アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

52 / 267
52話 (ナズナが)頭の痛い事

 

 

 

使い魔召喚を死亡者も重傷者も出さずに乗り越える事が出来、時は流れて5月に突入し、そろそろ厚手の上着は必要なくなってきた と感じ、今日は洗濯物がよく乾きそうだなぁと窓から快晴を見ている俺を他所に、寮の部屋に備え付けられたソファーに座り、ナズナは少々頭の痛そうにしている

 

その手には、今朝 届いた手紙がチカラなく持たれているので、恐らく凶報だったのだろう

 

とはいえ、いつまでも放置していても可哀想なので

 

 

「ナズナ殿下、手紙を読まれてから顔色が少々優れない様子ですが、何かありましたか? せっかくの休日の朝ですのに」

 

「あ、あぁ・・・心配をさせて すまない、城から少々 頭の痛い報告が届いてな・・・」

 

 

洗濯で側を離れているメイド(俺)の代わりに 紅茶を淹れてナズナの前に置きながら尋ねると、さらにあからさまに渋い表情をして言う

 

 

「陛下が また妾を迎えられましたか?」

 

「いや親父じゃない、ヴィオレッタの事だ」

 

「ヴィオレッタ・・・あぁ貴方の婚約者のテカテカご令嬢ですか」

 

「テカテカ? まぁいいか・・・そう、ソイツだ」

 

 

ナズナが1番 渋い表情をしそうな心当たりの親父の事を口にすると、否定されて1回だけ会った ナズナの婚約者のテッカテカしたお嬢様の名前をナズナが口にする

 

これ、俺が聞いて良い内容なのか? 専属護衛とはいえ平民だぞ? 俺

 

そんな疑問が浮かんだので

 

 

「あの・・・その先を私は聴いて大丈夫ですか?」

 

「お前は俺の専属護衛だし、俺はお前を信用しているからな・・・仮に裏切られても、それは俺の人を見る目が無かっただけの事だしな」

 

「裏切りませんよ?契約内容に合意していますし、契約外の出来事に感じては応相談で受け付けますがね?」

 

「はは、お前の そう言う所が信用出来るからな、その時はよろしく頼む」

 

 

俺の質問にナズナは答える、その言葉には俺が裏切らない自信を感じる、コイツは俺の性格を正しく理解している

 

ナズナは俺が王家に忠誠心を微塵も持っていないし、契約内容を履行するだけ と しっかり理解している訳だ

 

そして契約を反故になんて絶対にしない自信がある、それは俺がテスタロッサ家とセンセイの顔に泥を塗る行為をしない と言う確信があるからだろう

 

まぁそれはそれとして、俺が手紙の内容を知っても問題はない様なので、少し突っ込んだ質問をする

 

 

「そのテカテカ婚約者様が何かしたのですか?」

 

「至極簡単に言うと、自身の高額な嗜好品・・・主にアクセサリー類の購入費を王家支払いで相当数 購入している」

 

「は?」

 

「素が出てるぞ?」

 

「失礼しました」

 

 

俺の質問に答えたナズナの言葉に思わず素で反応してしまい、ナズナに指摘されてしまったので謝罪しておく

 

あのテカテカお嬢様、自分の金じゃなくナズナの金で豪遊しているのか・・・ゴミだな

 

俺は この世界の一般常識に疎いがナズナの反応を見る限り一般的な行動ではなさそうだ

 

 

「アイツには王太子の婚約者として、ある程度の交友費は出るが、これは少々・・・いや、だいぶ 超過している」

 

「そうなのですね?」

 

「あぁ、豪遊三昧の親父の妾達も金を食うが、ヴィオレッタはソレの比ではないな・・・これが経済活性化や国策に通ずる事業資金や運営費なら 目も瞑れるモノだが・・・」

 

「完全なる私物な訳ですね?」

 

「そう言う事だ・・・問題は それだけでは無さそうだがな?」

 

「それはどういう?」

 

ナズナは少し疲れた様子で俺の出した紅茶を飲み更に続ける

 

 

「確定事項ではないが、どうやら愛人が出来たみたいだな」

 

「は?」

 

「また素が・・・まぁいい、貴族の婚姻は基本的には親同士の決める物だ、それ故に裏で恋人や愛人を作る事は まあまあ有る・・・が、王族の婚約者には許されない、理由は単純に王家に見も知らぬタネで出来た子供を迎え入れたり王位につかせたりしない為だ」

 

「理由は理解出来ました」

 

 

王とは戦乱の世、群雄割拠の時代では無い限りは血筋を大切にするモノだ、そうでないと国は荒れて滅亡してしまう事になりかねない

 

特にリューネと言う国は既に数百年と言う歴史のある国だ、そんな国で いきなり次期国王は王家の血を受け継いでいません、後宮には王の血族が沢山居ますが、血を受け継いでいない私が国王になり国政を担います

 

なんて国民は納得出来る筈がない、まぁ革命とか特別な事象は別にするって前提ではあるけども

 

だからこそ、王族と婚姻出来るのは貴族から という法律が存在する

 

貴族ならば、王城に戸籍がしっかりと記録されているので、平民の様に他国の間者である可能性を低く出来る

 

そんな理由から、ヴィオレッタの行いは到底看過出来る事では無い訳だ

 

とはいえ、確定事項では無いので婚約破棄をする為には まだ弱い

 

婚約破棄をする為には、確固たる証拠を多数握る必要がある、あるが そう簡単に証拠を握れる訳もない、何せナズナは学生で自由に身動きが出来ないからだ

 

それゆえに、水面下で調査をする必要がある、それにはナズナの信用を勝ち得た者でないといけない、下手に裏切られて情報が筒抜けになると、ナズナの立場が悪くなってしまうからな

 

これは難しい問題だ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。