そんな訳で 馬車に揺られて城に着き、私とナズナは応接室と思われる場所に通され 今回は私と相性の良いソファに座り 待つ事数分、扉が開いてナズナが立ち上がって扉の方へ向き直ったので、私も彼に倣い 立ち上がり扉の方を向く
「お久し振りです ナズナ王太子殿下、お会いしたのは貴方の立太子の時でしたか?」
「お久し振りです マーテル女王陛下、その節は有り難うございました。それと・・・今回、大事にしてしまい大変申し訳ありません」
入室してきた如何にもな女性に頭を下げたナズナに数拍遅れで、私も頭を下げる
マーテルと呼ばれた彼女は、マーレとは違い黒い髪に黒い服という全身真っ黒な人だった、オセロかな?
そんな失礼な事を考えていると
「妹・・・マーレから念話で伝えられていましたが・・・これほど迄に我が子にソックリとは、衛兵がナタリアの変装と見間違えるのも合点が行きます」
「はは・・・恐れ入ります」
なんか本当に不思議そうに私をマジマジと見てきて、そんな事を言うマーテルに苦笑しながら返事をする
母が言うぐらいだ、私と そのナタリア姫は 相当 ソックリなんだろう、それこそ一卵性双生児レベルで
「遅ればせながら、マーテル女王陛下にご挨拶申し上げます。
なんだか話の流れで名乗り遅れてしまったが、マーテルに名乗り頭を下げる
「これはご丁寧にありがとうございます、さぁ お二方 席にお掛けになって? 別にお二方を責めるつもりはございません、我らの宝剣が 何故殿下方に反応したのかは解りませんが・・・この意味がお分かりになりますね?」
私とナズナは、勧められて 今まで座っていたソファに もう一度着席し、その向かいにマーテルが座る
マーテルが真剣な顔になり 問いかけ、ナズナは頷くが私にはサッパリ分からない
私達を罰する気がないなら、なんで こんなに含みを持たせているのだろう?
「単刀直入に、我々を国許に帰すわけにはいかない・・・と仰るわけですね?」
「言葉を選ばすに言えは、その通りです」
「え? 何故ですか?」
ナズナの言葉と それに答えるマーテルの言葉に驚き、思わず言葉が漏れ出てしまう
なぜ宝剣が反応しただけで、リューネに帰れないという事態になるというのだろうか?
「テスタロッサ嬢が驚くのも無理からぬ事かと思います、そうですね・・・少し 我が国の歴史について語りましょうか、宝剣が初めて この国に現れたのは、我が国が立国して数百年後の事でした。暗黒大陸にあるグレアと、我が国は友好国だったのですが・・・ある年、グレアが魔物を率いて戦争を仕掛けてきたのです」
メイドさんが 失礼しますと カートを押しながら扉を開け入ってくるのが見える
そのカートには お茶1式が乗っており、お茶を淹れてマーテルの前に置き、私とナズナの前にも置いてくれる、このメイド なかなかやりおるな
「当然の事ながら、当時の女王は訳がわからずグレアに停戦を訴えましたが、聞き入れてもらえず・・・エデンは魔物が跋扈する土地となってしまったのです。魔物の被害は凄まじく、民が何人も魔物の餌食になって倒れていきました。そんな折 聖女が我が国に現れたのです」
マーテルは お茶を一口飲み、ふぅ とため息を吐く
このスェッド国の歴史の一部分なのだろうが、語るには長い様だ
「聖女は言いました、彼の国は魔王に乗っ取られ いくら停戦を訴えようとも無駄だと。当然ながら、その当時の女王は聖女を頭のおかしい人間だと決めつけ、牢に投獄しようとしました。しかし聖女と共に旅をしてきた、姫の婚約者がその場で女王に進言したのです。身分を隠して 彼女と一緒に旅をして来た自分だから分かる。彼女は誠実な人間だ、嘘をつくような人ではない。これは真実だ、と」
その婚約者は なんで聖女と旅なんてしていたのだろうか?
元々 聖女と知ってて一緒に行っていたのか、もしくは何らかの事情で、聖女と旅をせざるを得なかったのか
真実は闇の中って奴だ、今は 婚約者の事は些細な問題だしね、うん
「婚約者の話を姫も擁護したおかげか、聖女は牢に投獄される事なく 客人としてこの城に泊まりました。そしてその日の夜 グレアからの敵襲があったのです、聖女の仲間の一人が裏切り この城に魔物を招き入れたのです・・・テスタロッサ嬢、大聖堂の聖具殿で 2本の剣を見ましたね? 青色の方が 聖女が使用していた剣、赤色の方が その仲間が使用していた剣です・・・その仲間の正体は 魔王でした、聖女や 何もかもを騙し、この国の懐へ 入る為に聖女を利用していたのだと、そう伝わっています」
マーテルの説明を聞き、私なら間違いなくブチギレて ソイツを殴り倒す自信しか無いな と思う
不義には鉄槌を、忠義には褒賞を、だ
聖女も聖女で鈍いのか? いや、裏切り者の演技が上だっただけかも知れないけど、今の所は これ以上の情報が無いから判断しようがないな
さて、説明パートが それなりに長くて困ってしまうなぁ