって立ち上がる二代。

だが、それでも戦士団は止まらない。

 

しかし、

 

「総隊長を守れ――!!」

「おおっ!」

 

追いついてきた警護隊が行く手を阻む。

それと同時に武蔵の特務たちも抑えにかかった。

 

「貴様ら無茶を……」

「おいおい。最初に無茶しようとしていた奴がそれを言うなよ」

 

葉月の言葉を続けるようにネイトが言う。

 

「それに、極東は160年間耐えてきたのでしょう。あと数十秒、どうってことありませんわ!」

「ならば相対だ! 武蔵総長との相対を望む!」

 

教皇総長がそういうが、

 

「副長である拙者を、倒してからにしてもらおうか!」

 

二代は堂々と立ち上がりそういった。

 

「あと数十秒、どうってことないのは拙者とて同じで御座るよ!」

 

教皇総長は苦い顔をするが、その上からトーリが声をかける。

 

「おーいおっさん。まあちょっくら待っててくれよ。こっちが先約なんだ」

 

そういって、トーリはホライゾンを指差す。

が、直後にふにょん、という柔らかい感触が指を伝う。

 

見ると、分解力場壁を抜けてホライゾンの胸に自分の指が当たっていた。

 

「あ、おい馬鹿!!」

「エロ不注意だ!!」

 

次の瞬間、光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

トーリが目を開けると、そこは不思議と静かな場所だった。

違うとすれば、そこは武蔵で〝後悔通り〟と呼ばれている場所だった。

だが、それは自分も知っている光景だった。

 

ふと、目の前を一人の少女と一人の少年が通り過ぎていった。

 

少女は、涙を眼に溜めながら、少年を振り返る。

少年は、そんな少女を追いかける。

 

だが、その直後、飛び出した少女に馬車が迫ってきた。

少年は少女を助けようと飛び出し、そこで止まっていた。

 

これは、

 

「過去の俺とホライゾン、か」

 

そう。この事故により、ホライゾンは死んだ。

 

そして、自分自身も怪我を負って、しかし生きて武蔵に戻ってきた。

見ると、反対側にはホライゾンが立っていた。

 

「あ、ホライゾンも来てたのか」

「Jud.わざわざ壁に触れるなら一人で触れればいいものを、誰かさんがホライゾンのオパーイに触れたので」

「あー。マジゴメン」

 

すると、トーリの右手が黒く染まった。

 

「やっぱ、これが俺の罪なんだな。ホライゾンを死なせて、親友二人を傷つけて」

「……? どういうことですか?」

 

Jud.とトーリは頷く。

 

「このときさ。葉月と神耶もこの場にいたんだよ。でも、葉月はこのときにはもう能力封印されてたっぽいし。神耶はちょっと訳アリで、自分の力を使うことに怯えてたからな」

「しかし、それは仕方の無いことでは?」

「んー。まあ、な」

 

誰しも子供がこの状況をどうにかできるとは思えない。

周りの人間も、そう思ってるはずだ。

だが、

 

「葉月はさ。自分に、力があればっていって泣いてた。神耶は、自分が力と向き合えてればって言って、泣いてた」

「しかし、もう既に起きてしまったことです」

「ああ。それからしばらくして、葉月はどっか行っちまって。神耶はしばらく塞ぎこんでた。でも、俺が三河から帰ってくると、いつもみたいに振舞ってたよ」

 

思えば、無理をしていたのだろう。

子供の心には辛すぎる光景だったから。

 

だが、神耶は察していたのだろう。

 

一番辛いのは、トーリ自身なのだと。

 

「葉月様は、その後どうしたのですか?」

「んー。実はさ。まったく連絡無しで。中等部の、二年の初めくらいかな。戻ってきたのは。そのときには、もう昔の葉月に戻ってたけどな」

「成程」

 

すると、ホライゾンの右腕も黒く染まりだした。

 

「ホライゾン!」

「分解の時間が来た、ということですね。で、これどうやって否定するおつもりですか?」

 

そういってホライゾンはトーリと向き合う。

 

「疑問しますが。何故貴方は今のホライゾンを好きになったのですか?」

「ああ。うん。お前が朝食を作る練習してるって聞いてな」

「……?」

 

トーリは話す。

 

「このときさ。姉ちゃんも親もいなくて、代わりにホライゾンが朝飯作ってくれたんだよ。たださ、その朝飯。俺、不味いって言っちまってさ」

「しかし、それはしょうがないことでは?」

「でも。それが無ければ。お前は死ぬことも無かった。それでさ。お前を見つけて、朝食作る練習してるって聞いて、マジでドキリとしたよ」

「今のホライゾンとかつてのホライゾンは違うので、その事例と重ねることは無意味だともいますが」

「ああ。でも。この子は誰かに朝飯を作って上げられる子なんだ、って。そう思えてさ。だから、俺はその一番でありたいよ。ホライゾン」

 

では、とホライゾンは言う。

 

「貴方は何故、かつてのホライゾンを好きになったのですか?」

「それは……」

 

ホライゾンは言う。

 

「おそらく。逃げるホライゾンに、貴方はこう言ったのでしょう」

「『今そこに行く』そしたらホライゾンは」

「『来ないで』そういったはずですね」

「あー、まあ。うん。昔も今も、俺ホライゾンにフラれてばっかだな」

「いえ。ホライゾンは拒絶したのではありません。貴方に泣き顔を見せたくなかったのです」

「……?」

「貴方に、余計な負い目を与えたくなかったからです。涙を流さずに、再び会うときには笑って再開したかった。そう判断できます」

 

平行線です、とホライゾンは言う。

 

「平行線ゆえ、来ないでとホライゾンは言います。では、共に平行線の重なる場所、異なる考えの一致する場所――境界線上に至るためには、どのような言葉が必要なのですか?」

 

そういわれて、トーリは考える。

 

(俺は、本当に何も出来ない男だ。でも……)

 

ホライゾンにかける言葉くらいは、見つけることが出来るさ。

 

「ホライゾン。過去の罪を否定するためにここにいる。俺一人では救えねえんだったら」

 

そういって、トーリは手を差し出す。

 

「そこは危ねえよ――――だから救いに行くけど。お前もこっちに来い。ホライゾン」

 

そしてホライゾンは頷き、差し伸べられた手を掴んだ。

その瞬間、全てが光へと包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

突如として、分解力場壁が崩壊した。

そして、そこから現れたのは、ホライゾンを抱きしめていたトーリだった。

 

つまり、

 

「過去の罪を否定出来たんだな」

 

そして、トーリは表示枠をホライゾンの前に出す。

それは、武蔵アリアダスト教導院の入学推薦書だった。

 

本来ならば、入学には試験がいるが、例外がある。

ある分野で秀でる、または特殊な種族や経歴を持っていれば試験をパスできる入学制度。

一芸試験。

 

ホライゾンは、三河君主という十分すぎるほどの経歴を持っているので、この入学方法が使えた。

 

直後、正純が表示枠越しに言う。

 

『三河君主、ホライゾン・アリアダストは今、武蔵アリアダスト教導院の推薦入学を受けた! 彼女の身柄は、武蔵アリアダスト教導院生徒会・総長連合預かりとする』

 

そして、

 

『そして、我々は今後全ての抗争の講和を、後のヴェストファーレン会議に預けるものとする!!』

「正純ノリノリだな」

 

葉月が呟くと、上空が暗くなった。

だがそれは日没ではなく、輸送艦が上空に来たためだった。

 

そこには、直政がネットを引っさげて待機していた。

 

「撤収――――!!」

 

直後、ネットが降下された。

皆、次々にネットに掴まる中、トーリとホライゾンは教皇総長を追いかけていた。

 

「チッ! 何やってんだか!」

 

それを見た葉月は二人の後を追うように飛んだ。

二人にはすぐに追いついた。

 

「おいトーリ! 『淫蕩の御身』は無理だ。諦めろ!」

「いいやまだ大丈夫だね! アレがあれば、ホライゾンを淫乱に出来るグペラァ!!」

 

ホライゾンと葉月のダブルラリアットによりトーリが沈んだ。

ホライゾンは、葉月を見る。

 

「よく、青雷亭に店主様とメニューの考案をしているお客様ですね」

「Jud.始めまして、ってのも変だな――――久しぶり。ホライゾン」

「Jud.」

「おいおい葉月! オメェ俺らを止めたはいいけど。こっからどうするんだよ」

「ああ? 決まってんだろ!!」

 

そういうと、二人に杖に乗るように言う葉月。

葉月は二人が杖に乗るのを見ると、そのまま自分と共に空に浮かせた。

 

「逃げるんだよぉ!!」

「逃がすかぁ!!」

 

と、地上から教皇総長が聖術の符を重ねたものを撃ってきた。

が、それは葉月の風の魔法でいなされ無効化されてしまった。

 

「ハッハー! 悪いな教皇総長! いつかまたな!」

「おっさん! 俺らが行くまでに、その大罪武装無くすなよ! いいか! 絶対だぞ! フリじゃねえからな!!」

 

ゴォ、と風を逆巻かせて、葉月たちは輸送艦へと上がっていった。

 

その様子を教皇総長はただ見ていた。

 

「くっ、おのれぇ……」

 

空へと消え行く輸送艦。

だが、背後で何かが動く音が聞こえた。

 

それは、教皇総長のヨルムンガント級ガレー『栄光丸(レーニョ・ユニート)』だった。

 

「『栄光丸』! どういうことだ!」

 

見ると、若者ばかりが下されていた。

つまり、中に乗っているのは年配のK.P.A.Italiaの生徒だ。

 

『艦をお借りします! 『栄光丸』とこの身があれば、武蔵を止められると判断しましたので!』

「返す気はあるのか!!」

『Tes.! 旧派にこの身この魂は聖譜(テスタメント)に献上しているものなれば!!』

「ならば行け! 貴様らは時代を刻め! 俺は不断を担当する! 全ては聖譜の導く道ゆえにてだ!!」

『気遣い、至福!!』

 

そういって、『栄光丸』は武蔵を追っていった。

直後、教皇総長の横に表示枠が開いた。

 

「ッ、レベッカ! 貴様無事なのか!!?」

『Tes.……負けながら生きるのは恥と知りながらも、生きています』

「ああいい! 生きていればそれでな!」

『聖下……私の、残りの魔力を使います。『魔道石』の使用許可を、ください』

「ッ、ならぬ! 貴様、今どんな状態にあるのか俺が分からないとでも思ってるのか!?」

 

珍しく、教皇総長が激昂している。

しかし、レベッカは薄く微笑んだ。

 

『自分の体は、自分がよく分かってます。ですが聖下。ここで武蔵を行かせてはなりません……絶対に』

「レベッカ……お前……」

 

教皇総長は何かを思案するように言葉を止めたが、

 

「……いいだろう! ただし条件がある。必ず生きて戻って来い! いいな!」

『……Tes.!』

 

そういって、表示枠が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ。行け。そして、武蔵を、止めろ! 旧派に絶対の勝利と、悠久の栄光を!!

精霊師団(エレメンタリア・レギオン)』!!」

 




どうもKyoです。

なんかホライゾン書いてるんだかネギま書いてるんだか分からなくなってきたぞ!?
そのうちに武装解除の魔法を間違って使いそうで怖い……

そんなことしたら強制全裸状態じゃないか……一応下着は残るけど。

魔法の選択をミスりましたかねー……型月系にしとけばよかったかな。

最後に。これを読んでくれている全ての人に無上の感謝を。

次回は宗茂砲最初で最後の輝きです。
そして葉月無双が……

それでは。
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