アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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59話 お嬢様襲来

 

 

 

夏休みで王族の避暑地 別荘にやってきて3日、日本の酷暑に慣れ親しんでいる上に、自分の服へ気温一定化の術式を縫い付けてある俺には耐えられない訳もなく、燦々と太陽光が粉団に注ぐ海が見えるテラスで渋い表情をしながら今朝 届けられたイヌホオズキの封蝋がされた書状と睨めっこ しているナズナの側に控えて 自分の職務を全うしている

 

 

「殿下? こんを詰めすぎるのも、お身体に障ります。少し休憩をされては?」

 

「・・・そう、だな ありがとう カヅキ」

 

「いえ」

 

 

メイド(俺)がキンキンに冷えたアイスティをナズナの横にあるローテーブルへ置き、そう促すと彼は お礼を言い書状をローテーブルへ置き、アイスティを飲み一息つく

 

 

「ヴィオレッタめ・・・随分と好き勝手してくれる」

 

「やはり報告書でしたか」

 

「あぁ、その通りだ」

 

 

ナズナにしては珍しく不機嫌な様子を隠そうともせずに忌々しそうに呟いたのを拾い相槌を入れると、ナズナは肯定する

 

 

「とはいえ、今日届いたのは1次報告らしい、最終報告まで行動は慎む様に、だと」

 

「歯痒いですが、それが賢い選択です殿下、怨敵殲滅の為にも今は耐え忍ぶ時です」

 

「あぁそうだな、頭では俺も分かってはいるさ、頭では」

 

 

そう言いナズナは歯軋りをしそうな表情で、私にまで音が聞こえそうなぐらい強く拳を握り、耐え忍んでいる

 

 

ナズナは言葉が足りない所があるが、民を想う優しい男だ

 

だからこそ、ヴィオレッタやマージン家の様なクソ野郎の事を心底嫌っているのだろう

 

その辺りは俺もナズナに共感しているし、協力を惜しむつもりはない

 

 

そんなこんなアイスティと暇潰しに作ったアイスをナズナへ接種させて彼のSAN値を回復させていると、真夏でもキッチリと正装な別荘在住の執事がテラス入り口へやってきたので、メイド(俺)が用件を確認し コチラへやってきて

 

 

「ナズナ殿下、マージン嬢が貴方へ会いに来た様です」

 

「は? ヴィオレッタが? ここにか?」

 

「はい、彼からは その様に」

 

「そうか・・・テリー」

 

「失礼致します」

 

 

テラスへ続く入り口で待機していた執事の名前をナズナが呼ぶと、キビキビとした所作でナズナの側に寄ってきて腰を折り頭を下げ

 

 

「ヴィオレッタが来訪しているのか?」

 

「はい、つい先程 到着されました。予定に無い来訪ではございますが、不測の事態を想定していますので、お部屋と お食事に関しては問題はございません」

 

「そうか、すまんな 迷惑をかける」

 

「私共の職務ですので、どうかお気になさらないで下さいませ、ナズナ殿下」

 

 

 

なんか このテリーと呼ばれた執事、かなり出来る男みたいだな、見た目は そんなに歳を取ってる様には見えないし、やっぱ王家に使える使用人は 相当なふるいにかけられているのかも知れない

 

 

「はぁ、気は進まないが・・・ヴィオレッタは 何処だ?」

 

「ご案内致します」

 

「分かった、よろしく頼む」

 

「では殿下、私はコチラを片付けてから参りますので」

 

「あぁ」

 

 

本当に気が進まない表情をしているナズナは、座っていた椅子から立ち上がりテリーへヴィオレッタの居場所を尋ねる

 

尋ねられたテリーは、すぐに案内をすると言い先導を始めたので、メイド(俺)が片付けをしてから合流する旨を伝えて、ヴィオレッタの待つ目的地へとナズナと向かう

 

それにしても、ヴィオレッタは 本当に自分勝手な奴だな、正直 嫌いなタイプの人間だし、仲良くしたいとも思わないし、出来るとも思えない

 

そんな なるべく視界にすら入れたく無いクソお嬢様に会わないといけないのは、相当な苦痛ではあるが 俺よりナズナの方がダメージが多いだろうから、我慢だ我慢

 

そうだ、あとでナズナには自慢の尻尾をモフらせてあげよう、そうすればSAN値回復もできるだろうし

 

そんな訳でテリーの案内でヴィオレッタが待っている応接間へ到着すると、冷房が完備されている様で冷気を肌で感じるが、やや室温が低く設定されているのは、軽い嫌がらせかな? それとも急な来訪だったから早く室内を冷やす為の措置か?

 

ま、どちらでも良いか、俺的にはヴィオレッタが風邪をひこうが、熱中症になろうが、知ったこっちゃないからな

 

 

「お待ちしていましたわ、ナズナ殿下」

 

「先触れもなく 此処へ来るとは何を考えている、ヴィオレッタ」

 

 

ナズナが入室すると、あからさまにパァーと笑みを浮かべソファから立ち上がり喜んでいますアピールをするヴィオレッタへナズナが苦言を呈して、彼女の動きを封じる

 

「あら、私は貴方様の婚約者ですわよ? 婚約者と別荘で共に過ごす、当たり前な事ではありませんの?」

 

「よく言う、今までの誘いの文を全て返事も書かずにいた奴が、何を今更、それに今回も参加を表する返事は無かったぞ? 寝言は寝てから言って貰えるか? 」

 

「せっかくナズナ殿下に喜んで貰えると思い、コチラへやって来たのに酷いですわ」

 

 

なんかよく分からない自分ルールを鼻高々に言い始め、見事にナズナに論破され、嘘泣きをして お気持ち表明をし始めたヴィオレッタに 内心イラっとしなながらも、頑張って表情を繕う

 

仕事中だ、今は仕事中、私情で目の前のバカをシバき倒す訳にはいかない、いかないんだ 落ち着け俺

 

と、頑張って自分を律する

 

 

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