アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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236話 王暦507年度 学園祭 6

 

 

 

歌唱大会の優勝賞品になる毛布に興味を持った私は、セレスティアにお願いして見せて貰う事になり、彼女は直ぐにスタッフへ声を掛けて持って来させ

 

 

「こちらが今回の優勝賞品の毛布です、お姉様」

 

「拝見しま・・・す」

 

「素晴らしいですよね? 私も貴族の娘、これまで様々な寝具を見て来ましたが、この毛布以上の逸品は見た事はありません」

 

「はは・・・ははは・・・」

 

「大丈夫ですか? カヅキさん、どうかしましたか?」

 

 

セレスティアが毛布の入っているアタッシュケースを開けて私へ毛布を見せた瞬間、脳が理解を拒み 乾いた笑いが溢れ ブリジットが心配してくる

 

 

「大丈夫、大丈夫です。何故 毛布(これ)が此処に有るかを脳が受け入れてくれなかっただけですから」

 

「どう言う事ですか? カヅキさん の ご兄弟や親戚の毛皮、と言う訳では無いですよね?」

 

「もちろん それはあり得ませんが、仮に そうだと倫理的にアウトでは?」

 

「まぁ確かに?」

 

 

 

私は心配そうに顔を覗くブリジットを安心させる為に大丈夫と言うと、なんかノンデリな事を言いだすブリジットに軽く注意するが、効果は無さそうだ

 

ナズナ、ルル、ブリジット は私が日本人(いせかいじん)である事を知っているので、私の肉親が毛布の原料では無い事は分かっているのだろうが 本当にデリカシーが無いと言わざるを得ないが、彼女なりの冗談だとは思うので、罰する事はしないでおこう

 

因みに、何処かのマンガだったか何だったかに、拷問対象の肉親を拷問道具の材料にして拷問するって言う とんでも無い輩が居たっけな

 

 

「セレスティアさん、この毛布は どなたからの提供ですか?」

 

「プライバシー保護の観点から お名前は控えさせていただきますが、そちらはテスタロッサ領出身の方が、ツテを使い テスタロッサ夫人と交渉に交渉を重ねた末に入手したそうです」

 

「なるほど・・・お義母(かあ)様が元々の持ち主ですか、通りで」

 

「お姉様? 何か問題が?」

 

 

なんとか気をしっかり持ってセレスティアへ入手先を尋ねると、説明し 私の表情を見て不安そうに聞いてくる

 

 

「いえ、問題はありませんよ? ただ強いて言うならば・・・この毛布は、私の抜け毛で作られていますね」

 

「えぇ?! ほ、本当ですか?!」

 

「えぇ、流石に毎日手入れして見ていますから、自分の毛か否かぐらい分かります」

 

「なるほど、通りで至高の逸品なのですね」

 

 

セレスティアを安心させる為に説明すると、驚いた表情をして少々オーバーなリアクションを取る

 

こう見ると、なんだか心当たりが有るので何とも言えない気持ちになる、毛布の原材料は卒業パーティーの時にセンセイを頼った際に接収された抜け毛の塊だろう、多分

 

てっきり何か織物とかにするのだろと思ったが、まさか毛布に化けるとは予想外だった

 

と、まぁ予想外の事だったが 原材料が自分なら 問題はない 取り放題だからね? 流石に皮を剥いで造るのは普通に痛いからしないが、抜け毛は日々錬成されているから、有効活用先が出来てヨシとしよう

 

 

「ナズナ様へのプレゼントに作ってみましょうかね?」

 

「良いですね? あったかそうです」

 

「とても素晴らしいと思います」

 

 

ひとまずアタッシュケースを閉じて貰い、抜け毛の利用先を考える 毛糸へ錬成して編み物へするのもアリではある、鋼の錬金術師の様に錬成出来れば速攻で作成が出来るしね?

 

 

「そろそろ時間ですね? では 私は これにて」

 

「はい、司会 頑張って下さい セレスティアさん」

 

「はい、ありがとうございます お姉様」

 

 

腕時計を確認したセレスティアが司会をする為に そう言ってきたので、エールを送り 自分の出番を待つ、なにせ 歌唱大会が始まって すぐに私の出番だからね

 

セレスティアがステージへ出てすぐ、彼女の司会進行が聞こえ始め 会場は かなりの熱気に包まれている様に感じる

 

 

「それでは王暦507年度 学園祭 歌唱大会を開始したいと思います、最初は ダールベルグ学園在校生の方は ご存知、カヅキ・テスタロッサ様による エキシビジョン・パフォーマンスです、よろしくお願いします」

 

「ブリジットさん、よろしくお願いします」

 

「かしこまりました」

 

 

会場を盛り上げていたセレスティアの言葉を聞き、私はブリジットにエスコートして貰いながらステージへ出ると、約180度 客席で 超満員で人が溢れている

 

 

「ご来場の皆様 ごきげんよう、今年度 歌唱大会の前座を務めさせていただきます カヅキです。 この様な経験が無いので、皆様の期待に答えられるか不安ではございますが、精一杯務めさせていただきます。しばしお時間を頂戴いたします」

 

 

セレスティアが立つステージ中央付近に立ち、セレスティアからマイクを受け取り挨拶をする

 

今更 この程度で緊張する事は無いので、いつもの様に猫を被ったままで挨拶を続け、セレスティアへ目配せで合図をして移動してもらい設置位置を確保し影に入れていたグランドピアノをステージ中央へ設置し、椅子に座りブリジットにマイクを設置し調整して貰う

 

最初の曲は、私が知る曲の中でも特に好きな曲だ

 

絶望的な世界で、人々へ希望を与える歌だ

 

 

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