視界が白飛びし眩暈にも似た感覚を感じたが 数秒もしない内に視覚が復活し軽く周りを確認すると、虚空に手を伸ばす体勢のナズナとルル & ブリジットの背中が見える、どうやらドンピシャで戻って来れたらしい
こう言っては何だが、後ろから見ていると何か変な構図だな、と思う
あとシンク ありがとう、絶対 労いの品を持っていくわ
さてさて いつまでも3人の背中を眺めている訳にもいかないし、そもそも面白くないので さっさと帰還報告をしてしまおう、彼等には ほんの一瞬だが私にとっては約10日ぶりな訳だしね?
「殿下、カヅキさんなら すぐに戻ってきます。お気を確かに」
「そうですよ、カヅキさんなら 明日にでもヒョッコリ朝食に参加してるぐらいしますよ、殿下」
「そう・・・だな、カヅキなら 明日にでも何食わぬ顔で朝食に現れそうだな」
私とナズナ達まで少し距離があったので近寄っているとルルとブリジットがナズナの左右から慰めて?いる声が聞こえてきた、すまない もう居るよ
「もしかしたら今日の夕飯に間に合うかも知れませんよ?」
「まさか、流石のカヅキでも そこまで企画外な・・・ん?」
「どうしました? 殿下?」
「あれ? ブリジット、貴女 今 何か言ったかしら?」
「え? いや、ルルさんじゃ・・・んん?」
普通に歩いて近寄って彼等の背後に立ち そんな事を言うと、違和感を感じたらしく3人が顔を見合わせた後にバッと振り返り
「カヅキ!!」
「「カヅキさん!?」」
「はい、カヅキです」
3人がほぼ同じタイミングで私の名前を呼んだので微笑んで返事をする
3人が3人共 なかなか良い表情をしていて 少し面白い
「ただいま戻りました、貴方様」
「あ、あぁ おかえりカヅキ、無事でよかった」
「かろうじて、と言った所でしょうか」
「そうか、本当に無事で良かった」
「ふふ、ありがとうございます」
いつもは私が受け側だが、今回は私からナズナを抱き締めに行き彼の身体に手を回し ナズナの体温を感じる
やはり落ち着く、此処が私の居る場所なのだと改めて深く確信する、こんな事故2度と ごめん被る
「殿下、此処では落ち着く事もままなりませんし、一度 サロン で休まれては如何でしょうか?」
「そうだな、今日は城に滞在する事にしよう」
「御意」
「では詳しい話はサロンで・・・貴方様、急に 抱き上げるのは驚くので辞めて欲しいのですが」
「つまり急で無ければ良いと言う事だな? 分かった」
「それは曲解です、貴方様」
ルルの言葉にナズナは返事をし私が言葉を紡ぎ切る前に私を横抱きにして歩き出す、急だとビックリしてしまうので軽くクレームをつけるが 都合の良い曲解をされてしまったが、まぁナズナが私の言葉に従う事は少ないからね、うん
そんな訳で私はナズナに輸送され王城内にあるサロン へと到達し、ナズナは私を横抱きにしたまま着席し、私を膝の上に乗せる
なんか普通に凄いな、どんな筋力してんだろうね?
「ブリジット すまないが 飲み物の用意を頼む」
「はい、すぐに」
ナズナはすぐにブリジット へ 指示を出して彼女も返事をして すぐに 作業に取り掛かる
「さて、色々と聞きたいが・・・まずは 服が変わっているな?」
「そうですね、断層に吸い込まれた時は ザ・貴族令嬢でしたが、今はセーラー服調ですし、当然ながら 私と貴方達とで過ごした時間が違うのです」
「過ごした時間が違う?」
「えぇ、貴方達は ほんの数秒程度かも知れませんが、私は約10日間 並行世界へ滞在していたのです」
「並行世界だと? なるほど、断層は世界を繋ぐトンネルの様な物、と言う訳か」
「概ね その認識で間違っていませんね」
ナズナは真剣な表情で数秒考えてから尋ねてきたので、私も出来るだけ分かりやすい様に返事を返す
私が過去の話をしていた お陰なのかナズナの理解速度が早くて助かる
「あぁ、それと シャルロットに会いましたよ」
「なに?? あのシャルロットか?」
「はい、あと彼女のナズナにも。実年齢の割には外見年齢が若かったです」
「そうか、なんといえば良いか少し困るな」
「ふふ、大丈夫ですよ 貴方様、貴方も不老にして見せますから」
「そうか? 分かった」
ブリジットが淹れてくれた紅茶を受け取り 一口 飲んで思い出した事をナズナ へ伝えると、彼は 良い反応をしてくれたので 続けて ナズナを不老にする言質を取る、彼の二つ返事にルルとブリジットが 『おい、マジか』 みたいな表情をしているが、見なかった事にしよう。君らも不老にするからね? うん
「不幸中の幸い、シャルロットの居る並行世界に流れ着く事が出来ました、そこで彼女の息子であるシンクの家に保護された訳です。彼の妻も息子も嫁も良い人でしたよ」
「そうか、また借りが増えてしまったな? これでは利子ばかり増えて返済が滞ってしまうな」
「そうですね、いずれは世界を渡る魔法を造りますから、返済は いずれ その時にでも」
「そうだな、任せたぞ? カヅキ」
「はい、任せてください 貴方様」
軽く説明を続けるとナズナは そう言って方をすくめたので、返済方法の当てがある旨を伝える
私を元の世界に送り返す装置があるなら、それを魔法で再現する事は理論上可能、と言うか 未来の私は作っているから 絶対に作れるのが確定しているしね、うん