俺のWEB小説の感想欄に粘着してる荒らしが清楚な文学少女のはずない   作:クサバノカゲ

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【三】荒らしが「文章作法」を教えてくれた

▼一言

そう簡単に直せるレベルの下手さじゃないので、まずは文章作法から。

 

①三点リーダー[…]とダッシュ[―]は2個セット[……][――]で使う。

②会話文「」のいちばん最後には句点[。]を付けない。

③疑問符[?]感嘆符[!]の後ろに文が続くなら、スペースを一個空ける。

 

それと文頭の字下げ(スペース)は入れる/入れない、どちらかに統一すること。今みたいに入れたり入れなかったりが一番ダメなお手本。

 

あとは地道にインプットする。どうせまともな小説読んだことないだろ?

投稿者:ricebird

 

 

 ……ものすごく具体的でわかりやすい指摘が返ってきた。きっちりディスりながら。ていうか返信して5分くらいしか経ってない気がするけど早すぎない……?

 

 ちょっと恐怖をおぼえつつ、このままでは遅刻してしまうので、いったんスマホの画面を消す。

 

 ──その日は結局、授業中もずっと荒らしのことばかり考えてしまった。指摘された「文章作法」というものを、机の下でスマホを膝に乗せてずっと調べていた。

 

 そして夜、自室で机に向かい今日も続きを書く。

 荒らしに指摘されたこと……三点リーダーや句読点の扱い方に気を付けながら。

 文頭のスペースは、なろうの「一括変換」の機能を使って全文に入れる。

 

「……え……これって……」

 

 投稿前のプレビューで、自分の文章を見て驚く。

 なんというか、すごくスッキリして見えた。比べると、昨日までの文章はゴチャッとしている。

 授業中に調べたところ「文章作法」というのは出版時、つまり書籍(ほん)の形になったときの文章のルールらしい。

 

 それを守ればプロの作品で見慣れた形式に近い文章になるわけで、読みやすいと感じるのは自然なのかもしれない。

 もし俺が読者の立場だったら? 同じ内容なら当然、こっちを読みたいに決まっている。

 

 なぜだか胸の高鳴りをおぼえつつ、最新話を投稿した。

 さあ、これでどうだ? 落ち着かないのでシマエナガさんの動画を見て心をしずめ、五分後に再びなろうを開く。

 

 

▶感想が書かれました

 

 

▼気になる点

文章作法が守られて読みやすくなったが、最新話だけなので意味がない。全部直せ。

あと誤字やら文法おかしいとこも盛大にあるからついでに直せ。時間が経ってるからきみでも気付けるはず。

 

▼一言

投稿前に一晩寝かせて、三回くらい音読してみると誤字やおかしな文に気付けると思う。

まあ、きみは絶望的にインプットが足りないから百回やっても無駄かもね。

投稿者:ricebird

 

 

 ……ぐぬぬぬ、えっらっそうにっ……。しかし確かに最新話だけ直しても、読者は1話から読むわけであまり意味はないのかも知れない……。

 それにしてもインプットインプットと……そりゃあ俺は基本ラノベしか読まないけど、書いてるのもラノベなんだから問題ないだろ。うん、そうだよな。

 

 

>>感想返信

ご感想ありがとうございます。ご意見、参考にさせていただきます。

インプットが足りてないとのことですが、おすすめの本などありますか?

 

 

 よし、これでいい。

 有名な文豪とかナントカ文学賞受賞作品とか出してきたら「こちらが書いてるのはラノベなので参考になりません」で論破だ!

 意識高い系の小難しい文章じゃあ、俺たち中高生男子を楽しませることはできないぜ!

 

 ──その後。5分置きに更新してみるものの、赤文字はなかなか現れなかった。

 

 荒らしの言いなりになるのは癪だ(モヤる)けど、待ち時間を潰すのに1話目から見直しをかけてみることにする。

 

「……おい……なんだよ『大地を斬り埼玉県』って……」

 

 正しくは「大地を斬り裂いた魔剣」……うん確かに……時間を置いたおかげか、誤字やおかしな言い回しがボロボロ目について直しの手が止まらない。俺はこんな状態で公開していたのか……。

 

 そういえば文章作法を調べていたときも、書いてすぐに投稿せず一晩寝かせてから推敲(すいこう)するのが良い、なんて話を見た気がするけど……なるほど、こういうことか。

 

 結局、気付けばスマホを両手に持ったまま、机に突っ伏して眠っていた。

 直しは全体の半分、二十話を終えて投稿ボタンを押したところ。

 

 時計の針は朝6時。たぶん2時間くらいしか寝てない。

 いろいろまずいと思いつつ、ほとんど手癖のようにユーザーホーム画面を確認する。

 

 

▶感想が書かれました

 

 

▼気になる点

ちゃんと寝なさい。

 

▼一言

朝見夕日 著「あわゆき姫と七羽の小鳥」

投稿者:ricebird

 

 

 ──予想外の優しさと共に添えられていたのは、文豪の名著でも、ナントカ賞受賞作品でもなくて、とうに絶版になった児童書のタイトルだった。

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