アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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207話 吾妻ノ国 3日目 5

 

 

はてさて この状況を どう切り抜け様か考える、(れん)には私が記憶喪失だと思われているしなぁ 霊狐族の方針次第か?

 

そう、霊狐族の方針次第だ、彼等が私を隠れ里へ連れて帰る と言うなら説得なり対処が必要だが、すんなり引き下がってくれるなら それはそれで構わない、なら確かめるしかない

 

 

「三太さん、単刀直入に・・・私を どうされたいのですか?」

 

「どう、とは? カヅキ様の おっしゃる言葉の意味が分かりかねます」

 

 

蓮と会話をしていた三太へ質問をすると、本心から分かっていない様子で聞き返される、悪意は無いな 本当

 

 

「例えば、私を霊狐の隠れ里へ 連れて行きたい など、思いませんか? と言う話です。貴方達の意思によっては私も対応を考えねばなりません」

 

「なるほど、カヅキ様が懸念されている事に関して 我々が御身へ強制も強要も拉致・誘拐 他諸々を行う事は御座いません、ご安心を」

 

「そうですか、それは安心しました」

 

 

私の言葉に三太は なるほど と手を打ち 質問に答える、どうやら私が考えているより危険度は低かった様だ

 

 

「私共としては、御身に隠れ里へ いらして欲しい とは思います。しかし現人神(あらひとかみ)たるカヅキ様は、2尾である私程度では どうにもできませんし、御身を不快にするのは不本意です。それに長い年月を生きる霊狐族の最高位であります故、焦る必要も 御座いません」

 

「確かに焦って私の機嫌を損ねるより、ナズナ様の寿命が尽きた時に気まぐれで隠れ里へ訪れる事を期待する方が良いと判断した訳ですね?」

 

「そうです、言葉を選ばないならば、定命の王子殿下は長くても後100年程度で亡くなります。その時 カヅキ様に隠れ里へ いらしていただければ良いのです、それも定住していただく必要もありません たまに数年程度 滞在していただければ、我々は満足なのです」

 

「なるほど、理解しました」

 

 

三太は私の質問に澱みなく 真摯に嘘偽りが一切無い 本心を答えてくれる

 

確かに変に私の機嫌を損なうより、自主的に来てもらう様に仕向ける方が建設的だろう、なにせ 今の私は4尾で 彼は2尾 実力差は既に倍以上あるし、霊狐族の三太が 私を9尾の霊狐と認定したのだから、私は間違いなく超長命種である事が確定した

 

そして三太が言う様に、超長命種である私はナズナが死去した後 リューネに残る意味が薄い可能性は充分あるし、長生きの王妃は 後世の王族には邪魔だろうし、隠居先も必要だろうしね?

 

なんなら隠れ里を拠点に旅をするのも悪くないかも知れない、私は 一度訪れた場所には転移門で移動出来るし

 

 

「話は変わりますが、定命種の寿命を伸ばす秘薬や秘術はしりませか?」

 

「寿命を伸ばす秘薬や秘術、ですか? ふむ・・・」

 

「あの・・・噂程度ですが、吾妻(あずま)の学園へ通っていた友人曰く、長命の高位召喚獣と契約した者が不老の恩恵を受けた記録が有るらしい、と」

 

「ふむふむ」

 

 

賢そうな三太に尋ねると、彼は唸り 思案顔をし始め 今まで静かにしていた七花が おずおずと挙手して教えてくれる

 

 

「自分も酒の席で友人から聞いただけで、どこまで本当かは分からないのです、すみません」

 

「いえいえ、可能性が有るだけでも良いのですよ 七花さん、ありがとうございます」

 

「勿体なきお言葉」

 

 

なんとも自信なさげに言う七花へお礼を言うと、彼は頭を下げてくる 本当に腰が低いなぁ この人達

 

 

「この件に関しては後に検証するとして・・・蓮様、憂いも晴れたので本来の姿へ戻りますね」

 

「本来の姿? まさか」

 

「はい、9尾です」

 

 

私は立ち上がり羽織を翻して指を鳴らすと、アイデースが影から伸び 私へ収納した尻尾を再装着してゆき、久しぶりに9尾へと戻る チカラが漲る チカラが漲るぞ!

 

 

「これは・・・これほどとは・・・三太殿が傅くのも理解できます」

 

「おぉ我が目で御身を見る事が出来る幸運に感動しております」

 

「美しい・・・」

 

「カヅキ、お前のフル状態は久しぶりな気がするな?」

 

「そうですね? 半年ぶりぐらいでしょうか?」

 

 

やはり9尾状態だとチカラが漲り過ぎて危ない気がするが仕方ないので、気をつける事にし 蓮や三太・七花の反応を他所に、何も考えていない様なナズナの言葉に返事をする

 

基本的に最低でも1尾分身メイドを使ってナズナの世話をしているから本当に久しぶりだと思う、多分

 

 

「普段はチカラを抑える為に尻尾を切り離しているのですよ」

 

「なるほど、文官の私でも分かる程ですし、その方が良いのでしょうね」

 

「えぇ調子が良過ぎると、うっかりが有りますから」

 

 

適当に でっち上げた理由を説明すると、蓮は納得してくれる この人 めっちゃ良い人だなぁ

 

まぁ実際の所、封印術をかけている上で尻尾を減らす縛りをしているので、そんなにウッカリは無いのだけども

 

それから丁度良いタイミングで注文した品物が到着したので、大福にかぶり付く、美味

 

甘さは控え目の こし餡で食べやすいし、一緒に出てきた緑茶も 薄過ぎず濃ゆ過ぎない丁度いい塩梅で美味い

 

紅茶と珈琲を淹れるのは自信があったが、まだまだ精進しないとな うん

 

 

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