ロドリゲスと舞台に風穴を空けて勝利した私は、例に漏れずブリジットを伴って控え室へと戻った訳だが、一つ誤算が発生していた
「斬られた髪が戻りませんね」
「どうやら結界の対象からは外れているみたいですね? せっかく綺麗な髪だったのに、勿体ないです」
「放っておけば、また伸びますよ髪は、それよりブリジットさん? 髪の毛を整えて貰えますか? 斧で斬られた為、少しバランスが悪いので」
「わ、分かりました」
そう、どうやら復活の対象になる内容に頭髪は含まれていなかった様で、私の髪は肩口ぐらいのままだったので、インベントリから自分で前髪を整える為に使っているハサミをブリジットへ渡し、絶妙にバランスの悪い後ろ髪を整えて貰う
分身して自分でしても良いが、こう言う美的センスを要する事はブリジットの方が長けているので、彼女に任せる事にする
私がすると、バッサリして姫カットみたいになるしね? うん
そんなこんなブリジットに散髪してもらい、3回戦に挑みファンクラブ会員に勝利し、その後 準決勝でもファンクラブ会員と当たったが勝利した
どれだけファンクラブ会員が多いのか気になったが、それよりも2人共『あぁお姉様の美しいお
私自身が何も思っていないのに、嘆かれても ねぇ?
準決勝後に、休息を取りコンディションを整える時間が設けられたので、ブリジットへナズナに食べさせたら甘過ぎて不評だったヴェロニカ産クッキーを振る舞うと、彼女も眉間に皺を寄せる
そんなこんなで糖分摂取してエネルギーを蓄え、いよいよ 私達は決勝戦へと挑む
ブリジットを伴って控え室を後にし、舞台下に彼女を控えさせて私は舞台へと上がると、ナズナも舞台下にルルを控えさせて舞台に上がってきて こちらへ歩み寄ってきて、私との距離が3mぐらいになった所で 前のめりに崩れ落ち、膝を着いて俯き
「カヅキ・・・カヅキの美しい髪が・・・髪が・・・」
「貴方もですか? 本当 なんなん?」
と嘆き始め、流石に呆れてしまう 揃いも揃って、なんなん?
「貴方様、決勝戦の場です。私の髪なんて放っておけば、その内 伸びてきますから、そんなに嘆かないでください。そんなに嘆かれては今後 私が散髪を気軽に出来なくなるではありませんか」
「しかし、しかしだなカヅキ! お前の髪は純粋なる黒、リューネに居ないのは当たり前だが、
「そんなに興奮しながら力説されても困ります、落ち着いてください。褒められて悪い気はしませんが、TPOは守って欲しいです」
四つん這いで俯いていたナズナが急に立ち上がり力説してきたので、軽くたしなめつつVIP席をチラ見してみると、やれやれ顔のユキヤと苦笑しているオリヴィエ、そして面白い物を見て御満悦なベアトリーチェが見える
この正妃め、見せ物じゃないんだぞ? 全く
「ナズナ殿下、そろそろ よろしいでしょうか? 決勝戦なので」
「あぁすまない、思わず愛しい婚約者への想いが溢れてしまった」
「貴方様、お願いしますからTPOを弁えてください」
「ん? 何故だ? 愛する婚約者へ愛を囁いて何が悪い?」
「ダメだコイツ早く何とかしないと」
私とナズナの やり取りを見守っていた審判員がナズナに言うと、ナズナは民衆環視の場で恥ずかしげもなく言い出したので、軽く注意したが全く効果が見られない、コイツ 本気で何故 悪いのかが分かってない
「両者、構え!」
「カヅキ、本気でこい」
「ご冗談を、本気を出したら数秒と持ちませんよ?」
ナズナは帯刀していた刀を抜刀し 正眼の構えで、私に言ってきたのでハチリョウ4つと
「決勝戦、始め!!」
審判員の合図と共にナズナが打ち込んで来たのを、打ち下ろしで弾き そのままドロップキックを喰らわせると、ナズナは軽く後ろへ飛ぶが
「やはり軽いな、カヅキ? まるで羽根の様だ」
「そんな訳ないのですがね? どんな腹筋しているのです? 貴方様」
「なに、大した事ではない。愛する女の為に鍛えるのは当たり前の事だ」
「また、その様な事を はずかしげもなく! 行きなさい 我が眷属!! 」
特にダメージも無い様子で、私に蹴られた場所を手で払いながら真顔で言うナズナへ、私は
「カヅキ、俺は誰よりも お前の事を隣で見て来た、それ故に そのオールレンジ攻撃の対処法を編み出した!」
「よろしい、ならば 試して差し上げましょう!」
「攻勢防御 ライトニングイージス!!」
私のファンネルによるオールレンジ攻撃へ対策をしたとナズナは言い、利き手で有る左手を上空へ掲げると、雷が集まり球状になり数を増やして行き、4つになった所でナズナの死角から光子ビームを撃つが迸る稲妻により光子ビームが曲げられて、ナズナへ当たらず 防護壁へと着弾し光が散る
なるほど 私の事を誰よりも見て来た と断言するだけある