アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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116話 むーんふぉーる

 

 

特にトラブルも起こらずに王族別荘へと到着し、馬車を降りるとユキヤとオリヴィエが出迎えてくれ、軽く挨拶を交わし 早々に解散しナズナの私室へと引き上げる

 

因みにアキカが居ないのは、昼寝?をしているかららしい、沢山育てよアキカ

 

そんな訳で、インベントリに収納していたナズナの荷物を荷解きしていると

 

 

「カヅキ、少し散歩に行かないか? 暫くデスクワークやらで身体が鈍ってしまっているからな」

 

「かしこまりました」

 

 

ナズナに言われ1尾メイドを生成し荷解きを引き継いで、ナズナへよると ローテーブルの上に有った麦わら帽子を私へ被らせ

 

 

「よし、ピッタリだな」

 

「殿下? これは・・・」

 

「用意させて有ったものだ、お前は髪もそうだが 全体的に黒いし熱を吸収しやすいだろう?」

 

「ありがとうございます」

 

 

私の狐耳に合わせて穴が開けられていてジャストフィットする麦わら帽子に驚いてナズナに尋ねると、彼は微笑み言い私は幸せな気持ちになる

 

実際の所、気温一定化の術式を使用している私には不要ではあるが、気持ちが嬉しいので、享受する事にする

 

それからナズナの私室へ1尾メイドを放置して別荘下の砂浜へと降り、ゆっくり と波打ち際の近くを歩く

 

 

「穏やかですね」

 

「あぁ、これぞ平穏って感じだな? 素晴らしい」

 

 

別荘から少し離れた場所まで歩きナズナは立ち止まって、くたびれたサラリーマンみたいな事を言い出す、おかしいな まだ10代のはずなんだけどな? なんか貫禄? 哀愁? を感じるな、うん

 

なんなら私より歳下であるナズナに、少し働き過ぎだな とか思ったりする

 

 

「カヅキ、実は話したい事が有ってな?」

 

「話したい事ですか?」

 

「あぁ、簡単に言うと 卒業後の事だ」

 

「・・・はい」

 

 

地平線の先をナズナは見ながら私へ そんな事を言ってくる、卒業後の話を今するのは 私がテスタロッサ家の養女となったからだろう

 

使用人を出向させる契約と養子とはいえ貴族令嬢を雇う契約では、少々内容?が変わるからだろう

 

それにテスタロッサには、今の所 私しか後継が居ない訳だしね?

 

そんな色々な手続きやらが有るから、残り学生 生活約1年半の今 話をするんだろう

 

 

「カヅキ、俺は お前に・・・」

 

【warning warning warning warning】

 

「ナズナ殿下!!」

 

「ぶべぇぇぇっ」

 

 

ナズナが話を切り出そうとした瞬間、ナコトが緊急警報を発し ナズナを庇う様に押し倒し覆い被さると、その上ギリギリをナニカが通過し 風圧で麦わら帽子が飛んで行き ナニカは変な悲鳴?を上げて着地して砂浜に めり込み、海上にも着水して水柱が上がり、そちらを見て私の中の何かが囁き

 

 

「ナツキ!!」

 

「カヅキ? おい、どうした」

 

「ごめん ナズナ、私 行かなきゃ!!」

 

 

1尾分身を生成して、ナズナの元へ置き 私は海へ駆け出す、足の裏の時を止めて海上を疾走し、波に揺られている私と同じ黒髪の少女を抱き上げる

 

気を失っている様で、ナツキは脱力していて すぐに呼吸と心音を確認して、気を失っているだけと判断でき安堵の息を吐く

 

 

「良かった、本当に良かった。ナツキ、今度は手が届いた、間に合った」

 

 

相変わらず小さいナツキ・・・いや、そんなに私と変わらない体躯を抱きしめて安堵の涙を流して、神に感謝する

 

ナツキを助ける事が出来た、そのチカラを授けてくれた事に、感謝する

 

 

「このままじゃ風邪をひいちゃうな、陸へ運ぼう」

 

 

完全浸水してビジョビジョのナツキを横抱きにして砂浜へ戻ると、犬神家で刺さっている足と、コチラを心配そうに見ているナズナがいた まぁ当たり前か

 

 

「その少女が あの水柱の原因か?」

 

「はい、詳細は分かりませんが この子が原因です。ナズナ殿下、この子を休ませてあげたいのですが、構いませんか?」

 

「あぁ、俺の婚約者用の部屋が有る、そこならば すぐに使える筈だ」

 

「ありがとうございます、確か去年 ()嬢様が使用していた あの部屋ですね?」

 

「そうだ」

 

 

犬神家をしている足(笑)と麦わら帽子の回収を1尾分身に任せ、私はナズナと共にナツキを抱えて別荘まで戻り

 

 

「あぁテリー、すまないが ヴィオレッタが使っていた部屋を使うぞ? 急病?だ」

 

「かしこまりました、おや お召し物が濡れていますね? メイドに着替えや身体を清める事の出来る物を持っていかせます、殿下方は お部屋へ」

 

「感謝する、こっちだカヅキ」

 

「ありがとうございます」

 

 

別荘に戻ると 丁度良いタイミングでテリーがいたので、ナズナが事情説明をすると意図を汲んで色々としてくれる、非常に優秀だ

 

そんな訳で元汚嬢様の部屋だった部屋のベッドにナツキを寝かせると、テリーが手配したメイドが寝間着?を持って現れ

 

 

「殿下、申し訳ありませんが ご退室を」

 

「あぁ、俺は部屋へ戻っておく」

 

「はい」

 

メイドがナズナへ言い、彼は素直に聞いて退室して行ったので、私はメイドと協力してナツキの服を脱がして お湯で湿らせたタオルで身体を拭いて綺麗にしてから服を着せる

 

すまないナツキ、お前の肌を見てしまったが 緊急事態だから許してくれ、ダメだったら 後で好きなだけ殴ってくれて構わないからな?

 

そんな事を考えつつ、濡れたシーツまで交換し万全になったベッドに寝るナツキの脇に座り手を握る

 

生きている、本当に良かった

 

 

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