馬車に揺られ小1時間、私達は式場であるサンテブルク教会に到着し ルルとブリジットが先に降りた後にナズナにエスコートしてもらって馬車を降りる
「やはり人が多いですね」
「ベルファの結婚式なら当然の人数だな? 最低でも同じ侯爵家19家門の当主が参列するしな」
「19? あぁ本人である お義父様と式を執り行なうジルベルト侯を除いた人数ですね」
「そう言う事だ」
馬車を降りてザッと周りを見渡して呟くと ナズナがそんな事を言ったので、更によく見てみると 先のバルマバラッドとの戦争(笑)以来のテスタロッサと同格である侯爵家当主が礼装を身に纏って 雑談をしている姿が見える
まぁより正確に言うと友達 兼 同級生であるテレジア家当主のチャール や 共同事業をしているハインリヒは別だけどね?
そんな侯爵家当主の他にもテスタロッサと取引をしている貴族や大商人の人達が集まって わちゃわちゃしている
「あ、貴方様 チャール君がいますね? 」
「あぁそうだな? 」
「なんでオールバックなんでしょう? あまり似合って無いですね」
「言ってやるな、俺やベルファと違って チャールの様な比較的短髪はオールバックみたいに流すのが慣習だからな」
「なるほど?」
相変わらず チャラそうな見た目をしているチャールを見つけナズナに言うと、そんな答えが帰ってくる
リューネでは基本的に貴族令嬢は髪はロング、令息は結てる程に長い か オールバックにするのに丁度良い長さの2種類しかいない、謎だ
ナズナは軽く結える長さだが、前髪を後ろに流していて面が強いので最強だと思う
「リリウムさんが見えませんね」
「花を摘みに行っているか、または急病か・・・いやリリウムに限って病気をする訳がないか」
「ふふ、そうですね」
雑談をしているチャールの側に居る筈のリリウムが見えず呟く、貴族において冠婚葬祭は夫婦での参列が基本、未婚でも1部例外を除いて婚約者が居る筈なので、この場にリリウムが居ない事は 結構不思議な事なのである
「カヅキ、ナズナ殿下、ごきげんよう」
「こんにちはエル」
「エレオノールか、久しぶりだな」
リリウムの行方が少し気になる所だが 完全装備のエレオノールに声をかけられたので 一旦 リリウムの事は放置する事にする
「ではカヅキをお借りして行きますね?」
「あぁ俺は挨拶回りしてくる、カヅキを頼むぞ?」
「お任せくださいナズナ殿下」
挨拶もソコソコにエレオノールは私の背中を押して移動を促してきたので、彼女に従い移動を開始する
ナズナも大変だなぁ、生乾きの干物状態の
そんな訳でエレオノールに連れられて控え室に案内され入室すると、絢爛豪華なウェディングドレスを着ているセンセイの姿が目に映る
「来ましたか、カヅキ」
「はい、とても綺麗です お義母様」
「ありがとうございます、カヅキ」
いつもは無表情で気難しく見えるセンセイだが、今は 本心から喜んでくれている様で 柔らかい笑みを浮かべてくれている
「お義母様、幸せになってください」
「すでに幸せなのですが、これ以上 幸せになれと?」
「その通りです」
「そうですか、分かりました 貴女が そう言うならば善処しましょう」
「ふふ、楽しみにしています」
鏡台前に座るセンセイの前に膝を折り屈み彼女と会話をする
センセイには、是非とも幸せになってもらわないといけないので、ベルファさん には頑張ってもらわないとね?
貴族的な事をいうなら、2人には頑張って跡取りを作ってもらわないといけない、私はナズナに嫁ぐ事が決まっているから
幾ら私が分身出来るからとはいえ、流石に王太子妃をしながら侯爵家業務を兼務するのは、色々とよろしくないだろうからね? うん
前世では兄が2人 弟が1人いた身からすると、やはり今世でも弟妹がいた方が個人的には望ましいとも思う
場合によっては私の子が弟妹と幼馴染になる事も有り得るのか、それはそれでアリな気がしてきたな?
最近、理性のタガが外れかける事が多発している様な気がするが 気のせいと言う事にしてセンセイと会話をして、もうすぐ開始時刻となるので 空気に徹していたエレオノールに連れられ聖堂の方に移動する
聖堂内は参列者で混み混みしていたが幸い親族席は最前列なので特に問題無く新郎側に到着し、新婦側 へ 目を向けると センセイに良く似た髪色をした 御婦人と センセイと同じ 褐色の肌の紳士が緊張した様子で座っていた
そういえば考えていなかったけど、センセイは私とは違いサンクロードで産まれている訳だから、両親が居るのは至極当然な事だ
つまり私にとっては義理の祖父母になる訳で、挨拶をしておく必要が有る
「突然の失礼をお許しくださいませ お初にお目に掛かります、お祖父様 お祖母様。私はベルファの義娘のカヅキです」
新郎親族席から少し移動して義祖父母の前まで移動し最高礼を取り挨拶をするが、慣れていないのか アワアワして返事が返ってこない
まぁ仕方ないか、確か平民だった筈だしね?
と言うか、貴族 それも侯爵家という高位貴族に囲まれて 2人の胃は大丈夫かな? 少し心配だなぁ