アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

149 / 267
149話 体育館裏に来いってさ

 

 

 

あーだこーだ と報告と推理をアルテミシアへ披露したが、結果的に支配の魔導具の解析をしなければ 何も分からない となり、眠気も限界だったのでナズナに お姫様抱っこされたまま寝落ちして、気付いたら夕方で少し惜しい事をしてしまった

 

それから特にトラブルも無く2週間程 平和に過ごしていた11月の中旬、もうだいぶ冬の気配が見えるな〜 とか呑気な事を考えつつ登校すると、私の机に何者かからの手紙が置いてあり、珍しい事もあるな と思いつつ 手に取り検分しておく

 

 

「重量的にカミソリ入りの可能性はゼロ、呪いの類いの痕跡も無し、と・・・」

 

「お前に手紙か? 珍しいな」

 

「えぇ、アンが率いるファンクラブの方々からの お便り はアンが私に届けてくれますから、本当に珍しいです」

 

 

自席に座ってからグルグル回転させて満遍なく観察していると、ナズナが手紙の存在に気付いて率直な感想を述べたので、私も同調しておく

 

実際、物凄く珍しい事なので どうしたものかと思ったりするが、中身を見てから出ないと判断出来ないな、と思う

 

貴族子息子女が大半を占めるダールベルグ学園では珍しい封蝋に印が無い手紙で少し違和感を感じて、中身が碌でも無さそうな予感がするが見てみないと確定では無いので、魔法を使いペーパーカッターを錬成して手早く開封して中身を目視で確認する

 

 

「おや? 呼び出しの様ですね? 時間の指定までしっかりとされていますね」

 

「呼び出しだと? 誰だ、そんな事をする命知らずは」

 

「誰でしょう? 差出人の名前も何も無いので何とも・・・」

 

 

手紙には簡潔に場所・日時と呼び出しの内容のみが記載されているだけで、何故呼び出すのか? や 差出人の名前も一切書かれていない

 

文字の手癖から手紙の執筆者は女性なのだろう、とだけは分かるが やはりそれ以上は分からないのだが、ひとまずは半ギレのナズナを宥める事を優先しよう

 

差出人の目的がなんであれ、放課後の指定された場所・時間までは何も分からないのだから

 

それから全力でナズナの機嫌を治す事に注力した後、クラスメイトに そこはかとなく手紙について聞き込むと、どうも 何処ぞの生徒に仕えるメイドが置いていったらしい事が分かった

 

うん まぁ、そのぐらいしか分からなかったから、結局 現地に行って本人に会うしか無い事が確定したので、出向く事に決め 私だけ行こうと思ったら、全力で駄々をこねられたのでナズナも同行する事になった

 

呼び出しておいて遅刻する非常識な人では無いだろ、と判断し さっさと用件を済ませて、鍋でも作る事にしようと決める

 

そんなこんなで放課後になったので、呼び出し場所である旧校舎裏にナズナ 及び ルル&ブリジット同伴で待機する、時間ギリギリでも良かったが礼儀として10分前行動をしてナズナと他愛ない話をしながら待つ

 

それから10分しても来なかったので、これは嫌がらせの方だったな と判断し、キャンプチェアとローテーブルを取り出し ナズナとチェスを興じる事にする

 

 

「いつ呼び出した方が現れるか分かりませんし、早指しで」

 

「良いだろう、今日は負けんぞ? カヅキ」

 

「いいえ、今日は私が勝ちます」

 

 

薄々ナズナも察していた様で 私からの誘いに乗り、私とナズナは軽口の応酬をしてからチェスを興じる

 

現在の戦績は私が負け越しているので、今日勝てば五分五分に戻す事ができる、これはヤル気しかない

 

それから130分の激闘を繰り広げていると

 

 

「あら、待ちましたかし・・・何をしているの? 」

 

「チェックメイト、私の勝ちです貴方様」

 

「くっ・・・詰めを誤ったか」

 

「本当に何をしているのかしら?」

 

 

数人の取り巻きを連れた女子生徒が声を掛けてきたが、私とナズナの激戦を目の当たりにして困惑しているらしい、随分と面白い間抜け面をしている

 

気持ち良くチェスに勝利出来たので、キャンプチェアから立ち上がりアイデースを使い諸々の片付けをして女子生徒の方を向くと、彼女達のリボンの色が上級生の色をしていたが、私には関係ない事なので

 

 

「呼び出して遅刻とは何ともマナーもなっていない脳足りんの様子」

 

「なんですって? 元平民の分際で!!」

 

 

おいおい、開幕の軽口でマジギレするなよ やり難いな コイツ、と言うか 私が誰と居て誰の婚約者で、誰の養子になったか理解してないのか?このお嬢様は とか思いつつ、グーパンで物理的に黙らせる事は可能だが レスバで済ませたいとは思うし、ナズナとルルとブリジットが結構強火勢だから私が冷静で居ないとね?

 

 

「呆れて物も言えんぞ ガルシア、遅刻をした事を詫びる所か 俺の婚約者を愚弄するとはな? 普段からの見下げた性根が透けて見える様だぞ? 」

 

「ナズナ殿下、この者は次期国王になられるナズナ王太子殿下の婚約者であるカヅキ様を愚弄致しました、ひいてはナズナ殿下との ご婚約を了承致しましたライラント陛下 並びに ベアトリーチェ王妃殿下を侮辱したに等しいと判断いたします」

 

「ナズナ殿下、私共に この愚か者の捕縛を お命じ下さい。数秒で終わらせます」

 

「ひっっ」

 

いや、これは無理っぽいわ、ガルシアって先輩に殺気を放って威嚇してる

 

 

そう、この国は王政国家で ナズナはリューネの次期国王の王太子

 

私は その王太子の婚約者、これが単なる悪口や陰口で済ませられる場なら問題もなかったが、明らかに悪意を持って嫌がらせをした現場での事だから、ガルシアは一族郎党 罰せられても文句が言えない

 

何故なら、リューネでの法は国王であり、この場の法は王太子であるナズナ、ナズナが有罪と言えば有罪であり 仮に濡れ衣であろうと 有罪確定なのだ、それが王政国家だ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。