アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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続 ナズナ視点


108話 ショウ・マスト・ゴー・オン

 

 

 

自称 占い師の言葉に動揺して彼女から目を逸らしてしまい、その事をカナリアに感じとられ

 

 

「殿下、この者危険かもしれません。捕らえて尋問しましょう カヅキちゃんも、多分 そう言うと思います」

 

「・・・っ 待てカナリア!」

 

俺の制止も聞かず、カナリアが占い師へ突っ込んで行き、カナリアの剣を避け、その腕を取って前方に引っ張りながら足払いをかけて、カナリアを倒し、腕を取ったまま捻り上げつつ、片足で体重をかけて彼女の背中を踏みつける

 

恐ろしく早く無駄な動作が一切無い、戦いに慣れた それも対人戦かつ捕縛する事に慣れている者の動きで、カナリアに怪我をさせずに無力化に成功している、この女・・・ただの占い師ではないな

 

 

「ぐぅ・・・っ!!」

 

「ごめんなさいね? 護身術くらいは身につけておかないと、いつ何時襲われるか分からないでしょう?」

 

 

占い師はカナリアが呻き声を上げながら動こうとするのを阻止しながら言う、この組み敷き方・・・そうだ カヅキが使い魔召喚の時にアルトを組み敷いた時にもしていたな? 確か 骨格の構造上、絶対に抜け出せないとか・・・何で この占い師がカヅキと同じワザを使えるんだ? まさか同郷なのか?

 

 

「何が望みだ」

 

「あら 別に何も、安心して頂戴? 彼女を殺そうなんて思ってないから」

 

 

一抹の不安を抱きながら剣を抜き構え、占い師へ尋ねるとカナリアが持っていた剣をあらぬ方向に蹴り飛ばしながら、占い師は微笑んで答える

 

占い師の言う通り、カナリアを殺すつもりなら わざわざ組み敷かずに一撃で終わらせている筈だ、その実力が彼女にはある

 

 

「そうね・・・なら、カードを二つ引いて貰おうかしら?」

 

占い師が指を鳴らすと、どこからともなくカードが現れて 俺の目の前に浮かんでいる

 

今の俺は 占い師に言われた通りカードを引くしか無い、占い師の気分1つでカナリアの命は無くなるからな

 

突如として現れたカードに警戒しながらも、1枚引き、そして もう1枚引いた所で カードが占い師の元へと飛んでいく、どういう仕組みなんだ?

 

 

「へぇ・・・」

 

「なんだ」

 

 

手元に戻ったカードを見て 面白そうな表情をした占い師を睨むと、いいえ と占い師は答える

 

「1枚目に選んでもらったカードは現在の事、太陽の正位置。意味はそうね・・・可能性の成就、と言った所かしら?」

 

 

占い師はカードの絵柄を俺に見せながら、一瞬 自分の影に目を落とす。彼女の影が小刻みに揺れている様に見えるが、緊張による錯覚だろう

 

そんな事より優先すべき事があるので、そちらに集中しなければならない

 

 

「可能性の成就、だと?」

 

「貴方、ある女性が気になっているのではなくて? 偉業を成し遂げてはいるけど、その女性は平民・・・いえ、種族が違う・・・かしら? 女性から好意を寄せられているのに気付いてはいるようね」

 

 

占い師の指摘に思わず唸り黙ってしまう、何なんだ この女は?

 

 

「その気持ちが何なのか、教えてあげましょう。それはね? 恋情って言うのよ、女性から寄せられている気持ちと一緒」

 

「恋・・・情・・・?」

 

 

困惑する俺を知ってか知らずか言い、占い師は苦笑しながらも続け 俺へ もう1枚のカードの絵柄を見せ

 

 

「次のカードは未来の事、これも正位置ね? 積極的に行動すれば、貴方の目的は必ず叶うでしょう。さて・・・そろそろ帰ろうかしら? あぁ、でもそうね・・・忠告をしましょうか」

 

 

占い師は 満足そうに言い カナリアから手を離し、彼女が指を鳴らすとカードが消失する、その事に驚いている内にカナリアの上から退き、俺達から背を向ける

 

 

「っ、貴様・・・っ!!」

 

一見して隙だらけの姿に 一矢報いようとしたのか、カナリアが体術を仕掛けるが、彼女の影がカヅキの使うアイデースの様に隆起しカナリアの動きを完全に止める

 

 

「格の違いも分からないようでは、早死にするわよカナリア? 自分が死ぬだけなら まだしも、護衛対象であるナズナまで危険に晒すと考えなさい、そうニーナに教わらなかったのかしら?」

 

「何故、それを・・・」

 

占い師は余裕の表情で驚愕を顔に浮かべるカナリアを一瞥し、彼女は 圧倒的実力差に驚愕する俺に目を向け口を開く

 

 

「貴方が恋焦がれている あの子、とても寂しがりやなのよ。ちゃんと自分の気持ちを伝えないと、何処かに逃げてしまうわ。隣にいたいのなら、それ相応の覚悟と愛情を伝えてあげてね? ナズナ」

 

占い師はニコリと笑む、俺は驚きながらお前は、と口に出すと

 

「私は シャルロット・マリアライト・ブリリアント。ではご機嫌よう、ナズナ殿下」

 

彼女はパチンと指を鳴らし瞬きの間に、その姿がかき消えてしまう

 

俺は、おぼつかない足取りで東屋の椅子に座り息を吐く、俺は白昼夢でも見ていたのか?

 

だが、悔しそうに自身の剣を拾うカナリアの姿で、現実だった事を理解する、最後の最後で名乗った彼女の名前、シャルロット・マリアライト・ブリリアントは恐らく偽名とかでは無いだろう・・・が、とりあえず彼女の正体が何であれ、シャルロットの お陰で自分が悩み抱いていた想いを正しく理解できた、そんな気がする

 

 

「ナズナ殿下、取り逃してしまい申し訳ありません」

 

「構わん、そんな事より すべき事が出来た。カヅキが復帰するまで お前達には負担を強いる事になるが、許してくれ」

 

「何を言っているんですか? ナズナ殿下達 王族の方々を支える為に私達がいるんですから、気にしないでください! 」

 

「そうか、それは助かる」

 

「あ、でも〜 カヅキちゃんを泣かしたら〜 いくらナズナ殿下でも殴りに行きますんで、そこんとこ よろしくお願いしますね? 」

 

「・・・あぁ、キモに命じておこう」

 

 

カナリアの謝罪をなだめてから言うと、カナリアが そう返してくれたので感謝を述べるが、カナリアが思い出した様にニコニコとしながら利き手で拳を作り忠告してくる

 

カヅキは、皆に愛されているな? これは充分 王妃の素養があるって事だ

 

冗談とはいえ王太子に、こう言う事を言える友を持っているぐらい人望があるって事だからな?

 

東屋に来た時とは違い、晴れやかな気持ちで やるべきことを遂行しよう。そうしなければ、カヅキへ顔向け出来ないしな

 

 

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