アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

32 / 267
32話 採用試験 2

 

 

魔導剣を弾き飛ばした時に痛かった様で 右手をプラプラと振りながら

 

「聞いてない聞いてない聞いてない」

 

 

とユキヤへ向けて呪詛めいた言葉を吐きながら、俺を警戒しながら自分の魔導剣の落ちた場所を確認しているので

 

「さて私は動きませんので、剣を拾って構いませんよ?」

 

「余裕そうだね・・・」

 

「えぇこの程度では実力を示したと言えませんし、あとからゴチャゴチャ言われるのは癪ですから」

 

 

俺はカナリアから視線を外し、初期位置の円の中へ戻り彼女に魔導剣を拾う様に促すと、カナリアは俺を訝しみながらも魔導剣を拾い再度構える

 

 

「今度は、さっきみたいにはいかないからね!!」

 

「そうですか、期待していますよ」

 

 

俺はトンと地面を蹴り加速して、次はカナリアの右肩を狙い鋭い突きを放つ

 

「いやいやいや、速いって!!」

 

「おやおや、まだまだ」

 

「ひぃぃぃぃ」

 

 

俺の突きを辛うじてパリィして回避したカナリアへ、更に速度を上げ各関節を狙い連続で突きを放ち続け、彼女に攻撃する(いとま)を与えない

 

 

「ふむふむ、ユキヤ殿下が言う様に 試験官が親衛隊の精鋭と言うのは間違い無さそうですね? では次は もう2割速度を上げてフェイントを混ぜて行きますね?」

 

「待って、いや本当に待って? お願い、お願いします」

 

「仕方ないですね」

 

 

俺の猛攻に晒されて疲弊した様子のカナリアからの お願いを聞き、攻撃の手を止めて2度後方に軽く跳躍して、3mほど距離を開けてあげる

 

息も絶え絶えなカナリアが少し可哀想だと思ったのと、勝てる自信しかないし、この試験の後は期間限定とはいえ同僚(仮)になる訳だから印象は良くしておく方が良いと判断した

 

 

「ユキヤ様、何が兄さんに取り入ろうとした不届者ですか!! メチャクチャですよ、この人! 私だって親衛隊って自負がありますけどね? この人、ニーナ隊長並に速いです、強いです」

 

 

とカナリアは、結界外で試験を見定めているユキヤへ恨み言を吐き出す、今のカナリアの恨み言で大体の予想は出来た

 

 

いや本当すまんねカナリア、まだ余裕だし無駄に苦しめてしまった様で、次は関節とかじゃなくて、眉間とか心臓とか喉とか急所を狙って即死させるからさ? 許して欲しい

 

まぁまだ続けるなら、だけど

 

 

「続けますか?」

 

「あのー・・・私は降参したいのですけど、ダメですかね?ユキヤ様?」

 

「・・・これ以上はカナリアも不憫だな、交代してやれ」

 

「兄さん!? 何を勝手な!」

 

「お前こそ、冷静に事実を受け入れろ、カナリアでは実力不足。これ以上は不要の苦痛を強いるだけだ、ならば次の者と交代するのがベストだろう?」

 

「・・・わかりました」

 

 

おずおずと降参の提案をしたカナリアへナズナが了承の意を示し、カナリアはワーイと嬉しそうに結界を出て行き ユキヤに魔導剣を託すのが見えたので、俺は再び初期位置の円の中へ戻る

 

それにしても、ユキヤは どんだけ俺を警戒してるんだ? なんか異常な程に目の敵にされてる気がするぞ?

 

ナズナとのやり取りを見る限り、普段から あんな感じでは無さそうなんだよな・・・うーん、王子様ってのはやっぱ複雑なんだろうか?

 

専属護衛が必要なぐらいだし、政敵が多いのかも知れない、まぁ俺は そう言う政ってのは知らないし、興味もないからアレだけど

 

 

あれ? そういや魔法も使った方が良いか?

 

「ベルファ様、結界内で魔法使っても死なないですか?」

 

「えぇ、身体を塵も残さずに燃やし続けたりしない限りは大丈夫ですよ」

 

「わかりました、次は魔法を使います」

 

「アレを使うのですか?」

 

「はい」

 

「そうですか、ほどほどにしてくださいね?」

 

「かしこまりました」

 

 

なんか次の試験官を誰にするか揉めているのを横目に、ベルファさんへ質問をすると非常にやりやすい設定な様で安心する

 

俺の得意とする闇・影系統と言うのは、ジワジワと死に至らしめる系の魔法ばかりなので、なかなか扱いに困る事が多いが 今回の場合は試験官の戦意をへし折れば俺の勝ちになるから、ヨシとしたい

 

 

「お待たせしました」

 

「いえいえ、お気になさらず」

 

 

漸く次の試験官が決まった様で、栗色の髪をした20歳ぐらいの美女が穏やかな表情をしながら初期位置に立ち謝罪をしてきたので、労っておく

 

 

「私はオリヴィエ、親衛隊副隊長の任 及び ユキヤ様の専属護衛をしています」

 

「私はカヅキです・・・いきなり副隊長ですか? もう少し段階を踏むものとばかり思っていました」

 

「ナズナ殿下とカナリアの意見を汲んだ結果になります 『貴女へ当て馬を宛てがうのは時間の無駄だ』とね? カナリアは若いですが親衛隊では中の上から上の下程度の実力を有していますが、そんな子を子供扱いで完封しているので、私なのですよ」

 

「なるほど、概ね理解しました」

 

 

オリヴィエは俺の質問に丁寧に答えてくれ、カナリアの実力は まぁまぁ高い方である事を理解する

 

とりあえずユキヤとナズナの様子を見る限り親衛隊は御飾り部隊で、実力は伴わない なんて酷い有様な訳は無いだろうと思うしな?

 

それに目の前のオリヴィエは、穏和な微笑みを浮かべ俺の質問に答えてくれているが、俺と対峙してから一瞬の隙もない

 

間違いなく、オリヴィエは実力者だろう

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。