アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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130話 別れと出会い

 

 

 

ナツキと麻人(あさと)をアルタミラ観光へ連れて行ったり、テスタロッサ家へ連れて行ってベルファさん やセンセイに会わせたりして約2週間が経った頃、『そろそろ戻らないと』と麻人がナツキへ言い ナツキは名残惜しそうにしていたが、全てを捨ててコチラへ残る選択は出来ない と私と再会を約束して、大規模転移術式を使って 彼女達の世界へと帰って行った

 

 

「賑やかな奴等だったな」

 

「良い気晴らしにはなったでしょう?」

 

「あぁ確かにな?」

 

 

別荘下にあるプライベートビーチでナツキと麻人を見送った後、ナズナがポツリと呟いたので返答すると、彼は笑って同意する

 

私も幼馴染と別れるのは少々寂しいが、ナズナ(かれ)が居れば その寂しさも紛れてゆく、そう感じる

 

そんな訳で、約2週間と言う短期間ではあるが名一杯 羽を伸ばす事が出来た私は、正式にナズナの婚約者として書類へ署名がされるまでの間、専属護衛としての任を全うする事になる訳だが、最後の重要な仕事が残されている

 

それは私の後任の選出で、ナズナの専属護衛となれば誰でも良いとはならないし、面倒臭くて仕方ない

 

面倒臭すぎて、分身を変装させて私が専属護衛を継続しようかと思うぐらいだが、ナズナに説得されてしまったので思い止まった

 

そんな訳で軽く禿げそうになりつつ、ナズナの親父(ライラント)とベアトリーチェに随行していた親衛隊隊長であるニーナ隊長からの勧誘を断った後に、相談をするとナズナの護衛にルル 私の護衛にブリジットと言う隊員を推薦してくれたので、ナズナと相談した後 ニーナ隊長を信用して2人を任命する事に決まった、これで少しはストレスが減りそうだ

 

それからバタバタ?と引き継ぎをしたり、私が宿泊する部屋が専属護衛用の部屋から婚約者用へ移ったりして8月を騒がしく使い、ギリギリまで別荘へ滞在してから 私の転移門で王都近郊へショートカットした後 別れを惜しむユキヤとオリヴィエを放置し、えらく懐かれてしまったハルトに抜け毛をリサイクルして作ったクッションをプレゼントして ご機嫌を取って、ナズナ専用の馬車に乗りダールベルグ王立学園へと向かう

 

なんだかんだ忙しかったなぁ とか思いつつ、学生寮へと到着したらしたで ルルとブリジットの引越し作業があって、残念な事に私はナズナと部屋が分かれてしまった、まぁ隣に移っただけだけど

 

とりあえずナズナが文句を言っていたが正論で正面から論破して黙らせておいた、とはいえ朝・晩の食事は これまで通り私が作成する事になっているし、彼の身の回りの一切を私は誰にも譲るつもりはない

 

一応、表向きはルルとブリジットがしてるって事になっているしバレても大して問題にもならないだろう、多分

 

 

「全く、イフリート3の月(9月)になったと言うのに日差しが弱まる気配を感じないな?」

 

「そうですね? まぁ雨でジメジメすると尻尾がゴワつくので、まだマシ・・・そう思う事にしています」

 

「・・・お前も大変だな」

 

「えぇ・・・」

 

 

学生寮から私達の護衛であるルル&ブリジットを伴って 外へ出て弱まる気配の無い日差しにナズナが軽くボヤいたのだが、私の言葉に色々察してくれたのか 優しく私の頭を撫でてくる

 

夏休み突入前より突き刺さる視線が増えたのは、恐らく私がテスタロッサ家の養子になった証を身に付けている事と、見覚えの無い護衛騎士2名を伴っているから、だろう

 

そんな好奇の視線を受けつつ教室へと入り、自席へと座りチャールやリリウムを筆頭にクラスメイトと軽く雑談を交わしていると、始業の鐘が鳴り担任であるカーンが入ってきて

 

 

「えー、皆さんおはようございます。今日は新学期の初日なんですが、ホームルームが終わった後、皆さん お待ちかねのギルド登録があります。 ですが その前に、転入生がいますので紹介しますねー はい、入ってきて下さい」

 

 

相変わらず良く通る良い声でカーンに 声をかけられた人物は、ゆっくりと扉を開け彼の隣に並ぶ

 

「自己紹介どうぞ」

 

「あ・・・ローゼヴィッヒ・ロードナイト・ヴァリエール・・・です ロゼって呼んでもらえたら、嬉しいです。よろしくお願いします・・・」

 

なんと言うか おどおど と辺りを警戒するウサギの様な様子に、少し気弱そうな印象を抱いた

 

そんな彼は、ローズピンク色の髪を三つ編みにし、横に流しているし ナズナと比べても華奢で線が細いし中性的な顔の造りをしているので、なんか女装が似合いそうだな と思うが、そんな私の妄想は どうでも良い

 

問題は、ヴァリエール家の籍に彼 ローゼヴィッヒという人間は存在していない事、だ

 

 

「・・・ナズナ殿下」

 

「あぁ、分かっている。俺の記憶に奴の名前も顔も無い」

 

「ですよね」

 

私達は魔王の遺物収容の旅の為に、21貴族の事を改めて調べ精査してから訪れている

 

もちろん家族構成も念入りに調べている訳で、約半年前までは彼は存在しない人物だった訳だ

 

とはいえ、彼が正体不明の存在なのが問題点ではあるが 彼自身には悪意や害意と言う物を微塵も感じないから、人畜無害なのは間違いない

 

 

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