アイのままに、ワガママに~名探偵は一家団欒を望む~   作:サニキ リオ

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第51話 確保よ! 確保ー!

「……ベオウルフに協力者っているのかな。たとえば女性でさ」

「さあな。そういう話は聞いたことないが」

 

 アイの言いたいことはわかる。

 ベオウルフに協力者がいて成りすましている可能性は大いにあるだろう。

 だが仮にいたとしても、ベオウルフと同等の変装技術を持っていなければその推理は成立しない。

 

「ま、なるようになるさ」

「むぅ……」

 

 俺の言葉にアイは悔しそうに唸ると、静かに俯いた。

 そこからは特に進展もなく予告の時間がやってきた。

 予告状の〝日が隠れ、月が顔を出す時〟と〝闇夜と境界〟というキーワードから予告時間は日没ということがわかっている。

 警備が強化された展示室の明かりが落ちる。どうやら時間のようだ。

 明かりが落ちたのと同時に周囲から煙幕が吹き出す。

 

「Ladies and Gentlemen!」

 

 煙幕が晴れると、高らかに声を張り上げ、展示ケースの上に怪盗が突如として現れる。

 さて、どう動いたものか。

 

「来たわね、怪盗ベオウルフ!」

「これはこれはディアナ警部。ご結婚おめでとうございます!」

 

 恭しく頭を下げると、ニヤリと口元を歪める。

 その姿はまさに怪盗そのもの。

 

「それでは、結婚祝いも兼ねて本日は気合を入れてショーに取り掛かるとしましょうか」

「っは、あんたからの結婚祝いなんていらないわよ!」

 

 いつもの軽口にディアナは吠えるように叫んだ。

 それに対して答えずにほくそ笑むと、展示されている真実そっくりなダイヤモンドを懐から取り出す。

 

「今からこのガラスで出来た偽物と真実を入れ替えてみせましょう!」

 

 芝居がかった台詞と共に展示ケースに布が被され、右手に持つ偽物が宙へと放り投げられる。

 

「スリー」

 

 カウントダウンが始まる。

 それと同時に警備に当たっていた者達が一斉に警戒態勢を取る。

 

「ツー」

 

 天井近くまで投げられた偽物は重力に従って落下を始める。

 

「ワン!」

 

 そして、落下している偽物にギャラリーが気を取られていた瞬間、照明が落ちて煙幕が噴き出した。

 

「まずい! 確保よ! 確保ー!」

 

 ディアナが声を張り上げて刑事達が一斉に飛び掛かるが、中には生体認証をしていなかった者もおり、刑事達は電流で痺れることになった。

 

「痛だだだ!? ちょっと! 生体認証登録してないの誰よ!」

「すみませぬ、数が多かったので、何名か生体認証しておりませんでしたな」

 

 ヴィクトルが申し訳なさそうに答える。

 その言葉通り、展示室内には多くの人員が配置されており、全員を生体認証するとなるとかなりの時間を要する。そのため、何人かは見落としてしまったのだ。

 

 

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