アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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198話 吾妻ノ国 初日 3

 

 

いつまでも立ち話をしている訳にもいかない と(れん)の言葉で、私達は客間?へと案内され、私は畳に敷かれた座布団に正座で座る ドレスで胡座は流石に無いからね

 

因みにナズナは普通に胡座で座っている

 

 

「カヅキ殿、先程は とんだ失礼を」

 

「いえいえ、お気になさらずに 慣れています」

 

 

本当に申し訳無さそうに謝ってくる蓮に 大丈夫と告げる、実際の所 恒例行事の如く 不定期に開催されているし慣れているからね

 

 

 

「ありがとうございます カヅキ殿・・・所でナズナ殿下? どれくらい此方に居られますかな? 一応 予定では2週間程の予定ではありますが・・・別に彼方に帰らなくても良いとは思いますので」

 

「叔父上・・・俺が母上の忘れ形見だからと、あまり誘惑しないでいただきたい。以前なら ともかく、今はカヅキもいます故」

 

 

私の言葉に感謝を述べた後に蓮は ぶっ込んでくる、このおじさん 何を考えているんだ?

 

ナズナはリューネ王国 王太子、そう王太子だ 次期国王となる事が半ば決まっている、それを冗談とはいえ 勧誘するのは些かマズイのではないか? と思わなくも無いが、ナズナも冗談と判断し返答しているし 私が とやかく言う事はしないでおこう、拗れそうだし

 

 

「夏季休暇も有限ですし、予定通り2週間・・・最大でも3週間の滞在となると思います」

 

「そうですか 良い返事が頂けず残念ですが、当家滞在中は 存分に吾妻(あずま)を堪能なさってください」

 

「ありがとうございます、叔父上」

 

「よろしくお願いいたします蓮様」

 

 

凛としたナズナの横顔を見て、やっぱ私の婚約者 イケメンじゃね? とか思いつつ、蓮へ軽く頭を下げる

 

 

「不躾な質問になると思いますが・・・カヅキ殿? 正座が出来るのですね?」

 

「え? えぇ テスタロッサ家に保護していただいた時に、様々な教育を受けさせて頂きまして」

 

「ほう、テスタロッサ家で」

 

 

私が正座で座っている事に気づいた蓮が、少し遠慮がちに質問をしてきたので少しボカして答える

 

実は嘘は言っていない、私が正座やらマナーやらを躾けてくれくれたのはセンセイ、旧名 長谷川(はせがわ) 育美(いくみ)なので、嘘ではない

 

 

ただ習ったのが前世で、と言うだけの事だし サンクロードの知識に関しての教育もターニャ(センセイ)に施されているしね? うん

 

 

「テスタロッサ家は素晴らしい人材が居る様で羨ましい限りです」

 

「ふふ、お褒めに預かり光栄です 蓮様、ナズナ殿下と婚姻した際には暁家との(えにし)がより強くなる事を望むばかりです」

 

「おや、これは心強い」

 

 

うんうん と頷く蓮に 半分 本気の社交辞令を言っておく、個人的には吾妻との協力関係は ある程度 担保しておきたい

 

西側のバルマバラッドが何だかキナ臭いし、今 東側の吾妻との関係悪化は得策ではないし、テスタロッサ家で使用する鉱石の一部は吾妻から輸入しているしね?

 

あと蓮を味方にしておけば、霊狐族と揉めた際に仲裁してくれる事を期待している、暁家が どの程度の権力(ちから)を持っているかは分からないけど

 

吾妻はリューネの様な貴族による分割統治ではなく、国全体を主君が治めているらしいので、現代日本に近い政治体制なのだろう 多分

 

そんな事を考えていると、カヅキは俺の婚約者だと見せ付ける為か ナズナに肩を抱き寄せられる

 

なんだか、いつもより独占欲を表に出すな? 今日は

 

 

「ふふふ、ナズナ殿下に軽く睨まれてしまいましたし 私は これにて お(いとま)させて頂きます、本日は ごゆるりと お身体をお休めください、給仕等 雑務がありましたら、ご遠慮なく 廊下に使用人が待機しておりますので、お申し付けください」

 

「分かりました、ありがとうございます叔父上」

 

「蓮様、ありがとうございます」

 

 

ナズナの様子を見て蓮は軽く笑って退散する事を告げ、部屋を出ていく

 

 

なかなか愉快なおじさんだな この人

 

 

「全く・・・油断ならん男だな、叔父上は」

 

「その様ですね?」

 

「カヅキ、気をつけてくれよ? 叔父上は・・・敢えて言葉を選ばずに言うと シスコンで、割と本気で俺を吾妻に亡命させたいと思っている」

 

「・・・マ?」

 

「マ? よく分からないが・・・叔父上は 常識人ではあるが、目的の為なら お前の懐柔ぐらい やりかねん」

 

「なるほど、それで牽制を」

 

「そう言う事だ」

 

 

蓮が退室したのを見届けたナズナが溜め息を吐いて呟いたので、適当な相槌を打つと なかなかにアレな説明をしてきて 思わず素の声が出てしまったが、ナズナはスルーして 私に気をつける様に言ってくる

 

と言う事は、さっきに冗談話は 割と本気が混ざっていたのだろうか? だとしたら大分 問題発言な気がするぞ?

 

 

「お前にとって吾妻が魅力的に見える様に 叔父上は手を打ってくる筈だ、気をつけてくれ」

 

「分かりました、しかし ご安心を 私にとって貴方の隣りこそが私の最良の地です、仮にそこが地の底であろうが 地獄だろうが、ね?」

 

「はは、全く 俺の妃は心強いな」

 

「ふふふ、それほどでも」

 

 

ナズナに懐柔作戦が私へ行われる可能性が高い事を告げられたので、そう答えてると 彼は嬉しそうに言う

 

そうさ、私がナズナの居場所を決めるのではない、ナズナが居る場所が私が居る場所なのだ

 

そこがどこだろうと、私はナズナと共に有る、それだけだ

 

 

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