アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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28話 季節は巡る

 

 

リューネ王国 王太子 ナズナの暗殺未遂事件は、センセイとベルファさんの働きにより首謀者の側妃王子を逮捕・処分で幕を閉じた

 

側妃王子とはいえ、次期国王である王太子暗殺と言う重罪は大問題となり首謀者である側妃王子 及び 本事件に意図的に関与した人物は物理的にクビになった、側妃は監督責任を取らされる形で僻地の療養地で一生幽閉される事になり、これまでと同じ様な贅沢な生活は出来ないだろう

 

ま、俺には全く関係ない事だし興味もない

 

 

そんなこんな本来の仕事とは掛け離れた仕事が片付き本格的に冬が到来して、水冷たいなぁ と思いつつ水仕事をして冷えた手を自前の尻尾で温めたり、同僚の手を温める為にレンタルしたりして年が明け、2月に差し掛かった頃、俺は再びベルファさんに呼び出された なんだか面倒ごとの香りがする

 

とはいえ雇用主の呼び出しを断る真っ当な理由がないので仕方ないと割り切りベルファさんの執務室を訪ねると

 

「待っていましたよ、カヅキ」

 

「なんでしょうか? ベルファ様・・・あの、なぜセンセイも?」

 

 

執務室へ入室すると、いつもなら胡散臭い笑みを浮かべているベルファさん が珍しく真剣な表情でゲンドウ座りしていて、通常の8割増しに眉間にシワが寄っているセンセイが、冬月ポジションに立っていて 一気に不安になる、俺なんかしたっけ? してない筈だけど

 

「はぁ・・・とても面倒な書状がきまして、それでターニャの機嫌が悪いのですよ」

 

「書状、ですか? 」

 

ゲンドウ座りのまま威厳の有る声で俺の質問に答える、あーだからセンセイが見るからに不機嫌なのか、余程の内容だったんだろうな、書状

 

「書状の送り主は王家で、内容は王位継承権第1位ナズナ王子が来期 ダールベルグ王立学園に入学する為、各領地からナズナ王子と歳の近い実力者の女性を選抜し、専属護衛にするので協力する事・・・との王命です」

 

「ナズナ殿下の専属護衛、ですか? 」

 

「はい、しかも王命では いつもの様に見なかった事も出来ませんし、困りました」

 

 

ベルファさんは丁寧に書状の内容を俺に説明してくれるが、内容が内容で かなり面倒くさい匂いがする

 

これ、各領地から選抜するってのは建前で、本命をコネとか縁故とか言わせない為の策なんじゃないか?と感じてしまう

 

今2月だし、来期って4月だろ? 選考期間は約1ヶ月ぐらいしかない、本当なら1〜2年ぐらい選考があってもおかしくないし

 

 

「その表情を見る限り察している様ですね? そう、この選考は茶番です。ナズナ君の本命は貴女ですよ カヅキ」

 

「え? 何故 私なんですか? 割と遠慮なく失礼だったと思うのですが」

 

「実力も知力も申し分ないですし、貴女はナズナ君を目上の者と扱いつつもキチンと個人として扱っていたから、でしょうか?」

 

「? 普通では?」

 

「普通ではないのですよ、カヅキ」

 

 

俺の直感が当たり、選考自体茶番で本命が居た・・・ただし本命は俺だったのは予想外だ

 

何せ、一応 王太子だから敬っていたが、ラブコメ展開になりそうになったら割と失礼な物言いして誤魔化したりしていたからだ、下手したら罰せられても文句言えないタイプの失礼さだと自覚がある・・・もしかして逆に それがダメだったのか? 無念

 

あと肩書きではなく個人を見る事が普通では無いと言われても共感しかねるので困る

 

 

「そういう訳で面接をする為にナズナ君と彼の弟であるユキヤ君がテスタロッサへやってきます」

 

「断ってしまいなさいカヅキ」

 

「ターニャ、気持ちは分かりますが・・・」

 

「この程度では当家の地位は揺るがないと確信していますが?」

 

「そうです、ですが これはカヅキの未来を広げる事も出来ます。王太子の専属護衛へ任命されると言う栄誉は、不変の価値を産み出します。カヅキが将来 テスタロッサを出て生きる道、そして選択肢を作り出す事が出来るのです、貴女がカヅキを大切に思っているのは私も重々承知し理解しています、だからこそ この面接はカヅキ自身が自分で考え答えを出すべきだと思うのです、ターニャ 分かってくれますね?」

 

「・・・はい、旦那様」

 

 

いつにも増して真面目な表情で先生に理解を求めてベルファさんがセンセイへ説明し、センセイは少し渋々といった様子で頷く

 

俺の未来、か・・・漠然とセンセイの元で働くつもりで居たけど、センセイもベルファさんも真人間だから、永遠に生きる事はない

 

人間は老いて死ぬ、それが自然の摂理だ

 

長命種でも、永遠の命は持たない、絶対的摂理だ 生き物はいつか死ぬ

 

だから、俺はしっかりと考えないといけない、俺自身が歩むべき道を

 

 

「そう言う訳ですからカヅキ、急で申し訳ないですが明日、ナズナ君 及び ユキヤ君と面接がありますので、考えておいて下さい」

 

「明日、ですか? 」

 

「すみません、スケジュールがキツキツの様でして」

 

「分かりました、考えさせていただきます」

 

「カヅキ、私達の事は考えずに自分の事だけ考えて下さいね? 貴女は重要な事態の時に、自分を疎かにする傾向にありますから」

 

「・・・はい」

 

 

本当なら2週間ぐらい考えさせて欲しい所だが、面接は翌日とと言う事で集中して考える必要が出てしまい、退室して長考しようとしたら、ベルファさんに、癖を見抜かれていた様で釘を刺されてしまった

 

俺の未来、か

 

 

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