頭痛が痛い状態のナズナに哀れみを感じてしまった俺は、月に1度の帰宅日でテスタロッサ家に帰還した際に、センセイへ相談してみる事にした
「センセイ、ナズナ殿下の婚約者が浮気をしているらしく証拠を集めたい場合、どうしたら良いでしょう?」
「貴女が心配する事案では無いでしょう? 何故です?」
「今は 直接は関係ありませんが、国の未来を見据えれば間接的にはテスタロッサ家にも関係してきますから、それに悪性腫瘍は発見次第切除が望ましいでしょう?」
「確かに、貴女の言う事も一理ありますね」
背中の封印プリントの施術を終え、センセイの執務室であるメイド長室でセンセイの膝に乗せられ頭を撫でられながら状況説明と打開案の打診をしてみると、相変わらず王家への不信感からか非協力的な言葉が出て来たので、俺なりの理由を告げると 一応の納得をしてくれる
「王家が滅亡しようが、私は構いませんが リューネ国民が貧しくなるのは避けねばなりませんから、貴女の顔に免じて今回は協力してあげましょう」
「本当ですか? センセイ、ありがとうございます」
相変わらず王家に少々トゲのある物言いだが、俺の顔を立てて協力してくれる旨を口にしたので、思わず御礼を言い抱きつくと
「ふふ、貴女は私の娘 同然ですから、多少のワガママやお願いを聞いてあげるのが親としての勤めでしょう」
「本当に ありがとうございます」
「あぁ、本当は どこにも出さずに私の手の届く範囲に置いておきたいのですが、それは貴女の為にはなりませんからね、我慢です」
「ははは・・・」
私の頭を優しく撫でながら何とも反応しつらい事を言うので愛想笑いで誤魔化しておく
正直、これはツッコミを入れて内容が深くなるのを避けた方が良さそうだしな、うん
「そ、それで証拠を集めたいのですが、どうやって集めたら良いでしょう? やはり草の者を派遣するしか無いと思います」
「それが1番 手っ取り早いでしょうし確実ですね? しかし問題もあります」
「はい、信用・信頼に値する者でなければ裏切られれば、最悪 ナズナ殿下が傀儡と化す可能性が有りますね」
少々無理矢理 話を本題へと戻して話すとセンセイは嫌な顔をせずに、肯定してくれ、俺の懸念事項を聞き頷く
あのナズナが大人しく傀儡になるとは思わないが、何事も最悪を想定する事は大切だから仕方ない
「その点をカバーする為に 私へ尋ねたのでしょう? ならば、その選択は正解です」
「やはりツテがあるのですか? センセイ」
「ツテではありませんが、私が育てた諜報員が居るのですよ? テスタロッサには」
「そうなんですか?」
「えぇ、貴女が知らないのも 仕方ない ですね、当たり前ですが 本来は 存在していない部隊ですから」
「あの・・・それ、私が知っても大丈夫なんですか?」
「大丈夫でしょう、貴女は私の娘 もとい 右腕ですから」
「あ、はい」
俺の頭を撫でながらセンセイは微笑み言う、本当に大丈夫だよな? 下手な所から漏れても俺は責任取れないぞ? いや、マジで
「諜報員が誰かまでは貴女に明かさないので安心なさい」
「はい」
「大丈夫ですカヅキ、貴女は私が護ります。2度も貴女を失う事は流石に耐えられませんし」
「ありがとうございます、センセイ」
「良いのですよカヅキ」
センセイは軽く笑い 俺に優しく諭す様に言い抱きしめてきたので、彼女の胸へ顔を埋めると、物凄く安心する これが母性か、多分
「ヴィオレッタ嬢を破滅させる算段については、私の方で整えますから、貴女はナズナ殿下に 余計な事をしない様に釘を刺しておいてください」
「分かりました、具体的には 調査をセンセイに一任する様に伝えれば良いですか?」
「そうですね、その様に」
「分かりました」
暫しセンセイの母性を堪能してから彼女の胸元から顔を放して返事をする
とりあえず センセイへ 一任する様にナズナへ言えば、彼はきっと渋い表情をしながらも了承はする事だろう、ナズナもセンセイの能力が高い事を理解しているだろうしな? うん
「さてカヅキ? ダールベルグ王立学園での生活は順調ですか? 」
「今の所は順調です、ナズナの敵対派閥の人間も表立っての行動を起こしていませんし」
「そうですか、それなら良かったです。もしもの際は 迷わずに下手人を始末してしまうのが良いでしょう」
「そうですね、捕縛が難しい場合は始末する事にします」
残念な事に命の重さは平等ではない、国王制のリューネでは尚更だ
命の重さが平等ならば、ナズナに専属護衛なんで必要ないだろうしな?
その事を俺もセンセイも、よく知っている。だからこそ、下手人の命は頗る軽い
俺が下手人を生捕りにする為に筋切りするのは、あくまでも情報を吐かせる為であって、下手人の命を助けたいとか そんな優しい理由じゃない
だから、生捕りが困難な状況なら容赦なく始末する事にシフトする
そもそも、ナズナを無傷で護る事が最優先事項だしな?
俺は ほら、多少の怪我ぐらいなら即再生して大抵の事は大丈夫だから、うん
とりあえず、テカテカお嬢様 の件が片付いたら 色々な派閥が水面下で動き出すんだろうな、多分