俺のWEB小説の感想欄に粘着してる荒らしが清楚な文学少女のはずない 作:クサバノカゲ
図書館で、ようやく目的の本を見つけた。
棚の左端、上から二段目。
日に焼けて薄れた
「ぁ……」
微かな女の子の声と、柔らかな感触。
指先に白くて細い誰かの指が触れて、すぐ離れる。羽毛が撫でていったみたいに。
「……ごめんなさいっ……」
遅れて俺も指を引っ込めつつ、左側から聞こえた小さな
──そして見惚れた。
血管の透けそうな白い肌と、姫カットの艶やかな黒髪。
知的な
ゲームやアニメでしか見たことのない、
しかもだ。彼女の華奢な肩を包む清楚な純白のブレザーと、ほのかに膨らむ胸元を飾る銀の
──いいかい鈴木くん。彼女らは『
脳内再生されたのは、昼休みに同級生の藤田くんが俺に熱く語りかける声だった。彼こそは、校内イチ女子高生に詳しいことで名を馳せる男だ。
「二次元が主戦場の鈴木くんでも、聞いたことくらいあるだろう。家柄と知性を兼ね備えた選ばれし清楚オブ清楚だけが通う、中高一貫の超名門お嬢様学園──『聖条院女学館』を」
彼の言葉には、どんどん熱がこもっていく。
「純白のブレザー、胸を飾るエレガントな銀の
一気に語り切って教室の窓の外に目線を送った彼は、そこから声のトーンを落として言葉を続けた。
「いいかい鈴木くん。聖女様の半径3メートル以内には、何があっても近付いちゃいけない。彼女らが身にまとう清楚さは、我々のような陰キャには致死量だ。一瞬で
制服の左胸をキュッと握りしめ、遠くを見つめる彼の身に何があったのかは知らない。俺はただ、清楚という単語がゲシュタルト崩壊しかける中で、話半分にうなずいていた。
──彼の言葉の意味が、今なら少しだけわかる気がする。
どうしよう藤田くん、俺は清楚領域半径1メートルにまで足を踏み入れてしまった。
「……あの、お好きなのですか……?」
囁くように、彼女が問いかけてくる。
好きです!と即答したかったけど、それが先ほどお互い手に取ろうとした「本」に対しての問いだと気付いた俺は、ぎりぎりで言葉を飲み込んだ。
俺がなぜその本に手を伸ばし、そして彼女と出会ってしまったのか。
──発端は二日前にさかのぼる。