アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

173 / 268
173話 卒業パーティー 3

 

 

 

ナズナの威圧で滝の様に脂汗を流すロドリゲスは、あまりの発汗量でドレスの色が変わるぐらいで、見ていて愉快ではないし ナズナが仕事を終えて戻ってきている以上、ロドリゲスなんぞ に使う時間なんて存在しないので

 

 

「貴方様、今日は卒業式で 此処は祝いの場、これ以上は他の先輩方にも迷惑がかかりますから、責任のアレコレは 後日に改めるのが良いかと」

 

「あ、貴女・・・」

 

 

私がナズナに言うと、ロドリゲスがコチラを見て意外そうな表情をする、何か勘違いをしている様子だが、まぁ良いか

 

どうせ、責任追及に関して後伸ばしにしただけの事に後で気付くだろうし

 

 

「・・・カヅキが言うならば、この場では矛を納めよう。 ロドリゲス 下がって良いぞ」

 

「はい、失礼致しますわ」

 

 

私の意を汲んでくれたナズナが、ロドリゲスへと下がる様に言い 彼女は頭を下げて早歩きで会場の出口へと歩いていく、アレだけの発汗量だ 卒業パーティーへ引き続き参加するにしても、着替えなきゃならんだろうしな、うん

 

 

「さぁ貴方様? 憂いは去りましたよ」

 

「全く、我が妻は優しいな」

 

「はて? 何の事でしょう? 私は あくまで “ この場での ” 罰執行を取り止める様に言っただけですよ?」

 

 

高級長椅子から立ち上がり、ナズナの元へ歩み寄り言うと ナズナが そんな事を言ったので、説明すると

 

 

「ははは、いやはや 賢い女だな? カヅキ、奴が事実に気付いたら逃げるかも知れんぞ?」

 

「ふふ、構いません。その時は 彼女の ご両親にでもケジメをつけて貰いますし、見つけ次第 彼女にもケジメをつけて貰うだけです、まぁその場合は小指だけでは足りないでしょうが・・・」

 

 

ナズナが笑い私を褒め、そんな事を言うので微笑みを浮かべて言うと、ナズナの表情が強張り少し固まる、恐らく彼は私が冗談ではなく 本気で言っている事に、そしてケジメをつける と言う言葉の意味に気付いたのだろう

 

 

「あぁでも ご安心を、苦痛を最小限に留める為に作法はキチンと教えますし、道具は最高の逸品を用意しますから」

 

「そ、そうか? そうならない事を祈ろう」

 

「えぇ、そう望むばかりです」

 

 

そう私が言うと ナズナは軽く震えた声で言う、正直な所 私だって指が欲しい訳ではない、寧ろ いらない

 

私が欲しいのは、あくまでも誠意の謝罪であって エンコ()を詰める行為による指の収集では無いのだから

 

だいたい、指を貰った所で なんの利用価値も無い訳だしね?

 

さてさて、少々空気が悪くなってしまった気がするので、話題を逸らす事にしよう

 

 

「貴方様、音楽が流れ始めましたが?」

 

「ん? あ、あぁ ダンスの時間が始まった様だな?」

 

「なるほど、ダンスですか」

 

 

あからさまな話題逸らしだが、ナズナは察してくれた様で頷いて答えてくれる、やはりナズナは良い男だなぁ

 

 

「俺と一曲 踊って頂けないだろうか? マイ・フェアレディ?」

 

「はい、喜んで」

 

 

ナズナが少々芝居掛かった所作で頭を下げて、手をコチラへ出してダンスのお誘いをしてきたので、私は微笑み了承しブリジットへグラスを渡して、ナズナの手を取りエスコートして貰う

 

着物でワルツが踊れるのかって? 少し着崩れてしまうかも知れないが、応急処置はブリジットがセンセイからレクチャーされているから大丈夫だ、多分

 

ゆっくりと清らかな旋律が流れ、私はナズナにリードして貰いながら ゆっくりとワルツを踊る

 

 

1月(ひとつき)前まで初心者だったとは思えない程に上手くなったな? カヅキ」

 

「貴方様に恥をかかせる訳には行きませんから、裏技も使用し必死で練習しました」

 

「裏技?」

 

「はい、1尾分身を召喚しローテーションを組み不眠不休で約30日間練習をし続けました、流石に370時間 練習をすれば上手くなりますから」

 

「・・・理屈では、そうかも知れないが」

 

 

ワルツを踊りながらナズナに褒められたので、上達のコツを披露すると 軽く引かれてしまった、割と真理だと思うのだけど ダメだったのだろうか?

 

そんな疑問を内心抱きつつ依然としてナズナにリードしてもらいワルツを踊っていると、曲が終わる

 

 

「おや、終わってしまいましたね? 残念です」

 

「はは、そうだな?」

 

 

私はナズナから身体を離して言うと、ナズナは軽く笑って飲食物の有るエリアへ私をエスコートしながら向かう、ブリジットとルルも そちら側にいるしね?

 

 

「テスタロッサ嬢、宜しければ 私と1曲 踊って頂けませんか?」

 

「お気持ちは 有り難いですが、私は心に決めた殿方以外とは踊るつもりはありませんので、謹んで ご遠慮させていただきます」

 

「分かりました テスタロッサ嬢、ナズナ殿下? テスタロッサ嬢を大切になさってください、私は・・・我々は、テスタロッサ嬢の幸せを願っております故」

 

「あぁ、必ず大切にすると誓おう」

 

「その言葉に偽りが無い事を期待しています、それでは失礼します」

 

 

リューネでは珍しくも何とも無い金髪碧眼の男子生徒が、礼儀正しく私へダンスの お誘いをしてきたが、キッパリとお断りすると 彼はナズナを真っ直ぐと見据えて言う

 

この言動から察するに、アンが結成したファンクラブ会員だろうか?

 

いや、行動力 あり過ぎじゃね?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。