そんなこんな壁抜きによる短縮を繰り返し暇つぶしの運動ができるぐらいの階層まで進む事が出来たので、帰還する事になり ヘンリとシャナに送迎されテレジア邸へ戻り 夕食を貰って床につく、なかなか 悪くない1日だった
そんな訳で毎朝のルーティンをこなして身支度を整えた頃 朝食が運ばれてきたので有り難く頂戴し、食後の読書をしていると 昨日と同様に朝と言うのにテンションの高いシャナが現れ
「おはよう! コンちゃん!!」
「朝から元気な様で」
「へへへ、無病息災が座右の銘だからね!!」
「昨日も聞きましたよ」
「え? そうだっけ?」
「えぇ」
デジャヴを感じる会話をしつつハードカバーにシオリを挟みインベントリへと収納する、シャナが現れたと言う事は 昨日と同様に 暇つぶし を名目に私を連れ回すつもりなのだろうからね
「昨日は お嬢様コーデで、今日はセーラーワンピースなんだね?」
「そうですね、特に理由は有りませんよ? なんとなく目についたからです」
「似合ってるよ〜」
「それは どうも」
シャナに今日の装いを褒められたので適当に返事を返して置く、文字通りシャナに褒められても何も思わないからだ
「それじゃ行こう?」
「なにが “ それじゃ ” なのか分かりませんが、貴女は私の言う事を聞かないので大人しく着いて行きますよ」
「あれ? なんかディスられてる?」
「早く行きますよ? 今日は 何処へ 連れて行くつもりです」
「わー 待ってよ〜」
相変わらず独特のペースで事を進めるシャナに軽く毒づくと、能天気に首を傾げたので高級ソファから立ち上がり、お気に入りの羽織を羽織ってシャナの横を通り声を掛けて部屋を出ると、ギャグキャラみたいな声を出して後を追ってくる、面白いな シャナ
そんな少し意地の悪い事をし廊下へ出た訳だが、私は目的地を知らないなでシャナの方を見て
「ほら、早く案内してください シャナ」
「今日は 下から2番目の弟の所に行くよ!」
「そうですか」
つい先ほどのイジりを無かったかの様にシャナは元気に答えてくる、こう言うサッパリしている所は大変好ましい所ではあるな、うん
にしても下から2番目か、ん? そういえばシャナは7人兄妹だったか? もしかして 兄妹巡りでもする気なのかな? 暇つぶしに頂戴良いといえば頂戴良いし?
ん? いや、待てよ? ヘンリ・グンジョウ・シンク・シャナ・アンナと既に遭遇しているから、寧ろ 残りが2人か なら コンプリートする方がスッキリするか、うん
そんな事を1人で自己解決していると、例に漏れず どこでもドアを使い 目的地へと移動し、シャナは 毎度のことながら我が家の様に遠慮なくズンズン進んで行く 流石はジャイアンを精神に買う女だ
「あれ? 今日は静かだなぁ? いつもは もっと騒がしいのに」
「そうなんですか?」
「うん、何かあったかな」
唯我独尊と廊下を進んでいたシャナが呟き 空気が変わる、ユルユルな温泉からピリつく冷水の様に引き締まった感じだ、なるほど やれば出来る子の様だ
不測の事態が発生しているにしては静か過ぎるのは少々 不気味だが、立ちすくんでいても仕方ないので、ひとまず人の気配がする部屋へと移動する
「此処に人が居ますね? 危険は無さそうですが・・・どうします?」
「ん〜 確認をする為にも入室以外に選択肢は無いかな? なんて」
「それはそうですね」
「お義姉様? 扉の前で何をされているのですか? 入って大丈夫ですよ?」
扉の前で軽く相談していると、中から入室許可を告げる声が聞こえ 私とシャナは1度 顔を見合わせてから頷き シャナが扉を開け入室する
中には立派なテーブルとティーパーティーセット一式、茶髪の美女と黒髪の少女がいた、使用人の姿は見えないな
「おはようございます お義姉様、今日はどうされたのですか? ラゼルなら お義母様やお義父様と共にマリアの研究に付き添って出掛けていますが」
「え〜? 本当? ラゼッタに この子を紹介しようと思ってきたんだけどなぁ〜」
「そうですか、タイミングがズレてしまいましたね?」
「そうだねぇ? ありぇ? ごめん、今日は 稽古の日だったんだね」
「構いません、今日はティーパーティーでのマナーを雑談しながら教えていた所ですから」
「そっかそっか」
部屋に入室するまでピリついていた雰囲気が 再び ぬるま湯 ぐらいまで軟化したシャナが茶髪美女と会話を交わす、どうやら 目的の人物は出掛けてしまっているらしい、やっぱり報連相は大切だな うん
まぁそれはそれとして、この黒髪少女は何で私を凝視してくるのだろう? 初対面の筈なんだけども?
「あ、あの・・・コンさん 何故 今日は布面をされているのですか? まさか お顔に怪我でも?」
「・・・いえ、顔に怪我をしている訳ではないですが・・・何故 私の名を? 私と貴女は初対面の筈ですが?」
「え!? 私です! レイです!! まさか記憶喪失に?!」
黒髪少女は意を結した様に口を開き尋ねてきたので、困惑しつつ言葉を選びながら答えると、少々飛躍した事を言い始める
なんだろう、この子 あからさまに小動物系で庇護欲を駆り立ててくるぞ?