アナザーストーリー タイプ エフ   作:銭湯妖精 島風

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64話 魔王の遺物

 

 

ナズナの様子を見て これは余程ヤバい代物だと判断し ナズナを落ち着かせ

 

 

「ナズナ殿下、少し歩きましょう」

 

「・・・そうだな、歩けば少しは落ち着くかも知れないな」

 

「はい」

 

 

十中八九 ヤベー代物の魔斧を、こんな人が密集している場所が近い所でナズナへ見せる訳にもいかないので提案すると、ナズナは私の意図を汲んでくれた様で頷き、砂浜を歩き出したので彼の隣に並び歩き出す

 

 

「それなりに歩きましたね、そろそろ良いでしょう」

 

「あぁ、そうだな」

 

「殿下、今から魔斧を取り出しますが、決して触れない様に気を確かに持って下さい」

 

「分かった」

 

 

プライベートビーチの領域ギリギリまで歩き、ナズナと向き合って言うと彼は腹を括った表情で頷く、それに頷き返し 念の為に3歩程 ナズナから更に距離を空けてからインベントリの魔斧を取り出しアイデースの影腕(かいな)を使い保持してナズナへ見せる

 

 

「これが・・・魔王の遺物 “ 魔斧 ” 古い資料でしか知らなかったが・・・これ程に(おぞ)ましいオーラを発するとはな」

 

「確かに、これほどの特級呪物は そうそうありませんね」

 

「もういいぞカヅキ、あまり見ていると気が触れそうだ」

 

「かしこまりました」

 

 

魔斧を見たナズナは、俺の様に魅入られそうになる様子もなく、ただただ生理的嫌悪からくる吐き気を我慢する様な表情で言葉を紡ぎ、すぐに仕舞う様に指示を出してきたので、素直に従いインベントリへ再封入する

 

 

こりゃ正式に封印する為のナニカを用意するか、消滅させる方法を調べなきゃダメだな

 

私としても気色悪いし、下手な地雷より危険物だ 例えるならば対人核地雷的物か?

 

 

「ナズナ殿下、魔王の遺物とはなんですか? 魔斧はNo.5の様ですか・・・」

 

「・・・本当は極秘事項なんだが、お前なら構わないか」

 

「はい?」

 

 

俺の質問にナズナは物憂顔で言う、どうやら藪蛇だったのかも知れない

 

 

「魔王の遺物は、文字通り魔王の残した呪物の事だ。リューネの初代国王と仲間の活躍で魔王は討伐されたのだが、十数年から数十年の時を経て魔王は復活し、リューネを滅ぼそうと厄災を振りまく存在だ。 記録上確認出来たのが20と少し、つまり残り約20弱 魔王の遺物が この国の何処かで魔王の復活を待っている訳だな」

 

「待って、ちょっと待って? こんなヤベー特級呪物が あと20以上 も存在していて、行方不明って訳か? 嘘だろ?!」

 

「残念ながら 事実だ、あと素が出てるぞ?」

 

「こんなとんでもない話を聞かされて繕ってられる訳ないでしょ?! お前、私に何を期待してんのさ? こちとら雇われだぞ?」

 

 

ナズナの口から絶対に平民(おれ)が聞いてはいけない情報を聞かされてしまい、思わず素でナズナへクレームをつけ、ナズナの思惑を問いただす

 

そもそも俺は腹芸とか得意じゃないし、面倒臭いのは嫌いだからな

 

 

「今回の一件で、お前が魔斧の魅了に耐性がある事は疑い様の無い事だろう? だから俺の悲願である俺の存命中に魔王の遺物を全て収集・封印 又は 完全破棄を成す為に協力して欲しい」

 

「はぁ? いや、お前ふざけてるのか??」

 

「至って真面目だが・・・」

 

「あぁぁぁ もう、そう言う所だぞ! ナズナ!!」

 

「どういう所なんだ?」

 

 

至って真面目に 本気で打算も無く言っているのをナズナの目を見て確信してしまい、頭を掻きむしり ウロウロと歩き回りながら言うが、当のナズナは私の指摘が理解出来ていない様でキョトンとしている

 

これは王子とか関係なくグーで殴ってはダメだろうか? ダメだよな、殴ったらセンセイにもベルファさんにも責任追及が及ぶもんな、我慢だ 我慢

 

そう自分に言い聞かせながら天を仰ぎ深呼吸をする

 

 

「ナズナ、お前 私との契約内容は覚えてるだろうな?」

 

「無論、忘れる訳がないだろう?」

 

「なら契約内容に魔王の遺物 捜索 及び 対処は含まれていたか? 無いよな? な?」

 

「あぁ だが、特記事項には 俺とお前の合意が有れば契約内容に追加が可能 となっていた筈だが?」

 

「・・・そりゃぁ、そうだけど、さぁ」

 

 

ナズナが契約内容を忘れている訳が無いのは百も承知だが、言いたくもなってしまうのは仕方ない事だろう

 

それに頭では分かっている、ナズナは我欲で魔王の遺物を収集したい訳では無い、国民が少しでも魔王の厄災から逃れられる様にしたい と言う王族としてのプライドからの言葉だと

 

しかし、俺も人間だ 少しぐらい感情的になってしまうのも仕方ないと許される筈だ

 

そう言う訳で深く深呼吸を繰り返して精神を落ち着かせ

 

 

「私としても 無辜の民に被害が出るのは嫌だ、だから協力してやる」

 

「あぁ感謝する」

 

「本当、しゃーなしやぞ」

 

 

私はナズナと強く握手を交わして、魔王の遺物 捜索・収容・封印が業務に追加された、これはこれで飽きない人生だな

 

 

「んん、それで殿下? 魔王の遺物の所在は分かっているのですか?」

 

「残念ながら全く分かっていない」

 

「・・・ふん!」

 

「だっっ!? 急に何をする? カヅキ」

 

「少し反省なさって下さい」

 

 

咳払いをして、猫を被り直してナズナへ尋ねると ふざけた事を宣ったので手加減をして尻を蹴り上げて、反省を促す

 

 

これは、少し早まった選択をしてしまったかなぁ?

 

 

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