境界線上のホライゾン~王のための剣と盾~   作:Koy

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戦闘用BGM「Sacred Force」


境界線上の魔法使い

 

武蔵の目の前に迫る大量の『精霊師団(エレメンタリア・レギオン)

だが、葉月とその精霊たちは臆することなく正面から突っ込んでいった。

 

「葉月、お先にしっつれい!」

 

だが、そんな中でも一歩前に出たのは黄色い髪の少女だった。

しかし目に映ったのは一瞬のみ。

 

後は、敵陣を黄色い閃光が駆け抜けていき、敵が消滅していくだけだった。

 

「相変わらず速いなフルーラは」

「流石に雷の最上位精霊なだけありますね」

「それじゃあ俺もやるか! 戦いの歌(カントゥス・ベラークス)!」

 

肉他郷下の魔法をかけると、タンッ、と空中を蹴り葉月は上空へと舞い上がった。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル

 

闇夜切り裂く(ウーヌス・フルゴル・)一条の光(コンキデンス・ノクテム)

我が手に宿りて(イン・メア・マヌー・エンス)敵を喰らえ(イニミークム・エダット)

 

白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)!」

 

それは、今まで葉月が放っていた魔法だ。

しかし、その威力が段違いに上がっていた。

 

その雷は、敵軍勢全体に襲い掛かった。

しかし、うまくそれを回避した敵は葉月に向かう。

 

「残念。そりゃあ最悪手(ファンブル)だ」

 

だが、

 

解放(エーミッタム)

 

刹那、葉月に向かった敵は全て、魔法の射手(サギタ・マギカ)によって消滅していった。

 

「さっすが私達のマスター! 遅延呪文(ディレイ・スペル)まで完璧です!」

「あの状態だと五分くらいの遅延が限界ですねー」

「ルーキス厳しいなあ……」

 

遅延呪文。

文字通り、魔法の発動を遅らせて発動させる技法。

 

不意を撃つことも可能になるし、何より既に詠唱済みの魔法をたった一言で撃つことが出来るのはかなりのメリットを生む。

 

しかし、これでも倒した数は全体の一割程度。およそ二千。

まだ一万八千もの敵勢がいるのだ。

 

だが、それを前にしても葉月たちの表情は崩れず、笑みを浮かべていた。

 

「上等上等。なら、やることは一つ!」

「もち!」

「徹底的に、ぶっ潰す!」

「お前らが、消えるまで! 攻撃の手を休めない!!」

 

シルフィー、ニル、フルーラが意気込み新たに敵を倒す。

 

それに葉月とルーキスも加わる。

 

「ドンドン行くぜ! 魔法の射手(サギタ・マギカ)連弾・雷の89矢(セリエス・フルグラーリス)!!」

 

雷の矢が放たれて、新たに敵が消滅していった。

 

だが、敵の一体が葉月の背後を取った。

すると、その両腕がどんどん形を変えていった。

 

それは鋭利な剣と化した。

 

しかし、葉月はまだそれに気づいていない。

 

その剣を、容赦なく、敵は振り下ろした。

が、そこにはもう誰もいなかった。

 

「ッ……!」

「遅い!」

 

次の瞬間、その敵は葉月の手によって完全に消滅させられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

葉月が敵を殲滅している間に、武蔵の住民達はその様子を見ていた。

無論、梅組全員もだ。

 

「おー、葉月ノリノリ。あのままトーリに代わって世界征服しそう」

「その台詞最近話題の『美熟女戦士エプロン地球(テラ)』って奴の真似じゃね神耶」

「Jud.世界守るはずの人なのに何故か家事優先で、この間も敵の怪人と戦ってたのに、雨が降ってきて洗濯物取りに帰ったんだよね。しかも決め台詞が『お前に代わって世界征服してやる』だからどっちが悪役か分からないし」

「でもこのまま葉月がマジで俺に代わって世界征服したら……」

「トーリ様の価値無しですね」

「ホライゾンキツイぜ! でもそこにビクンビクンしちゃうぜ!」

「少しは真面目になってくださいよ三人とも!!」

 

そう言われてもなー、とトーリは葉月を指して言う。

 

「あの状態の葉月が負けるとこ。想像出来んの?」

「僕は無理。っていうか圧勝しすぎて敵が可哀想だね」

 

と、トーリと神耶は笑って言った。

 

「っていうか何。葉月って二重人格? あんなにヒャッハーするような性格してた?」

「ガッちゃんダイレクトだね!」

「多分、今までのフラストレーションを解消してるだけだと思うよ」

 

神耶はそういう。

解消? とナルゼが聞くと、神耶は頷く。

 

「今までずっと力を封じられてきて、嫌な想いもしてきたからね」

 

嫌な想い、その言葉から連想されるのは、ホライゾンの死。

でも、と神耶は続ける。

 

「もう心配ないみたい。昔みたいに自傷行為に走ったら止めようとか思ってたけど」

「え!? そ、そんなことしてたんですか!?」

「あれ? 知らなかった? 大変だったよ。自分自身に呪詛吐きながらだったから余計に」

「成程。どうやら幼いホライゾンは、中々のフラグ建築士だったのですね。下手したら皆がホライゾンを取り合って、『ああ、私のために争わないで』状態になるところでしたね」

「オメエそれで済ませるからスゲーよな」

 

でもあながち間違いでもないかなー、と神耶は考える。

 

すると、一際眩しく空が光った。

 

「あれは……」

 

そこにいたのは、激しい気流と雷に身を包んだ葉月だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「キリが無いように感じるのは気のせいか!!?」

「気のせいじゃない!? だって数減ってるよ!」

「あとどんくらいだ!」

「半分!」

「減ってるな確かに!」

 

空中で、二万の軍勢相手に十人にも満たない数で戦争を起こしている。

そんな構図なのに、葉月は余裕そうにフルーラに言葉をかける。

 

と、葉月の後ろにいる赤髪の少女が話しかける。

 

「葉月」

「どうした」

「帰ってゲームしたい」

「帰れ! いや帰るな! 働けよ!」

「働いた」

「何体倒した?」

「10体」

「働けこの魔力泥棒!!」

 

葉月が叫び、また新たな敵が寄ってきたが、杖に魔力を通し、横振りの一撃で消し飛んだ。

 

「おいクー子! お前の火炎で焼き払えよ!」

「働いたら負けかなって思ってる」

「お前今日飯抜き!」

「頑張る!」

 

そういうと、クー子と呼ばれた少女が敵陣の中央まで飛び上がると、手に持っていた赤い宝石が先端に埋め込まれた杖を振るう。

 

瞬間、辺りが炎に包まれた。

 

ついでに、フルーラやニルといった、味方も巻き込まれていた。

 

「うわああああ! 熱ッ、熱い!」

「ちょっ、ふざけんじゃねえですよアンタ!!」

「仲間割れすんじゃねえええええ!!」

 

と、葉月の周りに全員が集まった。

残りの敵勢も少なくなってきたが、未だに千人単位で存在している。

 

その中には武蔵に攻撃を仕掛けようとしているものもいた。

 

だが、

 

「さ・せ・る・か、ってんだ!!」

 

葉月の放つ白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)によって消滅していく。

 

「チッ! 数多すぎだろコレ」

「葉月! 一気に消滅させよう!」

「だな!」

 

そういうと、葉月は杖を持ち、前に出す。

 

「頼むぜ! 契約精霊8柱!」

 

葉月の声に応じ、先ほどまでいた精霊たちが一度に葉月の持つ杖に宿る。

葉月はそれを一回振るい、敵勢へと向ける。

 

「ほんじゃま、今日の大一番行ってみようか!

 

ラス・テル・マ・スキル・マギステル

 

来れ(ウェニアント・スピリートゥス) 雷精(アエリアーレス・)風の精(フルグリエンテース)

雷纏いて(クム・フルグラティオーニ) 吹きすさべ(フレット・テンペスタース) 南洋の嵐(アウストリーナ)!」

 

葉月が詠唱を続けるにつれ、風と雷が巻き起こってきた。

それは徐々に大きくなっていき、葉月を包み込む。

 

まるで、葉月を守るかのように。

 

敵は、葉月の魔法を喰らうまいと散開し、バラけた。

 

だが、

 

「唸りを上げろ! 全部ぶっ飛ばせ!」

 

葉月が杖を振り上げる。

そして、詠唱が完成した。

 

雷の暴風(ヨウィス・テンペスタース・フルグリエンス)!!」

 

杖から放たれたのは、雷を纏った巨大な嵐だった。

それらは範囲を広げ、散開していた敵全てを飲み込んでいった。

 

しかし、それだけでは収まらなかった。

 

そのまま嵐はうねりを上げて進み、辺りの木々を吹き飛ばし、山を削り取っていった。

 

「ブチ抜け――――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

全てが終わった後、残っていたのは葉月と武蔵。

そして、眼下に広がる荒野だった。

 

葉月が武蔵に戻ると、トーリと神耶が先頭に立って待っていた。

 

「おう。道は守ったぞ」

「ああ。ありがとな。葉月」

「でもやりすぎ。自然破壊もいいところだよ」

「いやー。ついテンション上がってよ」

 

そういう葉月の顔は朗らかに笑っていた。

しかし、それはトーリと神耶も同じだった。

 

三人はお互いに近づき、両手を振り上げ、

 

「「「おっしゃぁ!」」」

 

パンッ、と互いに手を打ち合わせた。

 

「守ったよ。武蔵を。皆を」

「ああ。ありがとう」

「倒したぜ。俺たちの敵を」

「ああ。ありがとう――――決めたよ。俺は世界を統べる王になる」

「期待してるぜ。我が主(マイロード)

「君が王になってくれる日を待ってるよ」

 

そして一息。

 

「「「ただいま! んでもってお帰り!」」」

 

この日。三河の戦いは終わった。

 

空には、星と二つの月が輝いていた。

 




どうもKyoです。

やや強引ですが、勝った! 第一部完! です。
いやもうここまで長くなるとは…流石に原作が鈍器なだけはある。

次回からはもう日常パート。
トーリが這いずり回り、浅間は自爆し、そしてついに、葉月の喫茶店名が明かされる!(ェ

ネギまの世界観選んだなら……やっぱりねぇ……

最後に。これを読んでくれている全ての人に無上の感謝を。

それでは。




クリスマスネタがこれで思う存分出来るぞー。
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