アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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ナズナ視点


107話 不法侵入の 自称 占い師

 

 

 

イフリート1の月(7月)義母(はは)上 や親父から渡された仕事をこなしつつ、アンコールによる賑やかし以降 特に問題もなく過ごし夏休みに突入して城へ戻ってきて数日の早朝『ぎょわぁーーー』と聞いた事もない悲鳴? 雄叫び?が、カヅキの寝室から聞こえてきて、只事では無いと判断して、ベッド横に置いている剣と鍵を持って彼女の元へと向かう為に部屋を出る と警備兵も心配そうな表情をしている

 

 

「誰か部屋へ入ったか?」

 

「いえ、誰も」

 

「そうか、分かった」

 

 

警備兵へ手短に質問すると答えたので、鍵を使い解錠してカヅキの寝室へと入る

 

俺達の寝室が有るのは三階に位置していて侵入者対策で全部屋に格子が嵌められている、だから侵入者はいない前提で入室した訳だ

 

 

「カヅキ大丈夫か? カヅキ?!」

 

 

ガタガタと泣きながら震え浅い呼吸を繰り返しベッドの上で足を抱える様に座っているカヅキを見て、一目で良くない状況である事を認識し 直ぐに備え付けの机の引き出しを開け、緊急時用の無痛注射器(ナノパス)を取り出してカヅキの首元へ使用すると、数秒で呼吸が落ち着き コテンと横に倒れ寝息を立て始める

 

 

「ふぅ・・・ひとまずは大丈夫そうだが、俺では分からんしターニャを呼ぶ事にしよう」

 

「私が何でしょう?」

 

「うおぉ?! ターニャ?! 無音で立つな、心臓に悪いだろう!」

 

「失礼しました」

 

 

恐らく発作だったのだろうと推測して、城の常駐医よりテスタロッサの主治医(ネビリム)の方が良いだろうと判断して、保護者(ターニャ)に連絡を取ろうと思った矢先、本人が背後に立っていて驚いてしまい 苦言を呈するが 全く反省している様子がないが、まずはカヅキを優先すべきなので捨て置く事にしよう

 

 

「なぜ呼んでもいないのに居るのか? と尋ねたい所だが、今は捨て置くとして、カヅキが発作を起こした様だ それも特大の奴をな? だから、お前の方でケアしてやってくれ、俺は暫く城から動けそうにない」

 

「はい、元より そのつもりですナズナ殿下・・・おや?」

 

「どうかしたか?」

 

「いえ、何も。 あとは私共で対処致しますのでナズナ殿下は退室願います」

 

「あ、あぁ・・・分かった、任せたぞ」

 

「はい」

 

 

寝息を立てているカヅキを愛おしそうな眼で見ていたターニャが何かに気付いた様子だが、はぐらかされてしまい カヅキの寝室から追い出されてしまう、まぁ確かに 俺の専属護衛とはいえ未婚女性の寝室へ居座るのはマナー的にもアウトな気がするからな、従うしかない

 

それから、カヅキの手料理ではない為か少々 味気ない朝食を食べ執務に取り掛かり大きな案件を終わらせる事が出来たので、少し気分転換をする為に吾妻庭園へと向かう

 

本当なら1人で行きたかった所だが、カヅキの代役であるカナリアを同行させて庭園を散歩する、何事もなくカナリアも庭園へ入れた事に驚いたが、コイツもコイツで邪念が無いからなのかも知れない

 

それから庭園の途中に設けられた東屋で少し ゆっくりする事にし、腰を下ろして庭園を眺める

 

やはり此処は静かで良い、心が安らぐ

 

そんな事を考え休んでいると、石作りの参道を鳴らす音が聞こえ振り向くと

 

 

「・・・ナズナ殿下」

 

 

カナリアが警戒し腰に帯びた剣を いつでも抜ける体勢で、侵入者を見据えていたので、俺も立ち上がり剣の柄に手を掛け侵入者である日傘をさした蒼髪の女を見据える

 

 

「こんにちは。ご機嫌よう、ナズナ殿下」

 

「貴様は誰だ、リューネの民ではないな? 何処の国の者だ」

 

 

彼女は まるで自分が悪い事をしている自覚の無い穏やかな声色で、俺へ挨拶をしてきたので、答える訳もないが尋ねると日傘をクルッと回しニコリと笑む

 

コイツ、余程 自分のチカラに自信があるか 余程のバカか、どちらかだな?と思っていると

 

 

「殿下が尋ねているのです、答えなさい」

 

「そうね・・・旅をしている、しがない占い師 って事でどうかしら?」

 

 

痺れを切らしたカナリアが彼女を問い詰める様に質問し、彼女は何とも信用できない事を言いウィンクしてくる

 

コイツ、俺達を馬鹿にしているのか? 旅の占い師が城の最奥に位置する秘匿された庭園に、道中 誰にも見つからずに迷い込める訳がない

 

そんな風に警戒を解かずにいると、彼女がクスリと笑う

 

 

「何が可笑しいんですか?」

 

「あぁ・・・いえ、少し視えてしまったものだから。ナズナ殿下、何か お悩みでは?」

 

 

彼女の様子にピリ付いているカナリアが質問すると、彼女は謝罪をしてから俺を真っ直ぐに見据え言ってくる

 

そして その質問は図星で内心動揺しながら、悟られない様に表情を必死に繕う

 

確かに俺は今、悩んでいる事がある それをこの短時間で見破られてしまえば、動揺するのも無理はないと思う

 

コイツが占い師と言うのは偽りでは無い?

 

 

「・・・俺が何に悩んでいると言うんだ」

 

「自分の気持ちが何なのか、それが何か分からなくて悩んでいるのでしょう? でも、薄々気付き始めている。そうじゃない?」

 

 

あまりに的確に悩みを言い当てられてしまい、思わず彼女から視線を逸らしてしまう

 

俺の心の内 全てを見透かされてしまっているようで、逸らすしかなかった

 

 

一体 コイツは何なんだ?

 

 

 

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