アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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35話 餞別

 

 

俺の出来る事は終わったので、ベルファさんに一任して応接間を退室してセンセイの元へ行き仕事へ戻る、昨日からだが 不機嫌そうだ

 

余程 王族へ不信感を抱いている様だ、転生して1年足らずの俺より ずっと この世界の事を知っているからこその考えがあるだろうから、俺からは何も言わないでおく、センセイは優しい人だからな

 

 

そんな訳で仕事をしたり色々として1日が過ぎて翌朝、ニッコニコのベルファさん と なんかげっそり してるナズナとユキヤへ配膳をする

 

こりゃ 相当 搾られたな、うん

 

そんな事を考えつつも、無駄口は叩かずに仕事を完遂する

 

 

「カヅキ、毎度急で申し訳ありませんが、明日 王都へ帰還するナズナ君達に随伴して下さい」

 

「明日、ですか? かしこまりました、ターニャメイド長にも その様に、シフトの都合も有りますので」

 

「そうですね、私の方からも後で報告しておきますが、貴女から伝えた方が良いでしょうね? 下がって構いませんよカヅキ、ターニャのところへ」

 

「はい、失礼します」

 

 

朝食を口にしていたベルファさんが、俺に そう言い返事を返すと 更に追加で言われたので、食堂から退室してセンセイの元へ向かう

 

やれやれ、センセイに伝えたら きっと不機嫌度が上がりそうだな とか考えつつセンセイの元に辿り着き、ベルファさんに言われた事を伝えると 予想通りにセンセイ不機嫌度が急上昇する

 

まぁ他人が見てもポーカーフェイスで、全く表情から感情を読み取れないと思うが、俺は付き合いが長いから分かる

 

 

そんな訳でセンセイから明日に向けての荷造りに専念する様に言われ、自室に向かい荷造りを始める

 

 

「一応 私服はあるけど・・・寝間着ぐらいで良いか、あとはメイド服の替え・・・」

 

 

新年度まで約1ヶ月半ぐらいと言う事は、このまま護衛開始という可能性が高い

 

そうなれば、色々と想定しておく方がいいかも知れない・・・いや、そんな気にしないでも良いか、俺単身なら陰で転移門作って帰って来れるし、出口を自室に設定しておけば大丈夫だろう

 

 

そんな事を考えつつ、トランクケースへ最低限の衣類とかを詰め込み偽装をする、貴重品はインベントリに保管しているから問題ない

 

 

「カヅキ、居ますか?」

 

「はい、居ます」

 

 

コンコンコンとドアをノックされ、センセイの声がしたので解錠してドアを開けて招き入れると

 

 

「旦那様にお願いしていたモノが納品されたので、渡しにきました」

 

「わざわざありがとうございます」

 

「いいえ、コレは私が決めた事ですから」

 

 

招き入れたセンセイの声色が、いつもより少し硬い気がして少し気になってしまうが、そんな事を考えている場合でもないし、センセイを真っ直ぐ見ておく

 

 

「この銀時計を貴女に渡しておきます」

 

「これは・・・テスタロッサ家の家紋が刻印された銀時計?」

 

「そうです、旦那様にお願いして 私の直属の部下へ渡すつもりでいたモノです、真鍮色の懐中時計を私、そして直属の部下5名に渡す為の5つのみ存在する懐中時計です」

 

「ありがとうございます、センセイ」

 

 

センセイから渡された銀時計を握り、俺は彼女に感謝を述べる

 

この銀時計は、センセイから実力を認められた証であり、信用・信頼を示すモノだ

 

尊敬する師から貰うことが出来て、これほど嬉しい事はそうない

 

 

「この銀時計は、私が信を置く者のみが持つ特別なモノであると同時に、テスタロッサ家の者である証明です。その銀時計に恥じない働きを期待します、カヅキ」

 

「もちろんですセンセイ、貴女の期待に・・・そしてテスタロッサに恥じない働きを約束します」

 

 

俺より背の高いセンセイの目を真っ直ぐ見据えて言うと、センセイは頷き 数秒して俺を抱き締める

 

 

「貴女は優秀です、本当なら汚物が跋扈(ばっこ)する王都へは出さずにテスタロッサで私の元で生活をさせたかったのですが、そうも行きませんでした 人生とはままならないですね」

 

「センセイ、俺は大丈夫です。ナズナはマシな様ですし、王太子が後ろ盾になってくれています、馬鹿をシバキ回しても大抵は大丈夫ですよ」

 

「そうですね、使えるモノはフルに活用して馬鹿を破滅させるのが良いですね」

 

「それに・・・バレなければ犯罪では無いですから」

 

「ふむ、確かに。 やるからには発覚しない様にするのですよ? カヅキ」

 

「はい、センセイ」

 

 

俺の数十倍は軽く大きいセンセイの母性の弾力を頭部で感じつつ、センセイと会話をする

 

そう、仮に汚物を うっかり殺してしまっても、事件が露見しなければ 俺は無実なのだ、そして俺は それが出来る

 

この国が貴族社会であっても、証拠もなく罰する事は不可能だ

 

影を操る俺にはアリバイを作る事は容易いしね

 

死体はアイデースで証拠隠滅できて、分身出来るからな、俺

 

 

「分かっているとは思いますが、約2週間後には1度 帰宅するのですよ?」

 

「分かってます、封印術の更新ですよね?」

 

「そうです、あとは定期検診もです」

 

「センセイのお陰で薬も補給出来ているので、本当に感謝しています」

 

「構いませんよカヅキ、貴女は私にとって妹や娘の様な存在なのですから」

 

 

センセイは本当に俺のことを心配してくれているのが、よくわかる

 

確かな愛情を感じ、俺にとっても姉や母と同じ存在だと断言出来る

 

この気持ちに偽りはない

 

 

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