そんなこんなで卒業式と度数の高い酒を飲んだ事により、テンションが上がって危うく理性を緩ませてしまう所だったが、どうにか持ち直して 卒業パーティーを過ごす事が出来た
それからナズナとダンスを2回思ったり、1尾分身を6体召喚して ファンクラブ会員の思い出作りに1曲ずつ踊ったりして有意義な時間を過ごす、ただ男女問わず申し出てくるのは 少し驚いたが、まぁ卒業パーティーの思い出としては良いだろう、多分
ニコライのナンパ(笑)以降は特にトラブルも無く無事に卒業パーティーを終えて、なかなか良い思い出を作る事が出来たと思う
波乱?の卒業パーティーから約2週間、私は王都にあるテスタロッサのタウンハウスに設けられている私室で紅茶を飲みながら プレセアとルーチェに毛繕いをして貰っている
「随分と時間を要しましたね?」
「1年半ぐらいだから、妥当じゃない?」
「婚姻の届けを提出するのと、結婚式まで差が出来るのは 仕方ないのよ、貴族は色々と面倒な事が多いから」
「そう言うものですか」
「そう言うものよ」
今日は所用で6尾分の1尾分身を派遣しているので3尾だから手間は3分の1だが、冬から春にさしかかる季節のせいか 抜け毛が多い
まぁだから2人に毛繕いをお願いしているのだけどね?
そんな訳で、私がなぜ プレセアとルーチェに毛繕いをして貰っているのかと言うと、別に侯爵令嬢をする為ではなく 今日はベルファさん と センセイの結婚式が王都で行われるからだ
雑談の話題として持ち上げた準備期間だが、ルーチェ曰く 普通の範囲内らしい、やはり貴族は面倒な慣習が多い
辺境伯や伯爵と言った中流貴族より下の爵位を持つ家ならば、領地の教会で神前式や披露宴をする事が許されるだろうが、上流貴族である侯爵家は違う
神前式も披露宴も1度は王都でしなければならないし、披露宴に関しては領地でも行われる
なので王都と領地で出席する参列者が違うし、規模も違う 王都の方は政治的意味合いが かなり強い
そんな訳で、転移門を自由に生成出来る私は 朝から1尾分身を派遣して参列者の移動に尽力している訳だ
先のバルマバラッドとの戦争(笑)の時と同様に、リミッターを段階的に解放しているが、成長期は まだ終わっていないらしく体感 前回よりキツくない気がする
そう言う訳で専属使用人である2人と他愛ない雑談をしながら支度をしていると扉がノックされ、控えていたブリジットが応対し
「カヅキさん、ナズナ殿下がいらっしゃいました」
「分かりました、行きましょう」
「「いってらっしゃいませ、お嬢様」」
「はい、行ってきます」
ブリジットにナズナが迎えに来た事を告げられたので、ティーカップをテーブルに置いて立ち上がると プレセアとルーチェはすぐにスイッチを切り替え見送ってくれ、軽く挨拶を返してからブリジットと共にナズナの元へ向かう
「お待たせしました、貴方様」
「数分も待っていないから大丈夫だぞ? カヅキ」
「ありがとうございます」
タウンハウスの応接間に入ると、ナズナが立って待っていたので声を掛けると、普段の1.5倍ぐらいイケメンフェイスで 返事を返してくる、今日も理性をしっかり保たないとダメだな、がんばろう
「今日は淡い色なんだな? 似合っているぞ?」
「ありがとうございます、流石に結婚式に黒のドレスを着てはいけませんから」
「確かにな」
卒業パーティーの時とは違い 主役は私ではなくベルファさん とセンセイなので、目立つ黒に金刺繍のドレスではなく 落ち着いた淡い水色のドレスを着て、メイクも必要最低限だけに留めている 最低限なら自分で治せるしね
それならナズナにエスコートしてもらいナズナの馬車でサンテブルク教会へと出発する
「今日の影の功労者は お前だな? カヅキ」
「そうですか? 私は敬愛する両親の新たな出発を祝いたいだけですから、特には」
「前から思っている・・・と言うか、何度か言っている気もするが、お前は 自己評価が低いぞ? 」
「そうですか? 客観的に自分を評価しているつもりですし、傲慢し増長するよりはマシかと」
「・・・うーん、そうかも知れんが」
「たまにやる事が無茶苦茶だけど、私利私欲でチカラを無闇矢鱈に振るったりしない、強きを挫き弱きを助ける 物語の主人公の様な人なんですよねぇ」
「自分にチカラが有る事を理解していて、使い所を弁えている・・・なんともコメントがし難いですね」
何だか褒められている流れだった気がするけれど、3人が何故か頭を抱え始めている 何故だろう? 訳が分からないよ
私はやれる事をしただけだし、別に苦では無いからね? うん
「この先も この手の説得? 説明には苦労しそうだな」
「ははは・・・頑張ってください、ナズナ殿下」
「陰ながら応援させて頂きます、ナズナ殿下」
「・・・お前達も巻き込んでやっても良いんだぞ? ルル、ブリジット」
「「いえ、遠慮しておきます」」
頭を抱えていた3人が顔を上げて顔を見合わせて、そんな事を話始め ナズナが軽く2人を睨む様に言う
なかなか仲良く出来て良い事だ、くだらない話も出来る仲と言うのは とても良いね
私は 馬車の窓から見える青空を見上げて、そんな事を思った