私が訝しんで質問するとシンクは肩をすくめ
「さてな? 母様達が学生時代には色々と有ったらしいって事・・・ん? 待て、“ 魔王の遺物の収集を何故 していないのか? “ って言ったか? 」
「意訳すれば、そうですね」
息子の自分が 分かる訳ないだろ? と言う態度で 私の質問に答えていたが、途中で私の質問の裏を読み取り気付いたらしい、流石だ
「待て、そうなると・・・何? 魔王の遺物を全て収集しているってのか? コン」
「ご明察の通り、我々は 既に・・・私の体感で約2年前に全て収集が完了しています」
「おいおい、マジかよ・・・俺達、命懸けかつ命削って魔王と戦争したんだけど・・・」
恐る恐るシンクが尋ねてきたので包み隠さずに答えると、シンクは天を仰ぐ様にしてグッタリとする 大丈夫かコイツ?
本来なら私と同等のチカラを有しているであろうシャルロットが箔をつける為にも魔王の遺物を収集し、その実力を内外に示すべきだったのだろうが、シンク達 子の世代に負の遺産を残してあまつさえ処理までさせているとは、なんとも言えない
「知っての通り、私は 転生者ですから、魔王の遺物に対して一定の耐性と対処法を獲得する事ができましたので、比較的 命の危険も無く 速やかに収容は済んでしまいました」
「マジかぁ・・・まーじで、何回か死に掛けたんだよなぁ・・・クッソ キツかったわ・・・」
「心中 お察し致します」
軽く説明すると、シンクは天を仰ぎながら言ってきたので口先の労いをする
そんなこんなで何とも言えない空気となり無言の時間が流れていると、急に応接間の扉が開き
「シンク〜 母様に聞いたんだけど、並行世界のカヅキおばさん が来てるんだって〜?」
「シャナちゃん、不用意に そう言う事を言ったらダメだよ? 若年時代のママだと、怒っちゃうから」
「ええー? カヅキおばさん は カヅキおばさん じゃん? ダメかな?」
「おいコラ シャナこの野郎、ウチに迷い込んだ時に教育してやった事を忘れてんのか? この野郎」
「げっっ」
「げっ じゃねーよ、バカタレ」
「ひぃん、コンちゃんが怖い〜」
良い湯加減に脳が茹で上がっている様な能天気な緩い表情でマナーの欠片もない扉の開け方で入室してきたシャナと、黒髪金眼の私と似た配色の女性がシャナに注意しながら入ってきたので、軽く殺気を混ぜてシャナを睨んでやると 何とも情け無い声を出して 黒髪金眼の女性の後ろに隠れる、なんか色々と はみ出ている気がするが それには触れないでおこう
「シンク!! 保護したのが コンちゃん だなんて聞いてないよ!!」
「いや知らんわ、勝手に押し掛けてきて 文句言われる謂れは なーんもねーのよ」
「うわぁーん ユタカちゃーん、シンクがイジメるよ〜」
「よしよーし」
「この姉は本当、全く」
「全くもって嘆かわしい、それが王女の姿ですか? 」
「お祖母様が乗り移ってない?!」
「ははは・・・」
私の殺気に当てられたシャナがシンクへ 八つ当たりを始めるが、正面からバッサリとされて切り捨てられユタカへと泣き付き ユタカが慰め始めたので、思ったままの感想を口にすると シャナに そんな事を言われてしまう
褒め言葉として受け取っておこう、私はセンセイを尊敬しているからね
「それで、私と良く似た配色の貴女は?」
「私? 私はシンクの奥さんで ユタカ、よろしくね?」
「私はカヅキ・タンザナイト・テスタロッサ、気軽にコンと呼んでいただきますよう」
「うん、分かったよ。コンちゃん」
シャナを慰めているユタカへ 名を尋ねると、にこやかな笑みを浮かべて名乗って来たので、私もキチンと名乗り コンと呼ぶ様に お願いする
確かユタカはユエと双子の姉妹だったか? パッと見ただけでは分からないが、瞳の色が違うのと ユエはツリ目気味 ユタカはタレ目気味という差異が分かるが、後ろ姿からはサッパリ分からない事が予想出来る
「こうして見ると、ママと同じ顔・・・ではあるけど、やっぱり若いと差異は有るんだね?」
「確か 立花等は齢60を超えていましたね? 流石に20そこら の私と比べるのは どうかと思いますよ?」
「へぇ〜 20歳 超えてるんだ〜 見えないね」
「よく言われます、最近だと10代前半に間違われた事もありましたね」
「やっぱり身長かなぁ? あーでも日本人って 童顔気味だから若く見られたりするって聞いた事があるから、それでかな?」
その背にシャナを貼り付けてユタカが私を見て言う、そう もはや鉄板になりつつある幼く見える話をユタカは 彼女なりの答えを導き出す
思ったより賢そうだなユタカ、纏う空気がシャナと似た物を感じたから そこまで と勝手に思っていたけど、そんな事は無かった様だ
「私は霊狐族なので、樹木の様に 成長が緩やかの様です」
「なるほど、一定までは成長が速かったりするけど ある程度の年齢からは 殆ど不老って事なんだね?」
「その様ですね、いったい どれほどの時を生きるのか、分かりません」
「そっかそっか」
私の雑な説明にユタカは理解を示す、やはり想定より賢い様だ
なら、私の抱える問題に対しての答えを導き出すヒントぐらいは得られるかも知れない、話してみるか?