満足行くまでトコトン大掃除をし 引き渡しに備えた日から数日、恐らく制服に袖を通す最後の日がやってきた、そう卒業式当日だ
「あんなに小さかった お嬢様が卒業とは、月日が経つのは早いですね」
「私を幼少期から見守ってきた乳母的な事を言って雰囲気作るの辞めて貰えます? 出会った頃から 殆ど背丈変わってませんよ プレセア」
「ぶーー せっかく 良い雰囲気を作ってるのに酷いわよ? カヅキ」
「センセイに言われるならまだしも、貴女は友人1号でしょう? 普通に祝って欲しいのですが」
「それなら仕方ないわね、卒業おめでとうカヅキ」
「はい、ありがとうございます。プレセア」
卒業式当日の朝、普段ならブリジットにヘアセットをお願いする所だが 今日は締め括りの重要な日と言う事で、テスタロッサに戻ってプレセアにヘアセットをお願いしている訳だけど、なんか急に小芝居を入れてきたので 普通に祝えと言っておく
プレセアやルーチェを始めとしたテスタロッサの使用人達はノリが大変よろしいので、放っておくと小芝居が芝居に進化しかねないのである、大変愉快で素晴らしい人達だ
それから通常より時間をかけて念入りにヘアセットを含めて毛繕いと身支度して完璧に仕上げて貰い、プレセアに見送られて転移門を使い寮の部屋に戻ると、いつもの護衛服ではなく 式典用正装に身を包んだブリジットが待っていた
「お待たせしました」
「丁度良い時間でしたよカヅキさん」
「それは良かったです」
「はい、ナズナ殿下は待ちきれないのか 廊下でソワソワしてます」
「ふふ、それはいけませんね? 行きましょう」
「はい」
ブリジットに声を掛け会話をすると ナズナが待っているとの事だったので、ブリジットを伴って転移門を起動したまま 部屋を出ると いつもは落ち着いているナズナが妙にソワソワしているのと、それを見て苦笑しているルルの様子が目に映る
「貴方様、お待たせしました」
「それほどでもない、が・・・うん、やはり カヅキ、お前は美しい」
「ふふ、ありがとうございます貴方様」
ソワソワしていたナズナに声を掛けると、イケメンスマイルを浮かべてナズナが褒めて来たので お礼を返し ナズナと共に卒業式の会場である講堂へと向かう
「去年も そうだが、やはりテスタロッサの者の技術は高いな?」
「そうですね、お
「うむ、やはり 目元や目尻に紅が入っているとより美しいなカヅキ。やはり お前に目を奪われる男共が現れないか心配だ」
「大丈夫ですよ 貴方様、私は貴方様一筋ですから」
「それは知っているし信用している、しかし お前に その気が無くとも、粉をかけにくる側には関係ない事だろう?」
「あーー・・・・なるほど? 」
普段は化粧なんてしないが、今日は卒業式と言う事で プレセアにより軽くメイクをして貰っているので、ナズナが その事に触れて 私に男が寄って来ないか心配だと言い出したので、安心する用に言うと 私の気持ちは 寄ってくる側には関係ないと言われ 納得する
ナズナの言う通り、ナンパを仕掛けてくる方は ナンパされる側の事情なんて知らないしね? うん
「あの・・・学園内に限りますけど、カヅキさん を知らない人は居ないんじゃ?」
「殿下、私もブリジットと同意見です」
「む? それはそうだろうが、それがどうした?」
護衛として周囲に目を光らせていたブリジットが控え目に申告してきて、ルルも同意してくるがナズナは真意を理解していないらしく首を傾げる
「殿下、この学園内においてカヅキさんが殿下の婚約者であり、殿下以外 アウト オブ 眼中で有る事は知れ渡っている のでは? と言いたいのです」
「あぁ、しかしだブリジット、今日のカヅキは そんな事を知っている連中でも 粉を掛けにくるぐらい美しいと 思っている。違うか?」
「違いないです!!」
「手のひらドリルが過ぎる」
ブリジットは真意を理解していない様子のナズナに説明をするが、ナズナは しっかりと理解していた様で 不思議そうに首を傾げ 言葉を返し 最終的にはブリジットは見事な手のひら返しを見せてくれる
どうしよう、圧倒的にツッコミ役が不足しているぞ? 私は どちらかと言うとボケ担当なんだけどなぁ
そんなこんな講堂まで移動している間に在校生のファンクラブ会員等から挨拶やお祝いの言葉をかけられたので、返事を返し軽く手を振りかえしておく
「・・・なんだか、あっという間だったな」
「そうですね、入学式と卒業式では隣に居る意味が変わってしまいました」
「そうだな」
講堂の入り口に到達しナズナは見上げながら感慨深そうに呟いたので頷き 相槌を打つと、ナズナは軽く微笑む
「ナズナ殿下、お義姉様、ささ コチラに。在校生が卒業生に花を贈る所です」
「今行く」
「今行きます」
ダールベルグ学園では伝統らしく、代々 生徒会が卒業生が胸に挿す花を専用の温室で育てて、卒業式で使うらしい
彼女・彼等も忙しいだろうに
せっかくだから、保存の魔法を使って残す事にしようかな?