境界線上のホライゾン~王のための剣と盾~   作:Koy

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妖精女王

 

アルマダ海戦が間近に迫っている中、武蔵は英国から送られてきた武装の点検と確認に追われていた。

中でも忙しいのは機関部だ。

 

作業用の軽武神も前線に出すため、専用の大砲も用意されている。

そのため、通常業務に加え整備と点検もしなければならないのだ。

 

葉月とトーリは武蔵で武装が運ばれていくのを表示枠を通して見ていた。

とはいっても、まだ葉月は初心者。トーリの表示枠だ。

 

二人は、教導院の橋の階段で座りながら様子を見ている。

 

「なあトーリ」

「んぉ? どうした葉月? あ、分かったぜ! 俺のギャグが見たいんだな? しょうがねえ。なら特別に本邦初公開のネタを見せてやるよ!!」

「いつ誰がそんなことを言った。寝ぼけてんならさっさと起きろ。起きてるんなら真面目になれ。一日五分を目安に増やしていけ。真面目になる時間を」

 

葉月は呆れつつ、トーリはいつものように笑いながら。

 

「トーリ。お前、戦いは好きか?」

「おいおい葉月よー。それで俺が好きって言っちゃダメじゃね?」

「……ま、そうだよな。お前弱いからワンパンで終わるし」

「オメエ随分的確に評価するよなあ」

 

自覚してんじゃねえか。葉月はそう思う。

 

「でもよ。実際のところ。どうなんだよ。トーリ」

「どうって?」

「これから先。必ずといっていいほど戦争が起きる。そのとき、お前はちゃんと決められるのかってことだよ」

「何を?」

「全部だよ。全部の決断が出来るのかってこと」

 

そういうと、困ったように笑いながら、トーリは頭を掻く。

 

「まあ分かってはいるんだけどなー。俺馬鹿だし。わかんね」

「分かってんのか分からねえのか、どっちなんだよ」

「んー、両方? ――――あれ? 両方って響きエロくね!? 新発見じゃね!? うおおおおっ、両方と両刀! 俺実は男もイケるのか!? いやいやダメよーん葉月~。俺はホライゾン一筋――――」

「今すぐワンパンで落としてやろうか?」

 

ぐっ、と拳を握ると、トーリは2,3段ほど上って回避する。

 

「まあでもさ。そのときになったら分かるって。今はまだ、あー。アレだよアレ。えーと……」

「答えが用意できないのは馬鹿にしか見えないけど思い出せないのはボケがきてるかと逆に心配になるんだが。あ、お前の場合ボケていいのか。芸人だし」

「いやいや。なに人を縁側で座って日向ぼっこしているお爺ちゃんみたいに言ってるんだよ」

「昨日の夕飯は?」

「え、えーと……あ、ホライゾンに気絶させられて飯食ってねえや! ってうおお、そう考えたら腹減ってきたあああ!!」

「もう少し大人しく出来ないのかお前は……」

 

やれやれと、葉月は立ち上がる。

 

「店に来いよ。出来合わせでいいなら食わせてやる」

「マジで!? 行く行く!!」

 

すかさずトーリは葉月の後を追う。

 

「まあ安心しろよ。俺は馬鹿だけど。周りの連中が色々教えてくれるし」

「……全く。他力本願もほどほどにな」

「おう! 安心しろよ。俺は学ぶ男だぜ!!」

「何を学んだか言ってみ」

「えっとー。ネイトからは堅めのオパーイの感触だろ? 浅間からはあのデケェ犯罪級のオパーイをどうやって保ってんのか考えてるだろ? えーとそれから――――」

「お前もう番屋に突き出されてろよ」

「あぁ!? オメエはそうやって!! 言っとっけどな――――もう番屋の兄ちゃんとは仲良しなんだよ!!」

 

次の瞬間、武蔵の上空を何かが過ぎった。

一瞬、敵襲かと思ったが、その姿を確認した全員は自分の仕事に戻っていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

浅間は、おそらくだが。普通の少女だろう。

巫女としての仕事もよく果たしている。怪異を祓うのにも積極的だ。

 

また、元々の気質故なのか、世話焼きである。

このことからトーリや喜美から「かーちゃん気質」と言われ、それがいまやクラスに浸透している。

 

総括しての評価は「すぐ射撃する癖を除けば普通の真面目な少女」である。

 

だがしかし、

 

「入れ」

「J,Jud.失礼、します……」

 

何ゆえ妖精女王からご指名があり、尚且つ私室っぽい部屋に通されているのだろうか。

 

事の起こりは十分ほど前に遡る。

 

武蔵と英国の精鋭達が戦った日。結局葉月とのデートは中断されてしまった。

だが浅間は、あの指輪の店の事を諦めていなかった。

そういうことで、店の前まで来たはいい。

 

が、そこからがおかしくなった。

 

何故か『女王の盾符』の2、F・ウオルシンガムが目の前に現れたのだ。

ウオルシンガムはただ一言「Come on」というのみ。

とりあえず着いていくと、そこに待っていたのが妖精女王エリザベス。

 

え、と思う浅間だが、ウオルシンガムは既にいなくなっていた。

 

「ああ。安心しろ。武蔵の副会長には許可を取ってある」

 

正純、と心の中で己の生徒会副会長を恨みそうになる。

実際、正純はエリザベスからは「そちらの巫女と少々怪異について話したいことがある」ということだけを聞いて、OKしたに過ぎなかった。

 

それが今の状況に繋がる。

 

扉を開けてはいると、そこには簡素な造りの部屋があった。

 

部屋自体の大きさは狭い。備え付けられているベッドも、子供用だろう。

おまけに机や本棚も背が低い。

 

どう考えても、エリザベスが使っている部屋とは思えない。

 

「あの、ここは?」

「ここは。昔、葉月が英国に来ていたときに使用していた部屋だ」

 

そういって、エリザベスは椅子を引いて座る。

 

「まあ座れ。ここもちゃんと掃除が行き届いている。ベッドしか座る場所はないがな」

「あ、はい。失礼します」

 

そういってベッドに座る。

辺りを見渡す浅間。

本棚の本には、タイトルのない本がいくつもあった。

 

「珍しいのか?」

「いえ。ただ、葉月君の昔を知ることが出来て、ちょっと嬉しいです」

「――――ふんっ」

 

エリザベスは目を閉じ、再び開く。

 

「巫女。お前に一つ問う。嘘偽りは私には無駄だ」

「ッ、Jud.」

 

何を聞かれるのだろうか。身構える浅間に、エリザベスは問いを投げる。

 

「巫女。お前は、葉月のことを好きなのか?」

「――――え」

 

唐突だった。

何を言われるのだろうか。もしかしたら会談での弓矢ぶっ放しだろうか。そんなことを考えている浅間に、全く予想外からの攻撃が来た。

 

「え、え、と。会談のことではなくて? 葉月君のこと、ですか?」

「Tes.大体、あの『悲嘆の怠惰』は本物だろう。葉月が咄嗟に魔法で幻術かけてなかったら。さてどうなっていたかな」

「今までにないくらい葉月君に感謝していますよ」

 

ぞっとしない話だ。いや、本当に。

 

「で。どうなのだ」

「え、ええっと……」

 

上手く話を逸らせたと思ったが、甘かった。

エリザベスは鋭い眼光で浅間を射抜く。

 

「……ちなみに。妖精女王は?」

「そんなの決まっている――――この身全てを捧げても惜しくないほどに、愛している」

 

……うおぁ。熱い。

何が熱いって色々熱い。主に空気が。

 

しかし、これで自分も答えなくてはならなくなってしまった。

いざ答えようとしたが、エリザベスが中断する。

 

「ああ。そうだ。その前に、だ。お前。古代魔法使役士についてどの程度まで知っている?」

「え、古代魔法使役士、ですか?」

 

またもや突然の質問。

だが、エリザベスの表情は真剣だった。

 

「……その。あまり詳しくは。葉月君。そういうの話さない人ですし」

「やはりな。お前達の態度を見て大体分かってはいたが」

 

葉月は自分を事を話さない。

武蔵にいればそれほど気になることでもない。何しろ、武蔵は色々訳ありな者たちが最後に集い暮らす国なのだから。

梅組も、そんな訳あり連中の集まりではあるが。

 

ふと、今まで気にしたことがなかった葉月の一族について浅間は聞いてみる。

 

「妖精女王。葉月君の一族。古代魔法使役士について、何か知ってるんですか?」

「知っているもなにも。この英国には古代魔法使役士についての文献がいくつか残っている。聖連各国やその他の国にもない。この英国だけのものだ――――まあ、他の国々の連中にも知られてはいるがな」

「え、どうしてですか?」

「簡単なことだ。他国にも古代魔法使役士がいるからだ。『英国は自分達に刃を向ける気なのか?』という疑念を払拭するためにな」

 

さて。

 

「まあ答えは分かっている。お前も葉月が好きなのだろう」

「うえぇ!? い、いやその……はい」

 

いきなり指摘されて慌てる浅間。

そんな浅間を見て、エリザベスは淡々と、

 

「止めておけ。お前では葉月を苦しめるだけだ」

 

斬り捨てるように、エリザベスは告げる。

 

一瞬、何を言われたのか分からない浅間は呆然として。脳内が言われた言葉をようやく咀嚼し終えたところで声を発する。

 

「な、なんでそんなことを……」

「これも簡単だ――――お前達は葉月を分かっていないからだ」

「わ、分かっていないって……」

「ならば聞こう。記憶保持者とはなんだ」

 

まるで、生徒に問いかける教師のような物言い。

虚を突かれたが、考える。

 

が、そんな単語は聞いたことがなかった。

 

「……葉月の秘密主義にも困ったものだな。この程度。教えてどうにかなるというものでもないというのに」

「あの、何ですか。それは」

「古代魔法使役士は死ぬと。別の、自分と同じ適正を持つ者に自分が今まで経験してきた事柄を次の奴に引き継ぐ。その魔法資質と記憶と共にな」

「それじゃあ葉月君も……?」

「Tes.だが、葉月の場合。特別だ」

 

特別? 浅間が首をひねらせていると、答える。

 

「――――葉月は、かつて世界を救った英雄の記憶を受け継いでいる。英雄の古代魔法使役士(エンシェント・マギ)だ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

……ここは、真面目な場面なんでしょうか。

 

浅間は内心思う。

ぶっちゃけ。そのような設定は実を言うと食傷気味だ。クラス内にそういったのが好きな眼鏡の痛々しい――――もとい。少し子供っぽい設定で小説を書く書記がいるからだ。

 

「巫女。お前は人を殺したことがあるか?」

「なっ、あるわけでないですよそんなの!!」

 

突拍子もない質問をしてくるエリザベス。

身内にはズドン巫女などという不名誉な名前で呼ばれて、ことあるごとにネタにされている。最近では三征西班牙のほうでも異名が広がっているらしい。自分はただ穢れを取り除いているだけなのに。神道ガッデム。

 

「ちなみに私もない。そして――――葉月もな」

「は、はぁ……」

 

イマイチ要領を得ない会話だ。

一体何を言いたいのだろう、と思うが。ふと、先ほどの会話が思い出される。

 

『古代魔法使役士は死ぬと。別の、自分と同じ適正を持つ者に自分が今まで経験してきた事柄を次の奴に引き継ぐ。その魔法資質と共にな』

 

つまりは、

 

 

 

「分かるか? 葉月は自分が経験したことがないのに(、、、、、、、、、、、、、、)人を殺した記憶があるんだ(、、、、、、、、、、、、)

 

 

 

例えば。自分が悪いことをした場合、それは記憶に残る。

自分がやったのだから当たり前だ。

だがこの場合、他の誰か。それこそ。自分には全く関係のない人間がやったことを、自分の記憶のように思い出されてしまう。

自分がやっていないのに。

 

「古代魔法使役士。その役目は『正義』――――正義とは名ばかりの、ただの悪人の始末屋だがな」

「そんな……だって。そんなことは一度も――――」

 

言って、気づいた。

こんなこと。いえるはずもない。

 

「葉月は何もしていない……それでいて。幼いときから殺戮の記憶を思い出されているのだ」

「ど、どうにかできないんですか? 記憶封印の魔法とか」

「あるならとっくに掛けているだろうさ」

 

エリザベスは、拳を握る。

 

「……こんな話をして。誰が信じる? 信じたとして、誰が葉月を守る?」

 

エリザベスは立ち上がり、虚空を睨みつける。

まるで、全ての元凶がそこにいるかのごとく。

 

「何故ッ、何故葉月がそんな馬鹿げたものを背負わなくてはならない! 何もしていない、ただ普通の少年なんだぞ!! 夜な夜なうなされ、涙を流していたんだぞ!! 何度も何度も、何度も何度も! 誰とも知れぬ者に対して「ゴメンなさい」と謝罪を続けていたんだぞ!!」

 

すると、妖精女王の背からわずかだが光が溢れていた。

おそらく、感情の高ぶりによって例の光翼が現れかけているのだろう。

 

こんなところで光翼を出現させられたら部屋ごと消し飛ぶ。

慌てて浅間はエリザベスを止める。

 

「お、落ち着いてください妖精女王!」

 

浅間の声に、我に返るエリザベス。

 

「……Tes.私がそれを知ったのは、葉月が一度去ってから半年後のことだ」

「一度……あと何回か、英国に葉月君は来たんですか?」

「Tes.もう殆ど私の我侭だったがな。王族護衛とその教育。それが葉月に課せられた義務であり、避けられない運命だ――――無論。葉月より前の古代魔法使役士たちもそうだったろうがな」

 

だとしたら。

 

葉月は、己の内に全てを抱え込んでいたことになる。

王族の護衛や、さらにはその王族の相手となると生半可なことでは務まらないだろう。

当時は子供であった葉月。故に、かかる負担もそれ相応に減らされていたはず。しかし、先に聞いたことが本当なら。葉月は――――

 

「身の内に果てしない怨嗟を抱え、それを表に出すことなく。私達を見ていてくれている――――――惚れるな、というほうが無理というものだ」

「……」

 

浅間は、エリザベスの言っていることがよく分かった。何故なら。

 

……私もきっと。同じことを思うんでしょうね。

 

否。違う。もう既に思っているのだ。

 

「巫女。私はもう葉月と共にあることは無理だ。この英国を任される身。葉月の故郷を守らねばならない。だから頼む。この妖精女王エリザベスが一生一度の頼みだ」

 

エリザベスは浅間の隣に座り、目を見る。

 

「葉月を支えてくれ」

「――――Jud.」

 

浅間は力強く頷く。

エリザベスもそれを見て頷き、立ち上がる。

 

すると表示枠を出し、浅間に見せる。

 

「私のアドレスだ。お前のも教えろ」

「え、あ、はい!」

 

浅間も立ち、言われるがままに自分のアドレスを交換する。

 

……これ。何気に凄いことなんじゃ…………

 

一国の女王と、巫女。身分が違いすぎる。

 

「ああ。言っておくが。私は葉月を諦めるつもりはないからな。横からでも強引に掻っ攫っていくつもりだ」

「わ、分かってますよ! ――――一緒にいる分、こっちが有利です」

 

自分でも、なに言ってるんだろうと思わなくもない発言だが。どうせここには自分と妖精女王しかいない。なので問題はない…………はずだ。

あの外道クラスメイトたちのことだからどこかで聞いていても不思議ではないと思えてしまう。

 

エリザベスは、ふっと笑う。

 

「言ったな? まあいい」

 

そういって、扉を開ける。

 

「さあ行け。極東の巫女。怨嗟の念を祓うのは得意だろう」

「Jud.では。失礼します」

 

浅間は一礼し、そして出て行く。

エリザベスはそのまま扉を閉め、ベッドに横たわる。

 

サイズが違うので、上半身だけだが。

 

思い出されるは、かつての日々。

まだ幼かった姉妹の前に現れたのは、同い年の少年。

 

どことなく暗い雰囲気だったが、次第に打ち解けていった。

 

彼が古代魔法使役士だと知ったのは、それから少しだけ後だった。

 

彼は言う。

 

『やることがあるんだ。だからそのためにも、俺は後二人。王の下に行かなくちゃならない』

 

当時は、そっか、とだけ言って。少し、胸の辺りが締め付けられた。

その感情を解消するかのように、どうしても行かないとダメなの? と自分は聞いた。

 

彼は、笑顔で言う。

 

『……昔。馬鹿な王様予定の奴と約束したんだ』

 

余計に、苦しくなった。

それが「恋」だということに気づいたのは、彼が去った後だった。

 

会いたい。すぐに会いたい。

そう思う彼女は、ふと、あることを思いついた。

 

『別に。今まで会った人と会っちゃいけないなんて言ってないもんね』

 

その後は、彼女の姉と共に行動を起こす。

すると、一年後。彼は再び英国に戻ってきた。

 

やや不機嫌そうだが、それでもまた自分達の相手をしてくれた。

今度は、ちゃんとアピールも含めて。

 

葉月は困ったように、それでも楽しそうに笑いながら。日々を過ごしていた。

だが、それもまた一年で終わってしまった。

 

思いを告げることは、出来なかった。

 

今度も別の国に行ったようだ。ならばまた同じ方法で呼べるかも、と淡い期待を抱いた。

そして、結果からいえばそれは叶った。

 

出会い頭に思い切り説教と拳骨を食らわなければ。

 

だが、今度こそはと思いの丈を伝える。

 

葉月は最初はキョトンとしていて、次に赤くなって、でも最後に、

 

『――――まだ、早いんじゃない。かな?』

 

逃げられた。

逃げるな、と盛大に殴る蹴るなどの喧嘩をした覚えがある。

葉月はただ黙ってそれらをいなしつつ、申し訳なさそうな顔をしていた。

 

そんな顔をしないで。

アナタのそんな顔は見たくない。

 

結局、一年殆ど無駄にしてしまった。

それが、最後の一年だった。

 

もう、英国には来られない。艦に乗って去ってしまう。

このまま喧嘩別れ、は嫌だ。

 

でもどうしたら、と思考の海に埋没する自分を助けてくれたのは――――姉だった。

 

英国の第四階層。本来なら、そこにいるべきは姉だった。

だがそのときだけ、入れ替わった(チェンジリング)

 

艦から見える葉月の姿。

涙で顔がぐしゃぐしゃになりながらも、手を振った。

 

向こうも、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにまたあの笑顔に戻て、手を振り帰してくれた。

伝えられない距離だ。でも、伝わったと、思う。

 

「葉月…………」

 

エリザベスは呟く。

自分を、王としてではなく。一人の少女として見てくれた、魔法使い。

 

自然と、涙が流れていた。

ふと、葉月が自分の事を最初になって言ったか思い出した。

当時の自分はなんとなくその響きが気に入らなかったから、すぐに言うのを止めさせた。

 

だが、今にして思う。

あれは、彼なりの褒め言葉だったんだな、と。

それは、

 

「――――妖精女王(ティターニア)

 

奇しくもそれは、女神と同じ名前であった。

 




どうもKyoです。

地の文短いなぁオイ。
あと人の心理描写は私の敵だ。

そして投稿スピードもなぁ。まちまちすぎる。
これを早いか遅いか判断するのは、皆さんにお任せします。

ちなみに「ティターニア」という名前は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」でも出てきます。
エリザベスがティターニアなら葉月はオベロンか。

では。これを読んでくれている全ての人に無上の感謝を。

次回はアルマダ戦の前、点蔵が最も輝く場面で御座います。
え? それは告白シーンじゃないかって?
あのシーンで輝くのはメアリさんです。お間違いなきよう。

……今思い返せば私の高校時代がリアル梅組だった件について。
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