ナズナの威圧で滝の様に脂汗を流すロドリゲスは、あまりの発汗量でドレスの色が変わるぐらいで、見ていて愉快ではないし ナズナが仕事を終えて戻ってきている以上、ロドリゲスなんぞ に使う時間なんて存在しないので
「貴方様、今日は卒業式で 此処は祝いの場、これ以上は他の先輩方にも迷惑がかかりますから、責任のアレコレは 後日に改めるのが良いかと」
「あ、貴女・・・」
私がナズナに言うと、ロドリゲスがコチラを見て意外そうな表情をする、何か勘違いをしている様子だが、まぁ良いか
どうせ、責任追及に関して後伸ばしにしただけの事に後で気付くだろうし
「・・・カヅキが言うならば、この場では矛を納めよう。 ロドリゲス 下がって良いぞ」
「はい、失礼致しますわ」
私の意を汲んでくれたナズナが、ロドリゲスへと下がる様に言い 彼女は頭を下げて早歩きで会場の出口へと歩いていく、アレだけの発汗量だ 卒業パーティーへ引き続き参加するにしても、着替えなきゃならんだろうしな、うん
「さぁ貴方様? 憂いは去りましたよ」
「全く、我が妻は優しいな」
「はて? 何の事でしょう? 私は あくまで “ この場での ” 罰執行を取り止める様に言っただけですよ?」
高級長椅子から立ち上がり、ナズナの元へ歩み寄り言うと ナズナが そんな事を言ったので、説明すると
「ははは、いやはや 賢い女だな? カヅキ、奴が事実に気付いたら逃げるかも知れんぞ?」
「ふふ、構いません。その時は 彼女の ご両親にでもケジメをつけて貰いますし、見つけ次第 彼女にもケジメをつけて貰うだけです、まぁその場合は小指だけでは足りないでしょうが・・・」
ナズナが笑い私を褒め、そんな事を言うので微笑みを浮かべて言うと、ナズナの表情が強張り少し固まる、恐らく彼は私が冗談ではなく 本気で言っている事に、そしてケジメをつける と言う言葉の意味に気付いたのだろう
「あぁでも ご安心を、苦痛を最小限に留める為に作法はキチンと教えますし、道具は最高の逸品を用意しますから」
「そ、そうか? そうならない事を祈ろう」
「えぇ、そう望むばかりです」
そう私が言うと ナズナは軽く震えた声で言う、正直な所 私だって指が欲しい訳ではない、寧ろ いらない
私が欲しいのは、あくまでも誠意の謝罪であって
だいたい、指を貰った所で なんの利用価値も無い訳だしね?
さてさて、少々空気が悪くなってしまった気がするので、話題を逸らす事にしよう
「貴方様、音楽が流れ始めましたが?」
「ん? あ、あぁ ダンスの時間が始まった様だな?」
「なるほど、ダンスですか」
あからさまな話題逸らしだが、ナズナは察してくれた様で頷いて答えてくれる、やはりナズナは良い男だなぁ
「俺と一曲 踊って頂けないだろうか? マイ・フェアレディ?」
「はい、喜んで」
ナズナが少々芝居掛かった所作で頭を下げて、手をコチラへ出してダンスのお誘いをしてきたので、私は微笑み了承しブリジットへグラスを渡して、ナズナの手を取りエスコートして貰う
着物でワルツが踊れるのかって? 少し着崩れてしまうかも知れないが、応急処置はブリジットがセンセイからレクチャーされているから大丈夫だ、多分
ゆっくりと清らかな旋律が流れ、私はナズナにリードして貰いながら ゆっくりとワルツを踊る
「
「貴方様に恥をかかせる訳には行きませんから、裏技も使用し必死で練習しました」
「裏技?」
「はい、1尾分身を召喚しローテーションを組み不眠不休で約30日間練習をし続けました、流石に370時間 練習をすれば上手くなりますから」
「・・・理屈では、そうかも知れないが」
ワルツを踊りながらナズナに褒められたので、上達のコツを披露すると 軽く引かれてしまった、割と真理だと思うのだけど ダメだったのだろうか?
そんな疑問を内心抱きつつ依然としてナズナにリードしてもらいワルツを踊っていると、曲が終わる
「おや、終わってしまいましたね? 残念です」
「はは、そうだな?」
私はナズナから身体を離して言うと、ナズナは軽く笑って飲食物の有るエリアへ私をエスコートしながら向かう、ブリジットとルルも そちら側にいるしね?
「テスタロッサ嬢、宜しければ 私と1曲 踊って頂けませんか?」
「お気持ちは 有り難いですが、私は心に決めた殿方以外とは踊るつもりはありませんので、謹んで ご遠慮させていただきます」
「分かりました テスタロッサ嬢、ナズナ殿下? テスタロッサ嬢を大切になさってください、私は・・・我々は、テスタロッサ嬢の幸せを願っております故」
「あぁ、必ず大切にすると誓おう」
「その言葉に偽りが無い事を期待しています、それでは失礼します」
リューネでは珍しくも何とも無い金髪碧眼の男子生徒が、礼儀正しく私へダンスの お誘いをしてきたが、キッパリとお断りすると 彼はナズナを真っ直ぐと見据えて言う
この言動から察するに、アンが結成したファンクラブ会員だろうか?
いや、行動力 あり過ぎじゃね?