ナズナとユキヤの話が決着してからは、それはそれは怒涛のスケジュールだった 私以外の人が
まず ユキヤとの話が終わった直後に王城へ転移門を使い戻りナズナとユキヤの実母で有るリンの遺品を管理・保管しているベアトリーチェの元へ赴き、ユキヤとの会話や諸々の説明をし遺品の着物を幾つか仕立て直したい事を伝えると、両手を上げサムズアップしニッコニコで了承してくれ、協力を惜しまないと約束も取り付けた
その後、流石に着付けまでは出来ないと言うベアトリーチェの言葉に 急遽テスタロッサへ帰郷し、センセイへ事情を話して着物の着付けが出来るか尋ねると、2つ返事で可能と言われ 私の大量の抜け毛を要求されたので、センセイへと提供しておいた これで手間賃となるなら安い物だしね? うん
そんなこんなで、私の実働自体は1週間足らずで済み 私以外の人が忙しく動いてくれたので、今度 お礼に何かお菓子でも焼いて配る事にしよう、焼き菓子なら日持ちするし 多分
そんな訳で卒業パーティー当日、私は寮の部屋で着物の着付けをセンセイにして貰っている、私には良く分からないが『この短期間で良くぞ、これほどの仕事を』とかセンセイが言っていたから、針子が 良い仕事をしてくれたのだろう
「出来ましたよカヅキ」
「ありがとうございます、お
「ふふ、良いのですよ」
センセイの着付けが終了した事を告げる言葉に、お礼を言うと微笑み 私の頭を撫でる、しばらく彼女の好きにさせてから部屋に備え付けられている姿見で確認すると、クリーム色?に縁起の良い錦鯉の柄が織られている着物、足袋と草履 九尾の私を含めて全体的に縁起が良さそうに見える
本当に縁起が良いのかはサッパリ分からない、私は この辺り無知なのでね?
「さ、最後に お化粧を」
「お義母様? もう良いのでは?」
「すぐに済みますから、さぁ眼を閉じなさい」
「はい・・・」
センセイが着物が汚れない様にケープ?エプロン?を私に装着して、有無を言わずに私へ化粧を始め、ファンデーションやらアイライナー?やリップグロス?口紅?を使用していく、もはや私には未知の領域すぎる
そんな事を考えていると、コンコンと部屋の扉がノックされ
「おや、時間の様ですね? 遅くも早くも無い最適解、これは認めざるを得ないですね、さぁ終わりましたよカヅキ? 貴方の王子様が迎えに来ましたから、行ってきなさい」
「ありがとうございます お義母様、行ってまいります」
「あ、その前に旦那様に見せる用の写真を」
「あ、はい」
センセイが何か言っていたが、ナズナの評価が上がっている様子なので良しとしよう、そうしよう
センセイに数枚写真を撮られてから、扉前で待機していたブリジットにアイコンタクトして扉を開けてもらうと、王族専用だと言っていた黒地に金の刺繍入りの軍服に、片方の肩には赤く、しかし少し短いマントがかかっている姿のナズナがいた
「お待たせしました貴方様」
「あぁお前に会えるのを待ち望んでいた、綺麗だぞカヅキ」
「ふふ、ありがとうございます」
「では、行こうか。我が妻」
「ふふふ、気が早いですよ? 貴方様」
ナチュラルに褒めに来るナズナへ お礼を言って、式典やパーティー装備で有る親衛隊1種礼装を身につけてたルルとブリジットを伴ってパーティー会場へナズナにエスコートされて歩き出す
「いつもの お前も美しいが、やはり化粧をしていると普段より美しくなってしまうのは困った物だ、これでは お前にちょっかいをかける男が増えてしまう」
「そんなに褒めてもなにも出ませんよ? それに、私に そんな事をする者なんて居ませんよ」
「いいや、今日のお前は目尻に紅が入っているから、いつも以上に美しい、だから皆 お前に注目するに決まっている」
「そうですよカヅキさん、今日のカヅキさんは 当社比3倍は綺麗なんですから、気をつけてくださいね?」
「絶対に私達やナズナ殿下から逸れないで下さいね? 誘拐されちゃいますよ!」
「そんなバカな・・・」
寮から会場まで少しあるので、焦らず ゆっくりと向かう 王族であるナズナは最後に会場へ入場するのが習わしだからね、うん
あと慣れない着物で歩き辛いと言うのも有る、着崩れが起きたらリカバリー出来ないので、いつもよりかなり動きが制限されている訳だ
そんな道中、ナズナが突拍子も無い事を言い出したので否定したが、効果もなく それどころかルルとブリジットもナズナに加勢する形になって、困惑する事になってしまった
なんで、私が多少の化粧をした程度で急にモテる事になるか分からない、せいぜい薄くファンデーションを塗り? 目元や目尻に紅を塗り、口紅を施した程度の簡単な物だ、時間だって10分も使っていない筈なので 本当に簡単な筈なんだが、この反応は何なんだろうか?
しかもナズナもルルもブリジットも、お世話とかでは無く 本心から言っているのが分かるから、更に困惑してしまう
とはいえ、褒められる事は悪い気がしないので甘んじて受けておこう、あぁでもアンに遭遇したら、彼女は彼女で褒め称えてきそうだなぁ それは少し困る、声量が爆音だからね、うん