そんな訳で学年主任の説明を聞きつつ、魔武器作成の様子でも観察しようかと思ったが、平均より大分身長が低い俺は人垣により全く直視出来ない事に気付いてしまう
「ま、そうよな」
「ん? 何か言ったか? カヅキ」
「いえ、名前を呼ばれるまで時間がありそうだったので、同級生の皆さんの様子を見ておきたかったのですが、見ての通り 身長が足らないので、どうしたものかと」
「・・・確かにな」
俺の独り言が聞こえたらしいナズナに尋ねられたので、素直に答えると何とも言えない表情をする、すまないナズナ
「影識神 僕獣 黒蝶」
そんな彼を見つつ小声で短縮詠唱をして
「今度は何の魔法だ?」
「蝶と視覚を共有して遠隔地の景色を見る魔法ですね」
「ほう、便利だな」
「えぇ、この程度の大きさなら先生方にも見つかり難いですし、見つかっても魔法生物とは、そうそう思わないでしょうし」
「確かにな」
真横に立っている上に、面と向かって会話をしていた俺の行動を見ていたナズナに質問されたので、分かりやすく説明をしてやると 利便性に気づいた様だ
この魔法は索敵に有効だ、俺は人混みに紛れているが上空から見下ろした景色で人の動きが分かるし、蝶を模しているので的が小さく見つかりにくく、尚且つ排除しにくい そんな利点がある
その一方で、使用者の操作技術を要求し複数同時に操作なんて事をしようものなら、頭がパンクしてしまうだろう
まぁ弱点に関しては、適性と訓練次第な所があるかもだけども
そんな訳で黒蝶で同級生諸君の魔武器作成の様子を伺い予習をして準備万端としておくと
「A組所属 ナズナ殿下 及び カヅキさん 」
「漸く私達の番の様ですね」
「そうだな」
ようやく俺達の番が回ってきて、人混みから抜け出してナズナの隣の魔法陣へと立ち、精神統一する為に深呼吸して魔法陣の中心を見据え、両手を手のひらを上に向けたまま前へ突き出し、魔力を溢す様にして魔法陣へ流し込んでいく
ゆっくりと しっかりとヌメっとした濃密の魔力を垂らし流し込んでいくと、魔法陣が徐々に淡く光り始め 少しずつ光が増してゆき、教師陣も光り方がおかしいと、視線が集まり始める
「カヅキ? お前、長く無いか? あと眩しいんだが?」
「なんででしょう? 長いですね、あと私も眩しいです」
「そうか、頑張ってくれ」
「はい」
魔力を魔法陣に注ぎ込み始めて約1分、まだ形にならないのは何故だろうか?
ナズナを始めとした同級生は、せいぜい30秒程 魔力を注げば魔武器作成が完了しているので、本当に長い
あとナズナの3倍(当社比)光ってて、めっちゃ眩しい
ナズナの指摘から更に2分が経過して、漸く光が収まり俺の魔武器が形になり、俺の手の内に治る
「・・・剣に鏡と勾玉、か」
おかしいな、魔武器って唯一無二の担い手が最も扱える武器や武具になる筈、それなのに複数手に入るなんて なんか無茶苦茶だな
そんな事を考えつつ少し戸惑っていると
「行くぞ カヅキ、後が詰まっている」
「はい、ナズナ殿下」
ナズナに肩を叩かれ、そんな事を言われたので 勾玉を制服のポケットへ入れて 剣と鏡を持って 彼に従い魔法陣から離れる
他生徒の6倍の時間 魔法陣を占有してしまったので、ほんと すまない
そんなこんなナズナと共に教室へ戻り、机の上に剣と鏡を置き
「ナズナ殿下、3種類 作成されたのですが?」
「あぁ、かなり珍しい事例だな?」
「やはり珍しいのですね?」
「少なくとも俺は聞いた事がないな」
机の上に置かれた剣と鏡を見てナズナは、そんな事を言うので これはかなり珍しい事例らしい
まぁ複数種類ある事は別に悪い事では無いと思うし、気にしないでおこう
「あとは名付けをすれば魔武器作成完了だな」
「名付け、ですか・・・」
ナズナに言われ、名付けをする為に頭をフル回転させる
剣・鏡・勾玉は、いわゆる三種の神器と呼ばれている神器を指す、神話に疎くても 日本人であれば3種の神器の名前ぐらいは聞いたことがあるだろう
某コマンド選択式ソシャゲに出てくる9尾の宝具が鏡で鈍器みたいな使い方をしているとか、風の噂で聞いた事がある
とい訳で、名付けをしなければならないのだが、一体 どんな名前が良いのか さっぱりだ
そんな事を考えつつ鏡を見下ろしていると、形が桜の花に似ている気がしてくる
「・・・
鏡に映る私と目が合った瞬間、無意識に名前が口から溢れ魔武器に色が灯る
「これで真に自身の魔武器になったな? カヅキ」
「その様ですね、名付けが終わった瞬間、使い方が頭に流れ込んできました」
「そうか、3つもあると大変だな?」
「ふふ、ありがとうございます」
剣と鏡へ左手を翳すとシンプルなブレスレットへ姿を変えて左手首に装着されて、これは便利だと感じる
これは固有能力もだが、色々と検証のしがいがありそうで、今から楽しみだ
とりあえずは、手加減も兼ねて腰から下げてるツッカーローアを積極的に使う事にしよう