我々FFF団は気骨ある者の入団を心より歓迎いたす!
世界を平和にするために、共に戦わないか?
同士は沢山いるぞ! ちょっと恥ずかしいという気持ちを少し捨て去って入ってみないか?
得物は持参も可能だ。手元に手ごろなものがないという者は配布もしているので是非使ってみてくれ!
先輩からレクチャーを受けられるぞ。
また年に数回。慰安旅行として秘湯や霊験あらたかなスポットに向かう。
ここで精神を集中させ、同士と交友を深め、我々の怨敵を滅ぼす呪詛を唱えるといい。
詳しくは下記にて記す。
尚、裏切り者がいた場合には容赦しないので。そのつもりで。
年会費500円。入団費1000円。
制服支給。シフト制。参加ポイント・特典有り。
活動場所。武蔵随所。
お問い合わせ・[email protected]
誰もよりも早く、現実に戻ってきたのは、正純だった。
……これどうしたもんかなー。
前を見ると、そこには武蔵の一般学生に抱きついている英国の女王がいた。
言うまでもなく、葉月とエリザベスだ。
仕方ない、と心の中で割り切り聞くことにした。
「あー。白百合。妖精女王と知り合いなのか?」
「ん? ああ。言ってなかったな。Jud.そうだよ」
「……えーと。いつ?」
「最初は小等部二年の時だな。俺が武蔵からいなくなったとき」
正純は思い出す。
確か、ちょうどホライゾンが死んでから少し経った時だったか。
「詳しいことは省くけど。俺には昔に一つ、役目があったんだ。それが『王族の護衛と教育』」
「……だからお前は英国に」
「Jud.」
未だに抱きついているエリザベスを引き剥がそうとしながら葉月は語る。
……つまり今までの妖精女王は演技で。こっちが素か。
正純は変な分析をしていた。
「教育っつっても。歳が同じだったから遊び相手のほうが合ってるかな――――そしていい加減にお前は離れろ!」
「嫌だ!!」
「ええい! いつからそんな聞き分けのない奴に育った!?」
「最初からだ!」
「威張るか普通!?」
何とかして引き剥がそうとする葉月と、意地でも離れようとしないエリザベス。
はっきりいって、子供の喧嘩だった。
金マル:『なんか。生き生きとしてるよね。ハヅッち』
俺 :『つーか点蔵。金髪巨乳に葉月抱かれてるけどいいのけ?』
十ZO :『いや。自分地雷とそうでないのの区別はつくで御座るよ……』
賢姉様:『それよりも浅間はどうなの?』
全員が浅間を見る。
そこには、徐々に体の色が失われつつある浅間の姿があった。
そこはかとなく、体が粒子に変換されているように見える。
● 画:『数分もすれば砂になるわね』
煙草女:『とりあえず正純。アサマチ元に戻すさね』
そうはいってもなー、と浅間を見る。
完全に表情は乾いた笑みが張り付き、その場に直立していた。
まるで、地面に根を下ろしたかのように。
とりあえずこのままにもしておけないので、浅間を揺さぶる。
「おい。浅間。大丈夫か?」
「…………正純」
「な、なんだ?」
反応がある。まだ完全に暗黒面に堕ちたわけではないのか。
意外な反応を心の中で思う。
「……これが、絶望なんですね」
「何を悟ったように言ってるんだ!?」
マズイ。意思疎通が取れてると思ったら現実の非情さに打ちひしがれていただけか!?
ふと、妖精女王が葉月に抱きつきながらこちらを見ていた。
「……葉月。あの巫女は何故ああなっているのだ?」
「多分お前のせいだろうなー」
「いやお前のせいでもあるからな!?」
葉月の言葉に武蔵側の全員が一斉に答える。
「あー。妖精女王。白百合とは、その付き合いは古いのか?」
「Tes.時間は三年程度だが。私にとっては大切な三年だ」
正純が聞くと、エリザベスは嬉しそうに答える。
と、ここでようやく葉月がエリザベスを引き剥がした。
「ああ! もっともっと!!」
「喧しい! ガキか貴様は!!」
「妖精女王、略してようじょ!! だから子供だ!!」
「黙れ!! くだらんこと言うな!」
「ええい! 抱きしめないと婿にするぞ!!」
「どんな脅しだよ! あとお前は襲名関係上結婚できねえだろうが!」
「二重襲名という手段がある!!」
「本気でやりそうだなあオイ!!」
再び抱きつきそうだったので、葉月は空中へと飛ぶ。
流石の葉月ももう限界というように空中にふよふよと浮かんでいた。
「ッ、ズルイぞ! ウオルシンガム!!」
「Tes.」
掛け声とともにウオルシンガムの両腕が重力制御によって葉月に向かって放たれる。
が、ウオルシンガムの腕が葉月を捕らえる前に葉月に捕まった。
「Mu……」
「む、じゃねえよ。何お前も乗っかってんだよウォルシー」
「Don’t mind」
「何処がだよ」
葉月がウオルシンガムの両腕を魔力で出来た縄で縛り上げる。
「――――Sadistic」
「黙ってろポンコツ」
「Severe」
「俺はマトモな判断を下しているだけだ」
呆れるように縛った腕を放り投げる葉月。
だが、その顔は少なからず楽しんでいるようにも見えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一方武蔵内の実況通神は色々な意味でかなり盛り上がっていた。
俺 :『とりあえず浅間の再起動誰かやってくんね?』
ホラ子:『――――ダメですね。意思の疎通がギリギリ出来るという程度でこれ以上には発展しません』
ウキー:『いっそ葉月を撃たせてみるというのはどうだ?』
十ZO:『い、いきなり物騒な案が出たで御座るな……』
● 画:『無意味に終わると思うわ。それより葉月をここに持ってきて浅間に抱きつかせれば?』
○べ屋:『それだと今度は妖精女王のほうがどうなるかなあ……』
銀 狼:『あの。まずはきっかけだと思うんですの。何か智が葉月に近づけるようなきっかけがあれば元に戻るかと』
煙草女:『あー。そういえば葉月もようやく契約するとか言ってたさね』
約全員:『そ れ だ !』
正純は全員と一瞬で目配せ、完了。
浅間に再度近づき耳元で言う。
「浅間。白百合の契約を急いだほうがいいぞ」
「――――え、な、何でですか?」
「このままだと妖精女王に獲られかねんぞ。いいのか?」
「え、い、いやその……で、でも二人とも久々に会ったみたいですから……」
そう浅間は控えめに言って、しかし視線は葉月に注がれている。
正純は、ここが押し込み場だと感じ、畳み掛ける。
「浅間。別に私は浅間の個人的な感情ではなく、今後の武蔵のためを思って言ってるんだ」
「えっ。ど、どういうことですか?」
「いいか? 白百合は今や武蔵の攻撃の要だ。そのほかにも偵察や奇襲といったことも出来るらしい。だが白百合には一つ致命的な弱点がある――――そう。通神が出来ないということだ。これは戦場においても、今後の武蔵内の生活においても非常に重要だ。だがそれを出来る人材は浅間。お前だけなんだ」
「そ、そう、ですね」
俺 :『セージュンなんか悪徳商法で物売る奴みたいだな』
○べ屋:『うーん。正純ならそっちの路線で活躍もあり、かな?』
やかましい。というか二番目はなんだその不穏な活躍の場は。
「そう。これは別にあの二人の仲を邪魔するというわけではないんだ。ただ通神がないと今後、白百合が身動き取れなくなったときの連絡手段がない。分かるな」
「J,Jud.」
「だからこれは即急にやるべき事柄なんだ。だから浅間があそこに割って入ろうが問題はないんだ」
「そ、そうですかね?」
「そうとも。さあ」
本当に悪徳商人みたいだな自分。そう思わなくもない正純。
浅間はというと、なにやらまだ葛藤があるらしく、表情を変えつつ悩んでいる。
○べ屋:『あ、正純ちょっとそこズレてー。最近アサマチの百面相が売れてね』
● 画:『あー。それこっちにも頂戴。同人の資料にするから』
訂正。悪徳商人は身近にいた。悪徳というか暗黒だけど。
すると浅間がなにやら吹っ切れた顔をしていた。
「そ、そうですよね! い、今は武蔵が大変な時期ですから。これはしょうがないですよね!!」
なにやら自分に暗示をかけたようだった。
勢い込むと、浅間は葉月に呼びかける。
「は、葉月君!」
「ん? どうした浅間」
葉月は浅間に気づくと、そのまま降りてくる。
「あ、あの。け、契約の準備出来ましたので。い、今すぐしましょう! そうしましょう!!」
「お、おう。悪いな何から何まで。何かお礼しないと」
「い、いえ! これも仕事ですので!!」
さあ行きましょう! と葉月の手を引く浅間。
が、それにエリザベスが待ったをかける。
エリザベスは浅間に近寄ると品定めをするような目で見る。
すると、すっと指を突きつけてくる。
「いいか。一つ言っておく」
「は、はい? え、と。Jud.?」
すぅ、と深く息を吸い、
「葉月は胸の大きさで女を見たりしないんだからな!! 私よりデカイからって調子に乗るなよ!!」
直後、葉月の鉄拳が下った。
頭を抑えて蹲るエリザベス。葉月はため息をつくと、襟首を掴んで立たせる。
「いたい……」
「馬鹿なこと言った罰だ。悪いな浅間」
「あ、いえ。別に」
「ほら。お前も謝れ」
「…………」
そっぽを向いたままのエリザベスに葉月がなにやら耳打ちしていた。
すると、渋々といった感じではあるが小さく「……ゴメンなさい」と謝罪した。
「はっはっは。ガキの頃から謝り方は本当によく出来てる。悪戯のしすぎだな」
「う、ううううるさあああい!! 呪うぞ!!」
「その場合。うちには優秀な巫女がいるから即返す」
「え、ええっ?! あ、あの私呪詛返しって本分じゃないんですけど……あ、でも禊の応用で出来る、かな」
「出来んのかよ!!」
やったことないので分からないですけどねー。
考えていると、未だにエリザベスがこちらを睨んでくる。
「……ふんっ。葉月。後で『花園』に来てくれ。ついにで武蔵副会長もだ」
「え、わ、私もか?」
「Tes.前田・利家の挑発に乗るみたいで癪だがな。しかし。貴様らもここから先。『花園』を知らずに行くのはあまりにも無謀だ――――何も知らずにただ毟られるだけはもう御免だろう?」
「……Jud.ありがとう。妖精女王」
「気にするな」
そういって、葉月に向き直る。
「葉月。言っておくが。私はあのときの約束を反故にするつもりはないからな」
それを聞くと、葉月の表情が、少し難しいものになる。
「……まあ。お前の性格考えたらそうだろうなとは思ってたけどよ」
「本気だからな」
そういうと、何か手が動いたが、すぐに引っ込み玉座に戻っていった。
薬詩人:『Oh……まあ。あれか。Ladyも恋する少女、というわけか。うーん。実に詩的だ』
眼 鏡:『……』
印鑑子:『あれ? どうしたのシェイクスピア?』
眼 鏡:『別に……』
せしる:『おなやみ?』
眼 鏡:『平気だよ』
ただ、
眼 鏡:『そこまで好きなら監禁しちゃえばいいのに』
約全員:『――――――えっ?』
眼 鏡:『えっ?』
この日。『女王の盾符』内で、見解の相違が生まれた瞬間だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ようやく、全員が大広間から出る。
「なあ正純」
「何だ?」
「お前、契約はしたんだよな? どんなだった?」
「どんなって……」
葉月は今まで術式契約をしたことがない。
他の人間に聞くこともなかったため、初めて行う神道の契約に少なからず興味を持っていた。
正純は葉月に聞かれて、少々答えにくそうに言う。
「あー、その。体を禊いでからやるみたいだ」
「へえ。具体的には?」
「――――風呂に入って頭から湯を被った」
一瞬、葉月の足並みが止まった。
が、すぐに元に戻る。
「……ま、まあ。お前は同性だから大丈夫だったろ。俺は男だし。別な方法があるだろ」
「…………だといいがな」
「オイ待てなんだその不穏なフラグは」
他の男共にも聞こうとしたが、黙っていたほうが面白そうという共通認識のため黙秘していた。
とりあえず全員後でシバくとして。
葉月は今更ながらに慌て始めた。
(え、マジで風呂とかでやるの? い、いやいやまさか、な。あの恥ずかしがりの浅間がんなことやるわけがない。浅間神社で別の誰かがやるだろ……多分)
どうもKyoです。
……やー私分からないなー契約の方法とか正純のやつしか見てないから分からないなー男の場合どうやるんだろうなー想像もつかないなー(棒読み
実際どうやるんでしょうね。
まあ、浅間さんなら喜んでやるでしょうけど。その場合、自分の穢れが酷いことになって契約に集中できないんじゃないだろうか。
さて。次回は『花園』回、そして。契約回。
最後に。コレを読んでくれている全ての人に無上の感謝を。
では。