アイのままに、ワガママに~名探偵は一家団欒を望む~   作:サニキ リオ

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第48話 怪盗は真実を盗む

【日が隠れ、月が顔を出す時、闇夜と境界から闇夜に吠える狼男が〝真実〟をいただきに参上致します】

 

 怪盗ベオウルフが予告状を出した。

 そのニュースは瞬く間に世間に知れ渡り、ニュース番組ではお約束のように特集が組まれることになった。

 ネットでのライブ配信も既に予定されており、ベオウルフが忍び込む予定のバーシル記念館には既に大勢の野次馬達が駆けつけていた。

 

 真実というのは、世界でもっとも巨大なダイヤモンドの名前だ。

 先日、ロゼミが世界規模のオークションにて目玉が飛び出すほどの値段で競り落としたことでニュースになっていた宝石だ。

 

「ねぇ、ライアン。怪盗ベオウルフはしばらく地下に潜むんじゃなかったの?」

「全部が全部推測通りになると思ったら大間違いだ。そんなんだから毎回逃げられるんだろうが」

「ぐぬぅ……」

 

 俺の言葉にディアナは言葉に詰まった。

 しかし、次の瞬間には表情を引き締めて拳を握った。

 

「でも、これはチャンスよ。こんなに早くベオウルフに再会できるなんて思わなかったもの」

 

 ディアナは燃えていた。

 たとえ改心しようのない悪党だろうと機会がある限り手を伸ばし続ける。

 その姿はどうしようもなく眩しいものだった。

 

「ロゼミさん、またすごいの買ったよねぇ。今回もベオウルフを捕まえるために用意したんでしょ?」

 

 朝食を取りながらテレビを眺めていたアイは呆れたように呟く。

 

「あのブルジョワ縦ロールは怪盗ベオウルフのためなら金を惜しまないわ。まったく、金銭感覚どうなってんのよ」

「世界でも有数の巨大財閥令嬢で本人も事業でかなり稼いでるからな。あのぐらいあいつにとっちゃ端金だろ。ベオウルフの特番や取材関連でも稼いでるみたいだしな」

 

 ロゼミは相変わらずベオウルフにご執心のようで、今回もヴィクトルと組んで捕縛装置の開発に勤しんでいるのだろう。もっとまともな奴と組めとは思わなくもない。

 彼女のことで変わったことといえば、やたらと俺とディアナの結婚式の日取りを聞いてくることくらいだろうか。

 普段はディアナを小バカにした態度を取っているが、ああ見えてロゼミはディアナを友人としてとても慕っていることがよくわかる。

 

「で、今回も現場にいくのか?」

「もちろんよ! ライアン、あんたにも来てもらうからね」

「入籍の挨拶が現場になるわけか……」

 

 ロゼミはクロサイト財閥令嬢ということもあり、事件でもない限り普段はなかなか会うことのできない人間だ。

 婚姻届の証人のサインをもらったとき、ディアナはどんな無茶をしたんだか……。

 朝食を食べ終えて各々で準備をしていると、インターホンが鳴った。

 

「おはようございます! 今回も怪盗ベオウルフと対決するんですよね!? これ、差し入れです! あっ、ご結婚おめでとうございます!」

「言いたいことを一息で言おうとするなよ」

 

 扉を開けると玄関に立っていたのはエリィだった。

 エリィはいつもの二倍増しくらいに元気で、興奮したようにバスケットをこちらへ渡してきた。

 

「あっ、今回もディアナさんの苦手なピクルス抜きのサンドウィッチは右側に寄せてますよ!」

「いつもごめんね。エリィさんには世話になりっぱなしよ」

 

 先日、エリィがアイを取り返そうとして銃で撃たれたということもあり、ディアナはどこか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

 

「いえいえ、私にとってスローン一家は大切な常連さんですから! お気になさらず!」

「エリィさん、この前はありがとうございました!」

「いいんですよ! アイちゃんも元気そうで良かった!」

 

 エリィは元気そうなアイを見て、心からの笑顔を浮かべる。

 

「やっぱり、家族は一緒が一番ですね」

「……俺もそう思う」

 

 エリィの言葉に、俺はどんな顔をしていいかわからなかった。

 

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