アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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5話 コネって便利だよな

 

 

 

センセイの手により、丁寧に狐耳をハンカチで拭いて綺麗にされた後、再度抱きしめられる

 

この長谷川と言う女性は、愛情深い人間ではあるのだが、飴と鞭の鞭が少々強力である為、結構勘違いされがちだったりする

 

 

だから、門下生でも先生を尊敬しつつも苦手意識を持っている人達ばかりだったが、俺はオシメが取れた頃ぐらいからの付き合いなので、慣れているから特に何も思わないからか、前世でも中学生に上がる前までは、今みたいに抱擁される事が度々あった

 

 

そんな訳でセンセイが満足するまで抱擁され

 

 

「・・・手触りがいいですね」

 

「あざます?」

 

 

満足したのかセンセイが俺を抱擁するのをやめて、9つ有る俺の尻尾をモフり始め、なんか悔しそうに言う、何故に?

 

 

「さて、聞かずとも答えは分かりきっていますが、今日の寝床と食事の当ては有りますか?」

 

 

「ないですね、それこそアイザックさんにお願いしていた感じですよ、センセイ」

 

 

「でしょうね」

 

 

この頭の回転が俺と段違いのセンセイは、俺の置かれている状況なんて聞く必要も無く理解しているだろうが、わざわざ質問してくるのは俺の意識を確認したいからだろう

 

 

身体的な膂力や単純攻撃力なら前世 及び 今の俺が上だ、しかし攻撃力とは当たらないと意味がない

 

 

だから先読みをしカウンターや技の出だしを潰してくるセンセイに、俺は勝てた試しがないのだ、だって攻撃は当たらないし、投げ技しようにも捕まえられないんだから

 

 

「ふむ・・・カヅキ、貴女が良ければ私の部下になりませんか?」

 

 

「部下って、メイドって事ですか?」

 

 

「その通りです、安心なさい いつもの様に1から10まで、しっかりと教育します」

 

 

「はぁ・・・まぁ、センセイの傘下なら安心ですし、お願いします」

 

 

彼女の頭の中で、一体なにがどうなったのか全く分からないが、俺をメイドとして自分の傘下へ加える事を決めた様で、俺に提案してきたので了承する

 

 

右も左も分からない異国の地、ある程度の知識とかを手に入れておかないと面倒事に巻き込まれかねないしな?うん

 

 

「カヅキ殿、お待たせした。おや?メイド長もご一緒か」

 

「アイザック ご苦労様です、ではカヅキ? 旦那様の元へ向かいましょう」

 

「メイド長、俺は まだベルファ様がお呼びと話していないのだが? なぜ分かる?」

 

 

「貴方より旦那様の性格を理解しているからですよアイザック、あと貴方の性格もです」

 

 

「それはそれは」

 

 

テスタロッサ家当主へ状況報告をしに行ったアイザックが戻ってきて、俺へ軽く話しかけた瞬間にセンセイの存在に気付き、なんか色々と言っているが、本当に頭の回転が早すぎる

 

あとセンセイ、メイド長なんだね

 

 

いつもの事ながらホント敵に回したくないな、と思いつつセンセイを先頭にアイザックと並列に並んで、貴族の館の廊下って感じの廊下を進み、多分執務室へと辿り着き、センセイは遠慮なくノックしてから扉を開け入室し、俺達も後に続く

 

 

「ベルファ様、我らの恩人であるカヅキ殿をお連れしました」

 

 

「ご苦労様ですアイザック、それとターニャも」

 

 

蜂蜜色と言うのか、茶髪で赤い眼をして眼鏡をかけた美青年が穏やかな笑みを浮かべて2人の名前を呼ぶ、センセイの名前が多分ターニャだ

 

 

「ようこそテスタロッサ家へ、私はテスタロッサ領 領主 ベルファ・ジェイド・テスタロッサです」

 

 

「これはご丁寧に、私はカナメ カヅキと申します。カナメが姓でカヅキが名ですので、よろしければカヅキとお呼びください」

 

 

「ではカヅキさん、この度は当家の兵を助けていただきありがとうございます」

 

 

「いえ、当たり前の事をしたまでですし、私も打算が無かった訳では有りませんから」

 

 

「ほぅ?」

 

 

テスタロッサ家で1番偉い人であろうベルファさんから名乗りがあったので、俺も失礼の無い様に名乗ると彼がお礼を行って来たので、正直に言うと少し興味深そうな表情をする

 

 

「領兵を救った事に対する対価を期待していた、と?」

 

 

「勿論です、利益目的で助太刀した方が信用出来るでしょう? 正義感や理想では腹は膨れませんし」

 

 

「なるほどなるほど、誤解を招く事を恐れずに敢えて本音を言う姿勢、面白いですね、気に入りました」

 

 

「ありがとうございます、ベルファ様」

 

 

そう、完全無欠の聖人君子なんて存在しない、理想だけでは腹は膨れず生きて行けないのだから

 

 

もちろん人助けに理由は要らない、助けたいから助けるし、感謝されたい訳じゃない、が生きる為には少々対価を得なければならないんだ

 

 

「それを踏まえてターニャが来た理由を聴きましょうか」

 

「カヅキを将来的に私の右腕としたいので、彼女を当家の使用人として雇用していただきたいのです」

 

 

「彼女を使用人としてですか? 領兵として、ではなく?」

 

 

「はい、使用人として、です」

 

 

なんかよく分からないけど、ベルファさんもセンセイと同じタイプの人間みたいで、少ない会話で何かやりとりしている

 

 

なんだこれ?

 

 

「貴女がそう言うのであれば、考えがあるのでしょう。貴女に一任します」

 

 

「ありがとうございます、旦那様」

 

 

「ではターニャ、後は貴女の方でいい感じにして下さい。雇用契約に関する書類等は明日にでも作成しておきます」

 

 

「承知しました、失礼します」

 

 

「失礼します」

 

 

 

なんかよく分からない内に話が纏まったみたいで、俺はセンセイに促されて執務室を後にする

 

 

とりあえず今日の寝床は確保できたな、うん

 

 

 

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