アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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16話 心優しい少年

 

 

赤毛の領兵見習い(仮)と会話をしている間もライラックに狐耳をハムハムされて少しくすぐったいが、多分真面目にしないといけない場面なので我慢しつつ

 

「とりあえず自己紹介を・・・私はカヅキといいます、昨日の褒賞でターニャ メイド長直下のメイドとして雇って貰ったので、また会う機会があるかも知れませんので」

 

 

「おー、そうなのか? 俺はルーク、テスタロッサ家に仕えて3年だ。歳は15」

 

 

俺の自己紹介に領兵見習い 改めルークはニカっと笑みを浮かべて自己紹介を返してくる

 

 

同世代ぐらいと思っていたら、1つ歳下か・・・と思いつつ何気なしにルークへ近寄ってみると、結構な身長差があり 少し悔しくなる

 

俺ってマジで身長縮み過ぎじゃね? ルーク自体も長身の部類では無さそうなのに、身長差が大分あるってな? 悔しい

 

 

何だよ身長150㎝ +αって、小6女子の平均身長+狐耳って事だろう?

 

 

「な、なぁ? どうした? 急に近寄って期待と思ったら、悲しそうに耳下げ出して」

 

「いえ・・・私事です、すみません」

 

「構わねーけど、流石に歳下の女の子が泣きそうになってるのを慰めるスキルを俺は持ってねーからさ?」

 

 

このルークと言う少年は、かなかな優しい漢の様で俺を気遣って言葉を掛けてくれる人格者だ

 

ただ・・・勘違いをしているんだよなぁ

 

 

「・・・私は16歳ですよ、ルーク君」

 

「はぁ?! いや、アンタどうみても12・・いや、10か そこらにみえるぞ? 」

 

「そんなに?」

 

ルークへ年齢を伝えると、オーバーなリアクションで彼には俺が何歳に見えるかを叫ぶ様に言ってくる

 

 

いや、確かに大分若返ってる様な気はしていたけど、そんなに幼く見えるかね?

 

あーでも、日本人って海外基準だと結構な童顔に見えるらしい、みたいな事を何処かで見かけた事がある気がするから、それか?

 

 

うん、仮にそうだとしても、度がすぎると思う

 

 

「ま、まぁ私の年齢はどうでも良くて、実は魔法の練習が出来る場所が無いか探していたら馬房(ここ)の前を通り掛かって中に入ってライラックに耳を甘噛みされていたのです」

 

「魔法の練習? それなら領兵の訓練場が隊舎の方にあるから、そこでしたらいいんじゃないか? 」

 

「訓練場が有るのですね? ありがとうございます」

 

「ちょいちょい、場所分からねーだろ? それに新顔が・・・いや、アンタの場合は大丈夫だろうけど、俺が案内してやるよ」

 

「そうですか?」

 

「おう、だから少し待っててくれ、コイツ等の飲み水を替えてやらねーと」

 

 

心優しい少年ルークに、俺が馬房にいた理由を話すとルークが訓練場がある事を教えてくれたので、ライラックへ挨拶してから向かおうとすると、彼に呼び止められ、何か重要な事を言われそうになったが途中で止めてしまい、よく分からないが案内してくれるらしく、少し待機を命じられるが、見ているだけはルークに悪い気がしたので

 

 

「手伝いますよ、ルーク君」

 

「そうか? 助かる、そこを出ると井戸が有って蛇口を捻ると水が出るから、そこの桶に汲んで馬達の水用桶に入れてくれるか?」

 

「なるほど、分かりました」

 

 

ルークへ手伝いを申し出ると、彼は俺に説明してくれたので桶を持ち指示された出入り口から出て、すぐに見つかる位置にあった井戸へ進み、どう言う理屈かは分からないが、井戸に直結している蛇口を捻り桶へ水を入れ持つ

 

 

「・・・思ったより軽いな」

 

明らかに強化されている筋力を実感して少し感動しつつ馬房に戻って馬の飲み水用の桶に水を入れると、俺の存在に気づいた馬が顔を出したので、軽く撫でると、ライラックと同様に狐耳をハムハムされる

 

どうやら俺は動物に好かれやすくなったみたいだ

 

 

なんだか、ルークが少し羨ましそうに俺を見てきている気がするが、気付かないフリをして、名残惜しそうな馬を宥めつつ作業を繰り返して馬の飲み水の分配を終わらせ

 

「ルーク君、少し耳を洗うので少し待って貰えますか?」

 

「あー、おう構わないぜ? めっちゃ甘噛みされてたもんな」

 

 

ルークへ そう言うと、彼は羨ましいのか気を遣っているねか何とも言い難い表情をして了承してくれたので、井戸へ移動して面倒だから狐耳を直で洗い、ビビビと動かして水を払い馬房へ戻る

 

あとはほっとけば乾くだろうし? うん

 

 

「お待たせしました」

 

「おー、こっちだ」

 

 

ルークへ声を掛けると彼は嫌な顔1つせずに案内を開始する、やはり心優しい少年だな、ルークは

 

 

「まぁ案内つっても、そんなに離れてる訳でもないから迷子にはならねーとは思うけど、アンタは新入りだし 念の為ってな」

 

「そうですか? ありがとうございます」

 

「ぶっちゃけ、迷子より不審者の方で捕まらない様にって方がメインなんだけどな?」

 

「あー・・・なるほど、私は まだメイド服も貰って無いですし、身分を証明出来る物も持って無いですしね」

 

「そそ、そう言う事。まぁ獣人・・・特にアンタみたいな希少な黒髪だと疑われないと思うけどなー」

 

 

そう言いルークはカラカラと笑う、彼の口ぶりから推測すると そもそもこの辺りでは獣人は珍しい上に、俺みたいな黒髪自体も珍しい存在らしい

 

つまり黒髪の獣人である俺は、かなり希少存在な訳か、うん

 

 

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