アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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129話 サイドB 真夏の散策 7

 

 

 

私が口角を吊り上げていると、少年は私を引いた表情で見ている いけないいけない 彼から信用を得る事が最優先事項だと言うのに、悪人面をしてしまった

 

 

「少年、君の立場や 置かれた状況は一旦 脇に置いて 改めて問います、君は どうしたい ですか? どうなりたい ですか?」

 

「ニヤついたと思ったら真面目な表情をしたり、アンタは本当に何なんだよ・・・」

 

 

私は彼の前に立ち改めて見据えて問うと、彼は困惑した表情をして言い淀む

 

まぁ普通 急に将来設計を聞かれてもスッと口に出来るモノではないが、漠然としたモノでも私は構わないと思っているので

 

 

「まぁまぁ、私の事は どうでも良いではありませんか。 そんな些事より問いに答えてくれると嬉しいです」

 

「・・・大した事じゃねーかも知れねぇけど、俺は コイツ等 含めて人並みの生活を送りたいって思ってる、アンタが さっき言っていたのも分かるからな」

 

「なるほど、良い目をしていますね。自分だけではなく仲間も含める辺り好感度も高いです」

 

「アンタ、人相が悪いって言われないか? 」

 

「たまに言われますね」

 

 

少年の返答に微笑んで言うと、容赦の無いストレートをぶつけられてしまったが、まぁ慣れた物なので軽くスルーする

 

仕方ないよ、この人相は産まれた時からだしね、うん

 

 

「さて、君の意見を聞いて 私は相当 君を気に入ってしまいました、単刀直入に 君と取引をしたいと思います」

 

「取引? 俺と? アンタが?」

 

「えぇ、取引に応じてくれたら、私は対価に君の仲間の衣食住の保証と学びの場の提供をします」

 

「おいおい・・・アンタは俺に何をさせたいんだ?」

 

 

少年は私の言葉を訝しみながら聞いてくる、当然だ この少年は賢い 目先の利益より長い目で見て得られる利益を選べるタイプの賢さだ

 

私の半分程度の年齢で未来予測を出来るのは、得難い才能と思うし 此処でみすみす取りこぼすのは惜しい、と言う建前の元 子供には子供らしく純粋に未来へ希望を持っていてほしいと思っている

 

だから、私の手で掬える子供を救う それだけの話だ

 

 

「君にして欲しいのは情報収集です、此処はリューネでも5本の指に入る程の交易・貿易の街ですからね、中央(おうと)では得難い情報が手に入る筈ですからね」

 

「なるほど・・・」

 

 

私が彼を見て言うと彼は頷き、後ろに控える仲間の方を見て一瞥する

 

彼の後ろに控える仲間達は不安そうな表情をしている、当たり前だ 自分達を駒扱いしていたが ご飯を提供してきてくれた大人は浄火の焔で焼かれてしまったのだから

 

そして燃やした張本人がリーダーに取引を持ち掛けている、不安にならないなんて あり得ない

 

 

「良いぜ? やってやろうじゃねーか、コイツ等の為なら何だってやってやる!」

 

「素晴らしい、君は やはり素晴らしいです。断られたら 少し記憶を弄らないといけなかったので、良かったです」

 

「アンタ、怖い事を言うな!」

 

「冗談、冗談ですよ。さて・・・まずは下準備からですね?」

 

「下準備?」

 

 

覚悟を決めた強い眼をした少年に、私は満足し軽い冗談を言いテスタロッサ家にいる本体へとリンクを繋ぎ情報共有し、受け入れの算段を整えて貰う

 

あとは転移門を繋いで少年達をテスタロッサ家へ移送するだけで、目的の第1工程は終わる

 

 

「それでは少年、君達には 此処から移動して貰います。衣食住の保証をしますし、君には私の為に働いて貰う為に必要最低限の教養も得て貰わないと駄目ですからね」

 

「あ、あぁ・・・分かった」

 

「ふふ、この転移門の向こうにも私が居ますから、安心してくださいね?」

 

 

少年少女を転移門でテスタロッサ家の庭へ送り、文句が飛んでくる前に転移門を閉じる

 

どうせ、テスタロッサ家側に本体がいるし 戻って来られても面倒だからね、仕方ない仕方ない

 

 

「お? 少し曇ってきたな・・・そういや天気予言が そんなんだったな」

 

 

猫被りを辞めて軽く伸びをしてから、待ち合わせのカフェ へと向かう やはり慣れない事をすると少々疲れてしまうな とか思いつつクズ共の遺骸をアイデースに取り込み、証拠隠滅をする

 

このクズ共が、ヤクザの構成員とか下っ端の小間使いとかだと面倒だからね

 

まぁ最悪、エンコ詰めて謝罪すれば手打ちしてくれるだろうし 良いか

 

 

「さてと・・・そろそろ麻人(あさと)がナツキを抑えるのもキツくなってるだろうし、少し急いで合流するか」

 

 

本当ならスカート というかワンピースですべきでないけど、往来する人が多すぎるから少し建物の上を進む為に跳躍して屋根に着地する

 

 

「ふぅ・・・曇ってなかったら更に熱されて、今度こそ耳とか尻尾が焦げる所だったな」

 

 

そこそこ景色が良いのを感じつつ、着地しても大丈夫そうな場所へ跳躍を繰り返して行く

 

当たり前だが、私みたいな変わり者は居らず 順調に目的地であるカフェの近くまで到達出来た

 

 

「よしよし、ナツキの制御を麻人は まだ出来てるな」

 

 

流石にカフェの真ん前に飛び降りて着地する訳にはいかないので、人目の少ない路地に降りてからカフェへと移動するのだが、運悪く馬車の往来が多くて、なかなか道を渡れなかった

 

ま、良いか これも人生って奴だ

 

 

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