アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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168話 卒業式予告

 

 

 

なんやかんやと遭難者を救助した後、アルテミシアとクロエに彼等を任せて王城へ帰還すると、見るからに拗ねたナズナと遭遇して数日間 風呂・トイレ・就寝時以外の全てを彼の膝に乗せられると言う事態が発生したが、まぁ仕方ないので甘んじて受ける事にした

 

そんな愉快な冬休みも終わり、数週間ぶりの学園へ戻ってきた訳だけど 現在が冬季と言う事もあり、温もりを求めてクラスメイト 主に女子に尻尾を抱き締めにきて物理的に圧を感じる

 

仕方ないので数個分離してレンタルすると、少し解消されたが需要に対して供給が足りないので、順番になってしまうのは仕方ない事だ

 

因みに、真っ先に不満そうにしそうなナズナは、私を膝に乗せて暖を取っているからか、寛容な心を見せていた

 

 

「来月に卒業パーティーが有るのか」

 

「その様ですね? 出席されますか? 」

 

「本音で言うと 面倒だから出席したくはないが、俺は王太子だ 半分干物と化している親父の名代として、出席せねばならないだろうな? 義母(はは)上も親父が出席しないなら、学園には来ないだろうからな」

 

「それもそうですね」

 

 

例に漏れず机の上に置かれていた卒業パーティーの案内を手に取りナズナが呟いたので、相槌を打つと彼は そんな事を言う

 

ザッと案内に目を通した感じ、パーティー自体は自由参加の様だが 貴族子息子女ばかりのダールベルグでは不参加と言う選択肢は無いかも知れない、こういうのはコネとかパイプを作る場でもある訳だし

 

まぁそれを抜きにしても、王太子(ナズナ)の婚約者である私は当然参加しか有り得ないのだけども

 

 

「立食式ですね? 」

 

「こう言う時は基本的に立食だな、つまりダンスも入る」

 

「ダンス、ですか?」

 

「あぁ・・・ん? ダンス?」

 

 

内容を見て呟くとナズナは相槌を打ち、私の方を見て私が危惧した事に気付いた様だ

 

 

「カヅキ、社交ダンスの経験は?」

 

「無いですね、元は平民ですし」

 

「そうだな、すまない」

 

「そんな事より、私は身長差の方が心配なのですが?」

 

「・・・それも有るか」

 

 

はい、予想外の問題が複数同時に発生しましたよっと、これは大草原不可避だ

 

元々日本人の私に社交ダンスの経験がある筈もなく 急いで習う必要があるし、私とナズナには身長差があるので 少し慣れが必要な感じだろう

 

なにせリューネ女性の平均は160㎝後半だしね?

 

 

「あ、あのナズナ殿下? カヅキさんのパーティードレスは、どうされるので?」

 

「・・・しまった、失念していたな」

 

「別にパーティードレスはテスタロッサに有ると思うのですが?」

 

 

おずおず と今日も空気と同化して控えていたルルがナズナへ進言すると、ナズナが渋い表情をしたので、フォローのつもりで言うと

 

 

「何を言うカヅキ、婚約者同伴でパーティーへ赴くのだから、それは俺からドレスを贈らねば面目が立たない、仮に贈らなかったら 俺は甲斐性無し か 婚約者にドレスも贈れない貧乏野郎と言う事になってしまうんだ、俺が貶されるだけなら我慢出来るが、お前の名誉まで傷付けてしまう事になるんだ」

 

「うわ、凄い早口」

 

 

ナズナがモノ凄い熱量かつ早口で説明をしてくれる、この辺は貴族的慣習って奴なんだろう

 

これはテスタロッサ家令嬢として参加するなら、テスタロッサ家で用意したパーティードレスで良いのだろうが、今回はナズナの婚約者として参加するから、ナズナが用意した物じゃないとダメって感じなんだろうな、多分

 

とはいえ、約1月(ひとつき)でドレスを仕立てるのは大分無理が有ると思うのだけど、気のせいかな?

 

 

「あと1月か・・・ギリギリか?」

 

「ナズナ殿下、アウトだと思います、はい」

 

「くっ・・・何か、何か方法はないのか・・・」

 

「貴方様、ユキヤ殿下に相談してみるのは如何でしょう?」

 

「それも有りだな! 行くぞ、お前達」

 

「え?今からですか? 貴方様? 軽々と持ち上げて運ばないでください、おーい」

 

 

ルルとナズナの会話を聞いて 何気なくユキヤへ相談してみたら? と言うとナズナは即行動に移し、私を軽々と持ち上げて自席から立ち上がり そのまま抱き上げたまま教室を後にする

 

最近 ナズナの奇行にも慣れたらしいクラスメイトの誰も引き留める様子もなく、私は成す術もなく輸送(笑)されてしまう

 

そんなこんなで広い学園内を移動し、ユキヤが居る1年の教室へと到達し私を片腕で保持しながら扉を開け

 

 

「ユキヤ、すまんが緊急で相談がある、出てきてくれ」

 

と、よく通る声でユキヤを呼び出すと ユキヤは兄の奇行に 軽く嫌そうな表情をして教室から出てくる

 

ついでに学園内でユキヤの護衛を担当しているカナリアも出てきて、私の様子を見て ニヤっとしていたので、恐らく相談の内容が (いささ)か下らない部類で有る事を察している様子だった

 

 

「此処では落ち着いて話が出来ない、着いてきてくれ」

 

「はぁ、分かりました」

 

 

なんとも深い溜息をついたユキヤが、ナズナの言葉に従い移動を開始して、私に 何事だ? とアイコンタクトしてくるが、私は肩を竦める事しか出来ないので許して欲しい

 

この流れだと、私だけ制服で参加 とか出来ない雰囲気だしね? うん

 

 

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