アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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36話 旅立ち

 

 

 

センセイから銀時計(せんべつ)を貰い、少し感傷的になりそうになったが、自分自身の持つチカラで その気になれば毎日帰宅して来れる事に気付き、かなり気持ちが落ち着いた

 

やはり使い慣れた寝床が一番だしな、うん

 

そんな訳で一夜明け、いつもの様にメイド服に袖を通して、耳飾りをつけて外套を着てからトランクケース片手に玄関へ向かう

 

日の出から少ししか経っていないのに、すでに親衛隊は準備も整えて出発の準備も終わっている、なかなか手際が良いな

 

 

「おはようございます、殿下方」

 

「あぁ、おはようカヅキ」

 

「おはようございます、カヅキ」

 

 

御者担当と先導担当とルート確認をしていたナズナとユキヤに声を掛け挨拶をする、やっぱり挨拶は人としての最低限のマナーだよな

 

 

「カヅキ、お前は基本的には俺の専属護衛をして貰う、故に基本的には道中 俺の側から離れる事を禁じる」

 

「つまり、道中戦闘が発生しても参戦するな、と?」

 

「そうだ、まぁお前は闇属性の使い手だ、俺から離れずとも敵を排除出来るだろう?」

 

「そうですね」

 

 

ナズナの言葉に念の為に確認すると、思った通りの言葉が帰ってくる

 

そりゃそうだよな、俺の仕事はナズナを守護する事で親衛隊を守る事ではない、その本分を忘れたり間違えたりしてはならない

 

ま、さっさと敵を殲滅する事が結果的にナズナを守る事になるから、積極的に闇・影魔法を使っていくけどな

 

 

「ナズナ殿下、私の荷物は どうしたら? 馬車へ持ち込む訳にも行きませんよね?」

 

「あぁ、それなら馬車の後ろにトランクボックスがあるから、そこに入れてくれ、見た所 お前のトランクケースにはテスタロッサの家紋が刻まれているから、俺達の荷物とも混ざらないだろうからな」

 

「承知しました」

 

 

ナズナへ荷物をどうするかを確認すると馬車の後ろにトランクボックスがあると言われたので確認すると、鍵付きで防犯性能が高そうな感じだったので、ぎょしゃ担当に鍵を開けて貰い、俺の荷物を入れて施錠してもらう

 

 

うん、防犯は大切だよな

 

 

「よし、オリヴィエ 出発しよう」

 

「かしこまりました、総員騎乗」

 

「カヅキ、お前はこっちだ、乗れ」

 

「はい」

 

 

オリヴィエへナズナが指示を出すと親衛隊が馬へ騎乗し、俺はナズナに腕を引かれて馬車へと乗り込み

 

「俺の隣に座れ、対面はユキヤとオリヴィエだ、王都に着くまで少々手狭だが我慢してくれ」

 

「すみませんね、体積がデカくて」

 

「・・・そういうつもりでは無かったのだがな、勘違いさせてしまったならすまない」

 

「冗談ですよ 殿下」

 

「そうか? なら良かった」

 

 

コンパクトボディではあるが、いかんせん9尾故に それなりに幅を取るので冗談を言うがナズナは間に受けた様で謝罪してきた、コイツは少し軽口と言う物を学んだ方がいいと思う

 

多分だが、コイツ友達いなさそうだしな

 

 

それからナズナの掛け声で王都へ向けて出発する、いよいよ新しい生活へ向けての旅が始まった

 

 

「2月も半ばのお陰で、まだ肉食獣の活動が鈍くて助かるな」

 

「草食獣も、まだ新芽が芽吹いていないので活動が活発では有りませんしね、これから気温が上がれば動きもあるでしょう」

 

「3月の頭には王都へ着いて起きたいな、色々と手間もあるし」

 

「大丈夫でしょう、最悪 私が裏技使います」

 

「裏技?」

 

 

馬車の窓から外を眺めていたナズナが、そんな事を言ったので暇をしていた俺はナズナの呟きに返答し、最終手段の事を言うと首を傾げて尋ね返してきた

 

「私がナズナ殿下を暗殺者からお救いした時の事を覚えていますか? 」

 

「もちろんだ、お前が加勢していなければ何人かは死んでいただろうからな」

 

「負傷者を搬送した時に使った転移門も覚えていますか?」

 

「あぁあの宵闇の様な真っ黒な門だな? 覚えているぞ? あぁそれを使う訳だな? しかし、転移門は入り口と出口の設定が必要な筈だが?」

 

 

俺の質問で裏技の正体に気づいたナズナが質問を投げかけてくる、その疑問は最もで 転移門を発動させる上で絶対に省略出来ない事象だからだ

 

 

「至極簡単に言うと、私の分身を王都近郊へ自走させて転移門を繋げる、という荒技ですね」

 

「あのカヅキ? 貴女は易々と自走と言いますが、テスタロッサ領から王都まで馬で早くて1週間、馬車なら2週間前後は掛かるのですよ? 幾らなんでも無謀では?」

 

「問題ありません、一昼夜程度なら休憩なしで進めますし、アシの騎獣も私の魔法で作成したモノですから、疲れ知らずですから」

 

「僕は、そう言う事が言いたい訳では無いのですが・・・」

 

「ユキヤ様は貴女の負担が大きくないか? と言いたいのですよ? カヅキさん」

 

「そうですか? お気持ちはありがたいですが、私は頑丈な事が取り柄でして」

 

 

尻尾を2本もいで影へ落とし、分身と影狼を生成し先行させる為に放って、ユキヤにお礼を述べておく

 

ユキヤの気持ちはありがたいが、俺としても襲撃やトラブルの危険の多い旅路は少しでも早く終わらせたいってのは割とある

 

だから、やれる保険はかけておく方が良いはずだ、多分

 

それにフラグになりそうだけど、王位継承権1位と2位が狙いやすい馬車にいるから、俺なら暗殺するに千載一遇と喜んでトラップ設置する

 

そうならない様に祈ろう、そうしよう

 

 

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