アイのままに、ワガママに~名探偵は一家団欒を望む~   作:サニキ リオ

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第46話 正面突破

 アイボリーハウス跡地はバーシル街の外れにある。

 建物の周辺には立ち入り禁止の黄色いテープが張ってあり、物々しい雰囲気を醸し出している。

 一旦事務所に戻って突入の準備を整えた俺達は裏口からこっそりと内部に侵入していた。

 

「あたしは武術の心得があるし拳銃も持ってるけど、ライアンは大丈夫なの?」

「この街で探偵やってんだ。人攫い連中に遅れは取らねぇよ」

 

 とはいえ、アイを人質にされたら身動きが取れなくなる。

 

「俺にはこれがある」

「ちょ、それ銃じゃない!?」

 

 俺が懐から銃を取り出すと、ディアナは目を見開く。

 別にこの街で銃器を持ち歩くことは犯罪でもあるまいし、そんなに驚くほどのことでもないだろうに。

 

「探偵七つ道具の一つだ」

「殺人七つ道具の間違いでしょうが!?」

「安心しろ、サイレンサーはついてる。それに黄泉の境界地点で買ったもんだから足は着かない」

「違う、そうじゃない」

 

 何故かディアナは頭を抱えていた。

 自分だって拳銃をぶっ放す気満々の癖に何を悩んでいるというのだろうか。

 

「新婚早々旦那に手錠をかけるような真似させないでよね」

「それを言ったら、そもそも俺もお前も不法侵入なんだけどな」

 

 俺達は周囲を警戒しながらもアイボリーハウスの内部へと入っていく。

 

「やけに見張りの数が少ないな」

 

 俺は柱の陰から外の様子を窺うが、周囲にはハンターズのメンバーらしき男たちが数人いる程度だ。

 この人数ならば制圧も容易いだろう。

 

「少数精鋭で固めてるのかしら」

「腕が立つようには見えないがな」

 

 彼らからはどこか素人臭い感じを受ける。

 戦闘経験が少ないのかもしれない。

 だが、油断はできない。

 仮にもハンターズは人攫いのプロなのだから。

 

「奴らの後ろに回って静かに締め落とすぞ」

「賛成。アイちゃんが捕まっている以上、時間をかけてられないものね」

「音を立てないように気をつけろよ」

 

 俺達二人はゆっくりと通路の奥へと進んでいく。

 

「あっ、やば……!」

 

 曲がり角に差し掛かった所でディアナが転がっていた缶にぶつかってしまった。

 

「誰だ!」

 

 見張りの男の怒号と共に発砲音が鳴り響く。

 同時に足元へ銃弾が撃ち込まれてコンクリートの破片が飛び散り、床に大きな穴ができた。

 

「バカ野郎! 音を立てないように気をつけろって言っただろうが!」

「しょうがないでしょ! 暗くてよく見えなかったのよ!」

「チッ、そんなこと言ってる場合じゃねぇか」

 

 俺は舌打ちをしながら前に出ると、銃を構える男の腕を掴む。

 そのまま関節を決めて拘束すると、素早く背後を取って締め上げる。

 男は白目を剥いて気絶した。

 

 どうやら思った以上に脆かったらしい。

 銃声を聞きつけた他の者が近づいてくる気配を感じ取った俺は、ため息をついて銃を構えた。

 

「仕方ねぇ。こうなったら――」

「――正面突破よ!」

 

 俺とディアナは同時に駆け出した。

 

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