アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

34 / 268
34話 採用条件交渉

 

 

俺の条件提示に咽せたナズナの苦情に説明を述べると『そうだな』と少し複雑そうな表情をして納得してくれたので次を口にする

 

「私は持病を持っていて定期的に薬を補充しなければならないので、最低でも月に1度はテスタロッサ家へ帰宅を了承してください」

 

「持病? 元気そうに見えるが・・・」

 

「PTSD・・・簡単に言うと精神性の持病です、投薬を欠かすと何も出来なくなってしまうのですよ」

 

「薬を飲めば大丈夫なんだな?」

 

「えぇ発作が起こっても薬さえ飲めれば数分で置物から復帰できます」

 

「・・・そうか、分かった」

 

 

俺は敢えてナズナへ持病の事を話す、これで俺を諦めるならヨシ、護衛に任命するなら それもヨシだ

 

まぁ俺なら実力は有るが、もしもの事態で置物になる様な不安要素を持つ者を専属護衛にはしたくないがな

 

 

「お前程の人材を持病だけで手放すのは惜しい、その条件を飲む」

 

「兄さん、確かに実力は認めます、しかし もしもの時に使えないと意味が有りません」

 

「大丈夫だ、俺自身 何度も命のやり取りをする戦場を経験している、それに学園内での護衛は建前の意味合いが強いだろう?」

 

「・・・そうかも知れますが」

 

「それに数分すればカヅキが復帰して、どうにか出来る と本人が言っている、だから大丈夫だ」

 

「分かりました、兄さんがそこまで言うなら」

 

 

どうして 俺に執着するか分からないが、俺を専属護衛に任命する気まんまん のナズナに、今まで大人しくしていたユキヤが噛み付く

 

ユキヤの言っている事は正論で、大体俺と同じ考えである事がわかる、それでもナズナの意識は曲げられずにユキヤは引き下がる

 

いや、もうちょい粘っても良いんだぞ? ユキヤ

 

「では次の条件ですが、私がメイドも兼任しますので 護衛を開始したら私の作った料理以外を可能な限り口にしないで下さい、やむを得ず口にする場合は私が毒味 又は 鑑定をし無害であると証明出来たモノのみ口にしてください、よろしいですか?」

 

「うむ・・・大体 予想は出来るが、理由を聞いても良いか?」

 

「敢えて言葉を選ばずに申し上げると、ナズナ殿下は暗殺されかけているからです、第2・第3のバカが現れない保証は有りませんし、貴方を始末して継承権2位のユキヤ殿下 又は 第3位のハルト殿下に取り入ろうとする阿呆もいる可能性があります、つまりは毒による暗殺を仕掛けてくる愚か者への対策です、まぁ毒殺とまでは行かずとも媚薬や それに準じる薬を使ってくるゴミがいるかも知れませんしね?」

 

 

「・・・なるほど、暗殺は想定していたが・・・そうだな、俺へ粉を掛けにくる輩も想定しないとダメだったな」

 

「兄さん、先程の言葉は撤回します。カヅキは何としても手放してはダメです、彼女程の人材を見逃すのは国益を害します」

 

「だな」

 

 

ナズナの質問へ長々と答えると、今度はユキヤが手の平ドリル並に見事な手の平返しをして、自身の兄であるナズナへ少々熱く言う

 

おいおい、マジで見事な手の平ドリルだなユキヤ

 

 

「しかし、問題は部屋の掃除などの雑務をしている時間があるのか? という懸念がありますね」

 

「それも問題無いだろ、そうだなカヅキ?」

 

「全く問題ありませんね」

 

「休日のみ雑務を行うとか言いませんよね?」

 

「言いませんよ」

 

「カヅキ、実演してやってくれ」

 

「そうですね、その方が早いですし」

 

「実演?」

 

 

やはり王族、ベッドメイキングとか炊事洗濯などの雑務を毎日行って寝室を清潔に整えなければならない と拘り 又は メンツがあるのかは分からないが、心配する理由は分かる

 

俺はナズナの専属護衛として日中は側を離れる訳にはいかないのだから、雑務をしているヒマはない

 

だからユキヤは休日で雑務を消化するのでは? と疑っている訳だが 俺にとっては不可能でも何でも無い事象な訳だ、うん

 

 

俺はベルファさんの隣から腰をあげて、ソファから少し距離を開けて自分の尻尾を2本もいで自分の両側へ落とすと、ボフォンと音と煙が出て1尾分身2体を造りだす

 

 

「この様に私は自分の尻尾を使い分身体を作る事が出来ます」

 

「こ、こんな魔法があったとは知りませんでした、多数尻尾を持つ獣人の方は皆 会得を?」

 

「それはどうでしょう? 私は独自に開発した術ですから、分かりません」

 

「なるほど、独自の術なんですね? 凄く興味をそそられますが、これなら僕の心配も問題ないですね」

 

「ご理解いただけた様で何よりです」

 

 

ユキヤが納得してくれた様子なので、格好つけて指を鳴らして分身解除して9尾へ戻る

 

些細なデメリットだけど、分身は尻尾を媒体にしている都合で尻尾が減るので、モグ場所によって絶妙にバランスが崩れて少しソワソワしちゃうので、モグ場所は少しコツが必要だと思う

 

「私からの条件は、このぐらいです。給与に関しては私は疎いのでベルファ様に一任いたします、お手数ですがナズナ殿下 交渉してください」

 

「分かった、ベルファ 構わないな?」

 

「ふふ、これは腕がなりますねぇ」

 

「おい、お前 俺と何を交渉する気だ? 怖いぞ」

 

「ふふふ、それは交渉を始めてからのお楽しみですよ? ナズナ君」

 

 

とりあえず俺から要求する事を言い切ったので、あとはベルファさんに丸投げする

 

餅は餅屋、交渉はベルファさんに任せるのが適任だ、高給を捻出させてくれる筈だ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。