アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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56話 最近の子供は成長早いんだなぁ

 

 

そんなこんなニーナ隊長に挨拶をして顔を覚えて貰い、ナズナの馬車へ戻って乗車し彼の隣に着座する

 

 

「どうやらスムーズに挨拶が出来た様だな」

 

「はい、ナズナ殿下から賜ったラペルピンのお陰です」

 

「そうかもな? だが、お前は親衛隊・・・いや、城勤めの中でも かなり有名の様だぞ?」

 

「そうなんですか? 悪い意味ではない事を祈る所です」

 

 

着座した俺にナズナが声をかけてくれ、答えると 珍しく機嫌良さそうに喋り始め、そんな事を言うので謙遜した返答を返しておく、こういう時は謙遜しておけばどうにかなる とセンセイが言っていたからだ

 

そんな会話をしていると出発の号令がかかり馬車が低速で進み出すのが窓から見える

 

 

「一部の者からは妬みがあるでしょうが、大勢の認識では良い意味で有名ですよ? 」

 

「良い意味ですか? 例えば?」

 

「王太子を身を挺して救い 護衛を務め瀕死であった親衛隊隊員を含めて 全ての負傷者を治癒魔法で癒し、その見返りを自身ではなく使える主であるテスタロッサ卿へ譲渡する程の忠誠心が高く、その実力をひけらかす事もなく謙虚に人へ接する人格者・・・少々 意訳や個人的解釈が混ざってはいますが、この様な感じですね」

 

「・・・誇張表現なのでは?」

 

「大体合ってるだろ」

 

「そんなバカな」

 

 

確かに ナズナを救い、親衛隊の負傷者を癒して、俺個人は見返りを求めなかったけど、それは交渉とか面倒ごとはベルファさんに丸投げしただけだし、チカラに溺れて傍若無人に振る舞ったらセンセイからのカミナリが落ちて来て痛い思いをするから、気をつけているだけの事

 

そもそも今の私はテスタロッサ家に仕えている平民メイド、暴力装置としてのチカラを持っているとしても、所詮は平民であり俺より強い人間がいるに決まっている、センセイとか

 

それに人間は独りでは生きられない、個として強かろうと群を相手に消耗戦を続ければ、いつかは肉体より先に精神が疲弊し死ぬ

 

せっかく転生したのに、それでは勿体ないしな? うん

 

と、まぁ箇所箇所では事実だが、さも聖人君子みたいな評価に違を唱えるが、イマイチ響いている様子が無い

 

ナズナもオリヴィエも笑うだけで、ユキヤもヤレヤレと肩をすくめていて、噂を否定しない 解せぬ

 

 

そんな訳で避暑地があるトリスタン領へと向かう道中、暇潰しと鍛錬を兼ねて影識神を複数飛ばして周辺警戒をさせる、ナズナも口数が多い方じゃないし、話題もなくなるしな? うん

 

現にナズナもユキヤもハードカバーの分厚い本を読み始めているし

 

そんな訳で暇を持て余し始めた俺は、外の影識神を維持しながら手の内で影魔法を使い影を物質化して魔力操作をして粘土細工の真似事をして遊ぶ

 

 

「暇か?」

 

「暇ですね」

 

「それは良い事だな」

 

「えぇ とても」

 

本から目を離さずに俺へ話しかけてきたナズナへ答える

 

この世には暇である事が 望まれる事が沢山ある、俺が暇をしているのは 平和である事の証明だからだ

 

護衛や兵士や医者が無駄飯食いをしているのが1番良いと思う

 

王都を出発して3時間程して、一旦休憩をするらしく中継地の村らしき場所に停車したので、ナズナと共に下車して 身体を伸ばしていると

 

10歳前後の銀髪の少年と 同じく10歳前後の銀髪の少女が、私達の1つ前の馬車から降りてきている所で、少年は眠いのか目を擦っているのが見える、この頃の子供には車中は暇なのは間違いないな、うん

 

 

「にいさま〜」

 

「どうした? ハルト」

 

「ねむい〜」

 

「そうか、だが その前に今の内に用を足しておけ」

 

「あい〜」

 

 

トコトコとナズナの前に歩いて来て、見た目に反して幼い口調でナズナを見上げて言い、ナズナの言葉に素直に従い お付きのメイドに導かれて宿らしき建物へ入っていく

 

 

「トイレに座ったまま寝ないといいが・・・」

 

「・・・確かにそうですね、でもアイビーも一緒ですし大丈夫でしょう」

 

「そうだな、そう祈ろう」

 

 

ナズナは少年を見送りながらポツリと呟き、その呟きにユキヤが反応し言う

 

さて あの少年は国王である親父と正妃が乗る馬車から降りてきたから、王族の1人だろうからナズナの兄弟なんだろうけど、俺の記憶では正妃が産んだ子供は2人で上が女児 下が男児の筈で、その男児の名前がハルトで2歳とかの筈なんだが・・・そうなると、あの少年が2歳児と言う事になってしまう

 

そもそも、この世界では成長が早い可能性も十分にあるし、それが この世界での常識かも知れない

 

 

「ん? あぁ、そういえばハルトに会うのも お前は初めてだったな?」

 

「はい、本当に2歳児ですか?」

 

「ハルトはクウォーターエルフなんだ、だから ある程度までは一気に成長するんだ、まぁ中身の成長は定命種と同じ速度で成長するから言動や仕草が幼いんだよ」

 

「・・・なるほど、最近の子供は成長が速いのですね?」

 

「ん? なんか食い違ってないか?」

 

 

そういえば、この世界にはエルフと言うファンタジーに当たり前の様に登場する長命種筆頭な種族が存在していて、現正妃はハーフエルフだとか何とか聞いた様な気がする

 

ワンチャン、友好を結んでおいた方が良いかな? 多分 俺は長命種だろうし

 

 

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