アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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60話 苦行

 

 

内なる嫌悪を耐えながらヴィオレッタとナズナの会話を見守っていると、トリスタン領の街へ 遊びに出ると陛下からお達しが来て、アレよアレよと()嬢様も同行する事になり、ナズナの苦行が更に増えた

 

いや、まぁ俺にとっても苦行ではあるか、この汚嬢様の事がマジで嫌いだしな、うん

 

 

そんな訳で汚嬢様の浮気相手(しつじ)を伴って、ナズナの馬車に乗って別荘から片道1時間ぐらいのトリスタン領の街 アルタミラへと出発する

 

因みに、今回 ユキヤは同乗しておらず、馬車には私・ナズナ・汚嬢様,汚執事の4名しかいない

 

なんでもユキヤはオリヴィエとアルタミラとは反対側の街 パルマコスタへ出掛けていたらしい、何かを察知したのかも知れないな、うん

 

 

道中 汚嬢様はナズナへ積極的に話を振っていたが、ナズナは『あぁ』『そうか』の2つの返事で興味なさげに返していたので、今日の夜にはヴィオレッタの話した内容は忘れている事だろう

 

まぁ私も興味なかったし、全く内容を覚えてはないが

 

そんなこんな車内空気が最悪で約1時間の道中を経てアルタミラへと到着し、馬車を降りて見渡し

 

 

「海が近いからか、日焼けした方が多いですね?」

 

「そうだな、リューネには幾つか海に面した領が存在するが、トリスタン領は海へ面している領域が多いから、自ずと海産物を扱う者も多いな」

 

「自然の成り立ちですね」

 

「あぁ」

 

「ナズナ様、(わたくし)あちらが気になります」

 

 

海岸線に建っていた王家別荘から馬車で1時間と言う海に面した街 アルタミラに行き交う人々を見て呟くと、ナズナは軽く微笑み説明してくれたが、ヴィオレッタが彼の腕へ抱きつき すぐに その表情が険しい物へと変わる

 

この汚嬢様、やっぱウザいな

 

 

それから可能な限り汚嬢様を視界に入れない様にしながらヴィオレッタが指さす方へ進んで行くと、露天が立ち並ぶエリアへと辿り着く

 

 

「これは・・・なるほど、海に面しているのですから海運業も賑わいますね」

 

「やはり賢いなカヅキ、まだ市の入り口を見ただけなのに分かるとは」

 

「いえいえ、明らかに近海や遠海で漁業をするには不向きな船が停泊していますし、なにやら荷卸ししているのも伺えますしね?」

 

「本当に凄いなカヅキ」

 

 

自身の腕へ抱き付くヴィオレッタを眼中に入れずにナズナは俺の呟きへ反応し褒めてくる、そしてナズナが俺を褒めるのが気に入らないのか汚嬢様は俺をキッと睨みつけてくるが無視しておく、無視しないと ウッカリ殺してしまいそうだからな、うん

 

 

「貴女、確かカヅキと言ったかしら? 少しナズナ様へ馴れ馴れしくありませんこと?」

 

「はて、何を憤っているのやら、私にはサッパリ分かりかねますマージン嬢」

 

「貴女ねぇ!!」

 

 

歯軋りをしそうな程 俺を睨みながらナズナを物理的に盾にする様に俺との間へナズナを挟み、よく分からない事を言ってくる いや、マジで意味が分からない

 

あとナズナは、ヴィオレッタが苦虫を噛んだ様な表情をするのが愉快だからと汚嬢様を放置して、俺とレスバさせて観戦するのを辞めて欲しい

 

 

「大体 お前は頭が高すぎますわよ? 平民なら平民らしく、次期王妃である私へ平伏しなさい、それが通りですわ」

 

「ははは、なんと異なことを申しますねマージン嬢、御冗談は肥溜めの様に悪臭を放つ性格だけになさってくださいますか?」

 

「なっっ、なんて無礼な!」

 

 

まさに怒髪天と言った様子で俺へくってかかってきたヴィオレッタへ悪意100%の毒を吐きかけてやると、文字通り怒りで顔を真っ赤にしてファビョる、その様子にナズナは他人事の様に笑うのを我慢していたので、一回睨んで黙らせておく

 

「ナズナ様、即効この無礼者を処断して下さい」

 

「なぜだ? カヅキを処刑する理由も無ければ、する方法がないのだが?」

 

 

「私を侮辱したのです、理由は 充分ですわ!」

 

「お前は人の話をだな・・・」

 

「くふっっ」

 

 

ファビョるヴィオレッタがナズナに お願いするが、真顔で返事を返されたが全く納得出来ない様子が面白くて、思わず吹き出し笑ってしまい汚嬢様に睨まれしまったので、笑うのを我慢し

 

 

「やれやれ マージン嬢、貴女は勘違いをされている様子ですね? 」

 

「勘違い? 私が何を勘違いしていると?」

 

 

さも自分が正しいと信じ疑わない滑稽な様子に再び笑い出しそうなのを我慢し

 

「簡単な話です、私はリューネ(このくに)の民では有りません、私はテスタロッサ領の領民です」

 

「何を言っていますの? テスタロッサの領民ならばリューネ国民ではありませんの!!」

 

 

俺の言葉の意味を理解出来ていない汚嬢様は、強気でくってかかってくるが

 

 

「全く違いますよ、私が忠誠を捧げているのはテスタロッサ領 領主ベルファ様で、リューネ国王 ライラント陛下やナズナ王太子殿下では有りません、それ故に私は必要最低限の礼は貴女にも取りますが、仕事の邪魔をするならば容赦なく始末しますよ? 私は命を惜しみませんし、バレない様に貴女様をバラす事も難しい事はありません・・・あぁ お1人では寂しいでしょうから付き人の執事君もご同行させて差し上げますから、ご安心を」

 

「な、ナズナ様 やはり彼女は危険ですわ!!」

 

「別に少し過激なだけだろ、コイツは無闇矢鱈に人を殺めないしな」

 

 

ヴィオレッタに歩み寄りハイライトを意識して消して彼女の目を間近で覗き込む様に詰めより話すと、汚嬢様はガタガタと震え始めナズナへ提案するが、即却下される

 

流石はナズナ、俺の性格を理解している、グッジョブ

 

 

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