アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

100 / 267
100話 最終戦 決着

 

 

麻人(あさと)(偽)と剣を交わす度に感じる違和感を確かめる為に、(かなめ)流古武術の裏口伝を放ってみると、要流の返し技が返ってきたので、麻人(偽)の腕を取り投げて無効化し、違和感の正体に確信を持つ

 

 

「お前、親友の顔と声を真似るだけじゃなく、要流古武術(うち)の技まで真似やがって・・・ふざけるなよ?」

 

「それはコチラのセリフですよ、なんで貴様の様な売女が忌々しい要の戦闘術を使っているんです・・・いや、まさか? なるほど なるほど」

 

「急になんだよ、本当に気持ち悪い奴だな」

 

 

何故かは分からないが、麻人(偽)は 私の生家で営んでいる道場て教えている古武術を使ってきたので、尋ねると なんか意味が分からない事を言った後に、急に何かを自己完結し始める 本当に気持ち悪い奴だ

 

 

「魔王のサプライズも素晴らしい、忌々しい 要 夏月(かづき)を私の手で もう一度始末するチャンスを授けてくれたのですから、ねぇ? 夏月(かづき)? 」

 

「気持ち悪いから、私の名前を呼ぶな偽物、さっさと死ね」

 

「やれやれ、相変わらず度し難い程に口が悪い」

 

 

僅かばかりの口撃(こうげき)の応酬を終えて再び剣を交わすが、まだ剣は麻人(偽)へ届かない

 

その事に疑問を感じ、改めて剣先がブレている事に気付く

 

今の私は、ヴェスタ(かみ)から祝福(ギフト)を貰っている、そんな私が 高々 1国の脅威程度でしかない魔王、それも手先に負ける筈も同等の戦いをする筈がない、本来であるならば 圧倒して然りなのだ

 

その事を認識し、私は麻人(偽)から大きく距離を取り 深呼吸する

 

怒りで鈍った思考と力む身体をほぐす様に深く長く深呼吸を繰り返す

 

目の前の親友を騙った愚か者を殺す為に、今は怒りを棄てて冷静にかつ大胆に対処しよう、そうでなければ 守れる者も守れない

 

 

「死ぬ準備が出来た様子ですね?」

 

「あぁ、お前を殺す準備が万端だ」

 

「やれやれ、本当に口ばかり達者ですね」

 

「口ばかりかな?」

 

 

魔力量に物を言わせて浄火の焔を巻き上げながら麻人(偽)との何度目かの剣戟を交わすと、麻人(偽)は苦虫を噛んだ様な表情へ変わり

 

「これは、厄介な」

 

「ははは、逃がさないぞ? お前が死ぬまで追う、追い続けて追い詰め、殺す」

 

「ちっ、厄介な! なぜ消えない?!」

 

「そりゃぁ、お前が罪人だからだ」

 

 

斬り結ぶ事で浄火の焔の火の粉が麻人(偽)の肌を焼き、服を焦がし そして少しずつ延焼していく、それを はたいて消そうとするが消えるどころか更に延焼を加速させていく様子を、私は少し距離を空けて眺めで嘲笑う

 

 

「我が主上なる父ヴェスタよ、眼前に立つ罪人を父の御元へと送る事をお赦しください。彼に安寧と安心と安らぎ無き罪を雪ぐ試練をお与えください、我が全てを持ってお願い奉ります」

 

「何を、何をした?! クソ、消えない?! なぜだ」

 

 

浄火の焔に焼かれ、あまりの苦痛に膝をついて動けなくなった麻人(偽)の恨み言を聞き流しながら、ヴェスタへ祝詞を捧げていると『おっけー』と何とも緩い返事が聞こえてきて、なんか気と自分の中のナニカが抜けていく気がして、数秒後にヴィカーと光の柱が天空から降り注いで 麻人(偽)を飲み込み、苦悶の雄叫びが数秒響いて聞こえなくなり 更に数秒して光の柱が無くなると、相変わらず禍々しい魔王の遺物 “ 魔剣 ” のみ が地面に残り、麻人(偽)の姿が跡形も無く消えていた

 

 

「なんかヴェスタの返事が軽かったなぁ・・・まぁ良いか」

 

 

やれやれ と魔剣をアイデースで収容し 浄火の焔を消して 伸びをする、なんか久しぶりに全力で魔力をブン回して消費したせいか、少し疲れたな

 

そんな事を考えながらアルトに合図をして結界を解除してもらうと、チャールに羽交締めにされていたナズナが、チャールを振り解き 凄い形相でコチラへ走ってきて なんか怖い

 

 

「大丈夫か、カヅキ!!」

 

「この通り大丈夫ですよ? ナズナ殿下」

 

「いや、お前・・・腹を思いっきり刺されてるだろう? 」

 

「え? あ、あぁ・・・」

 

 

ナズナは私を心配してくれていた様で、私の肩を掴み心配そうに言ってきたので返答すると 『何言ってんだ お前』見たいな表情をされながら言われ、そう言えば麻人(偽) に腹を思いっきり刺されていた事を思い出して、腹を見ると運動着の刺された場所に見事な穴が相手いた

 

勾玉(イザナギ)は超回復してくれるけど、服までは再生しない様だ、無念

 

 

「傷自体は治癒していますので、大丈夫です」

 

「本当に大丈夫か? 」

 

「大丈夫です、しつこいですよ?」

 

「む、すまない・・・」

 

 

あまりに心配してくるので、少し強めに言うと ナズナが謝ってきて 何だか罪悪感を感じてしまい、それを誤魔化す為に話題をすり替える事に決め

 

 

「ナズナ殿下、隠蔽術が解けてしまい申し訳ありません」

 

「ん? あぁ 多少は五月蝿くなるかも知れないが、まぁ大丈夫だろう。これだけの功績を持つ者に 手を出すバカは 少ないだろうしな」

 

「はぁ、そうなのですか?」

 

「あぁ、そうなんだ」

 

 

隠蔽術についてナズナへ謝ると彼は私の頭を撫でて微笑み言うが、私には 貴族のアレコレはよく分からないので、曖昧な返事を返しておく

 

今は、ナズナの撫でる優しい手付きを味わっておこう、心地よいのでね

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。