アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

109 / 267
109話 真夏の春

 

 

 

左手を誰かに握られている温もりを感じて ゆっくり目を開けると、約3週間振りの自室の天井が見え息を吐き、徐々に意識がハッキリしてきて疑問を抱く、私は城にいた筈なのに 何故テスタロッサの自室のベッドに寝ているのか、そして左手を握っているのは誰なのか と

 

 

「起きましたか カヅキ、気分は どうですか?」

 

「センセイ? 何でセンセイ・・・私はテスタロッサに?」

 

「大丈夫ですよカヅキ、落ち着きなさい? 大丈夫、大丈夫です」

 

「はい・・・センセイ」

 

 

私が起きた事に気付いたセンセイが、話しかけてくるが思考が纏まらずにグルグルとしてしまう、そんな私を察してくれたのかセンセイは左手を握ってくれながら私の頭を撫でて落ち着かせてくれる

 

センセイの優しい手付きに混乱していた頭も落ち着きを取り戻し始め

 

 

「ありがとうございますセンセイ、落ち着いてきました」

 

「そうですか、それは何よりです・・・が、貴女は不調でも隠そうとする所があるので、まだ油断は出来ませんね」

 

「今回は本当ですから・・・あの、何故 私はテスタロッサに? 城の私室で寝ていた筈なのですが・・・」

 

 

身体を起こしセンセイへ お礼を言うと、彼女は依然として心配そうに私の頭を撫でて言ってきたので、少々無理矢理 流れを断ち切る為に質問をすると

 

 

「何と説明すれば良いでしょうか・・・そうですね、変に考えるよりは ありのままを言語化しますね? カヅキ、貴方は覚えていない様子ですが 今朝 城で起床した際に初潮の痕跡に驚いて発作を起こし、ナズナ殿下による投薬で眠った貴女を(わたくし)達 テスタロッサ使用人で転移門を使いテスタロッサへ搬送して、今に至るのです」

 

「・・・はい」

 

 

センセイは少し考えてから、私からの質問の答えを話してくれる

 

少々長い説明だったので、少し曖昧な返事を返してしまったが 要は私に初潮が来て それをトリガーに発作を起こしてナズナやセンセイ達に迷惑を掛けてしまった と言う事だ、うん 本当 申し訳ない

 

 

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません センセイ」

 

「良いのですよカヅキ、貴女のせいでは無いですから」

 

「ありがとうございます」

 

「ふふ、もっと甘えて欲しいぐらいなのですがね?」

 

 

センセイへ向き謝罪すると 私の頭を撫でて言い、お礼を言うとセンセイは私を抱き締めてくれる、その姿に確かな愛情を感じ 絶対にセンセイを裏切らない事を深く誓う

 

 

「そういえばナズナ殿下は?」

 

「城に残り、執務をこなしている筈です。貴女を収容する際の表情から自身も付き添いたかった様ですが、狼狽えて邪魔になりそうだったので部屋から追い出しました」

 

「センセイの王族嫌いは理解していますが、ナズナには少々手心を加えて欲しいです」

 

「カヅキ、貴女・・・」

 

 

センセイの抱擁から解放されてからナズナの事を尋ねると、何ともセンセイらしいトゲの生えた物言いに、少しムッとしてしまいセンセイへナズナには手心を加える様に言うと、センセイが珍しく目を見開いて驚いた表情をしている、何でだ?

 

 

「そう、そうですか。貴女が私に意見するなんて・・・これほど成長を、私は嬉しいですよカヅキ」

 

「センセイ、大袈裟です」

 

「いいえ、いいえ! 全く大袈裟ではありません! 恋とは、愛とは! これ程に人を変え、成長させるのですね」

 

「・・・えぇぇ、何故バレたぁ?」

 

 

何でかは知らないが、私に意見された事を喜び なんか色々と言いながら私をライオンキングよろしく抱き上げて たかいたかい の体勢で嬉しそうにセンセイにしては珍しく大きめの感情が乗った声色で言い、私は困惑してしまう

 

そう、私はナズナへ恋心を抱いている。自覚したのは今年に入ってからだが、おそらく自覚する ずっと ずっと前から私はナズナへ恋心を抱き愛していた

 

その事を誰にも話す つもりは無かった、それこそナズナにも伝えるつもりもなかったのだが、何故だかセンセイにバレてしまった

 

もしかしてセンセイは超能力者か?

 

 

「あのセンセイ、ライオンキングするのは良いんですけど、天井に狐耳が接触して、だいぶ不快なので少し高度を下げてもらえません?」

 

「おっと 私とした事が あまりに嬉しくて自制が出来ていませんでした、ごめんなさいカヅキ」

 

「いえ、大丈夫です。センセイには普段から お世話になりっぱなしですから」

 

「ふふ、ありがとうございますカヅキ」

 

 

話を逸らす為に、天井に擦り付けられている自前の狐耳をネタにセンセイへ言うと、彼女は謝罪し私をおろしてくれた後に 微笑みながらハンカチで私の狐耳を拭いてくれる、よし どうにか誤魔化せたか?

 

 

「貴女のナズナ殿下への想いは、私の胸に留め置き他言しませんから、安心なさい?」

 

「はい、よろしくお願いしますセンセイ。特にナズナには絶対に」

 

「分かっています、約束しますよカヅキ」

 

 

全く 誤魔化せておらず、私の狐耳の根元を両手で撫でながらセンセイは言い、私を抱き締め その母性に埋める

 

その内、センセイ程ではないが 私も母性が成長してきたりするだろうか? やはりナズナも胸が大きい方が好みだったりするのかな? 分からない、分からないが・・・何故かモヤモヤする、何故だろう?

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。